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水平距離を考察する。

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5月9日土曜日

本日の東京は、どんよりとした曇り空。

ステイホームのゴールデンウイークもあっけなく終わり7日木曜日から会社再開。

Webミーティングで皆の無事を確認しひとまず安心。

近所の線路沿いのフェンスにバラがいっぱい。見事な赤。

おっと大阪通天閣の赤は、警戒レベルだ。

現状は、黄色で注意喚起レベルまで昇格。緑まであとわずかだ頑張れ!

いつもの公園では、今年も黄水仙が咲いている。今年は、例年より早い感じだ。

 

 今週全国の感染者数が100人以下と発表された。相変わらず感染者数の発表に一喜一憂している。

 このところ新感染者数も減少しやっと出口戦略が発表されだした。

一方、コロナ対策先進国では、プロ野球が無観客ながら再開されブンデスリーガ-も再開するらしい。。

 スポーツ観戦おたくとしては、国内スポーツは、もとより大リーグの再開などまだまだ先が読めない状況でさみしいかぎりだが・・・。

 

 そんな毎日・・・・連日の感染者数の発表を聞く際に不謹慎だろうか?・・減少の祭、ひいきチームが勝利した思いと同じでは?と思えたりで関西の知事と国側とのやりとりも勝ち負けでみてしまう。国が連戦連敗なのも心細くなるが・・・。

 

 ホームラン級の情報としては、花王北里大学グループによる新型コロナウィルスの増殖を抑える抗体開発の発表、また琉球大ベンチャーの新型コロナ用VHH抗体を研究者に無償提供のニュースはには拍手喝采・・ヨッシャ!の一言。

 

 さて講座を開始しよう。

 サポートセンターに寄せられる質問で行政による

取扱基準図例の解釈に関する事が多い。

 

 そのような場合、その取扱基準を確認するのだが地域により解釈が異なる事も多い。

 

 今回は、それらの異なる表記に関してレポートしてみたい。

 

 もっとも判断があいまいなのが水平距離の解釈。

 

 建築基準法56条高さ制限および56条の2日影規制では、距離を

「水平距離」と表記したり「幅」と表記する事がある。

これらをあいまいに解釈すると変形敷地等に適用する事が困難になる事を今回は考察したい。

 

 講座は、この事を下記テーマでお伝えしたい。

 

①法56条の2日影規制における「水平距離」考察

②法56条高さ制限および天空率における「水平距離」考察

 の順に建築基準法における水平距離を考察してみたい。

 

 水平距離を広辞苑で確認すると

「水平面内の距離。水平面内に投影された2点間の距離」とあり

同一面内の2点間の距離ゆえ一定の距離を保つ状態を表現する際に使われるようだ。

 

 一方「幅」は、「物の横方面の、一端から他の端までの距離。」で一見かわりないように思えるが次の記述で違いが判る。

「細長く続くものの、両端を直角に切る長さ。」とあり川幅などの例が示される事から複数の2点間の距離が存在する時に使用されると解釈できそうだ。 

 

①法56条の2日影規制における「水平距離」考察

 

 法文の解釈でその違いが顕著に反映されるのが規制ラインの作図法。

基準法56条の2の条文から水平距離が記述された箇所を抜き出すと

 

第五十六条の二 一項

第五十六条の二 別表第四(い)欄の各項に掲げる地域又は区域の全部又は一部で地方公共団体の条例で指定する区域(*)に掲げる建築物は、冬至日の真太陽時による午前八時から午後四時まで(道の区域内にあつては、午前九時から午後三時まで)の間において、それぞれ、同表(は)欄の各項(四の項にあつては、同項イ又はロ)に掲げる平均地盤面からの高さ(*)の水平面(*)に、敷地境界線からの水平距離が五メートルを超える範囲において、同表(に)欄の(一)、(二)又は(三)の号(同表の三の項にあつては、(一)又は(二)の号)のうちから地方公共団体がその地方の気候及び風土、土地利用の状況等を勘案して条例で指定する号に掲げる時間以上日影となる部分を生じさせることのないものとしなければならない。・・・・・。

 

「***敷地境界線からの水平距離が五メートルを超える範囲において、******」

 

 規制ラインの基本的な作図法としては、「水平距離が五メートルを超える範囲」の記述から

図1

 このように「水平距離5mを超える」を判断する規制ラインは、このように作図される。

*ちなみに10mラインの記述は、別表4の中で記述されている。

右上の赤枠で囲った箇所でやはり「水平距離が10m以内・・」と

「水平距離が10mを超える・・」と水平距離と明記されている。

 

 その為、敷地境界線から5m、10mの2点間の距離が変わらぬ様に作図する。

 

 その為、敷地の隅部からは、「水平距離」ゆえその距離を保持すると円弧状に作図される。

 これが、規制ラインを作図する際の基本。

 

第五十六条の二 をさらに読み進み3項の記述に注目

3 建築物の敷地が道路、川又は海その他これらに類するものに接する場合、建築物の敷地とこれに接する隣地との高低差が著しい場合その他これらに類する特別の事情がある場合における第一項本文の規定の適用の緩和に関する措置は、政令で定める

 

 なるほど1項における

 

「***敷地境界線からの水平距離が五メートルを超える範囲において、******」

の項は、敷地境界線とあるが3項で道路、川等に面する場合とある為

1項の「敷地境界線」とは、「隣地境界線」に対する作図法と理解できる。

 

3項で記述する「・・政令で定める。」の政令を確認すると。

 

( 日影による中高層の建築物の高さの制限の緩和)
第百三十五条の十二 法第五十六条の二第三項の規定による
同条第一項本文の規定の適用の緩和に関する措置は、次の各号に定めるところによる。
一 建築物の敷地が道路、水面、線路敷その他これらに類するものに接する場合においては、当該道路、水面、線路敷その他これらに類するものに接する敷地境界線は、当該道路、水面、線路敷その他これらに類するものの
の二分の一だけ外側にあるものとみなす。

ただし、 当該道路、水面、線路敷その他これらに類するもののが十メートルを超えるときは、当該道路、水面、線路敷その他これらに類するものの反対側の境界線から当該敷地の側に水平距離五メートルの線を敷地境界線とみなす。

 

 敷地境界線が道路等に接する場合の「幅」と記述されしかも2か所存在する。最後に10mを超える場合のみなし敷地の記述で

「当該敷地の側に水平距離五メートル」で「水平距離」で記述されている。

 

幅の概念に関して

「建築基準法関係通達集 」「編集:東京都建築行政協会」「発行:東京都建築事務所協会」

では

図2

この様に道路等に面する隅部から複数の線分が作図されている。

 

・・・・ちょっとわかりづらいのでさらに実践的に解説された図が

図3

 

 道路境界線の角部Dから道路方向に延長された複数の線分を作図する。

 Dから道路の反対側の境界線に達する距離が10m以内の場合その半分までを当該敷地境界とみなし、さらに5m延長した位置を10mラインとする。(これが最初の幅の解説)

 

 Dから道路反対側の境界線までの2点間の距離が10mを超えた場合、道路反対側から5m後退した位置を敷地境界線とみなす。

その際、道路境界線から外側延長方向5mの位置を10m境界点とし、それらの複数の5m境界点、10mライン点を結線する事で規制ラインとする方法。(これが2回目の幅の解説)

 さらに道幅等が10mを超えた場合、道路等の反対側の境界線からのD方向に水平距離5mゆえ5mD側に戻った位置をみなし敷地境界線とみなす。

 

 10m以内の道路幅員でもその隅部から道路の反対側には、無数の道路幅が存在すると考える。そしてみなし敷地境界線が確定し結線された規制ラインは、住環境で無い道路等内では、規制チェックする必要がない事を明記している。

 これが発散規制ラインの作図法。

 

 比嘉ブログでは、何度か記述してきたが本来規制ラインは

第百三十五条の十二に準じて規制ラインを作図すると発散方式が正しい作図法であり閉鎖型は、いわば簡便法といえる。

 

ただし東京都では、いずれでも良いと「安全条例」で記述されている。

図4

第百三十五条の十二 における「幅」の記述が「発散方式」の解釈の源となる。

 ところで形態制限の審査の現場では、日影規制ラインの閉鎖型の場合のように本来間違った解釈だが慣用的に使い続けられた場合、

利用が可とされる事がある。

 

 その際、審査の現場で困るのが正しい解釈を不可として慣用的に使用された間違った解釈のみを可とする場合だ。

 

天空率審査の現場でもそのような相談をいただく事が多い。

 その事で用地の有効活用が進まない場合、その用地を実力以下に評価する事となり究極は、税収減となり国益を損なう事になりかねない。

・・・長くなりそうだ・・

 次にいこう。

 

②法56条高さ制限および天空率における「水平距離」の考察

天空率においては、比嘉ブログでおなじみの

施行令132条の法文

第百三十二条 建築物の前面道路が二以上ある場合においては、幅員の最大な前面道路の境界線からの水平距離がその前面道路の幅員の二倍以内で、かつ、三十五メートル以内の区域及びその他の前面道路の中心線からの水平距離が十メートルをこえる区域については、すべての前面道路が幅員の最大な前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。


2 前項の区域外の区域のうち、二以上の前面道路の境界線からの水平距離がそれぞれその前面道路の幅員の二倍(幅員が四メートル未満の前面道路にあつては、十メートルからその幅員の二分の一を減じた数値)以内で、かつ、三十五メートル以内の区域については、これらの前面道路のみを前面道路とし、これらの前面道路のうち、幅員の小さい前面道路は、幅員の大きい前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。
3 前二項の区域外の区域については、その接する前面道路のみを前面道路とする。

 

 日影規制ラインを作図する際に確認した水平距離と同様に考え

2点間の距離を一定に保たなければならない。

 

 適用事例集では、水平距離の考え方も解説している。

慣習的に使用されてきた区分法と水平距離に準じた正しい解釈を並記している。

 

 まずは慣習的に利用された図例から検証したい。

説明の都合上赤字で境界点を1~4まで比嘉が追記した。

「広い道路に平行に区域区分」

 図5

 この場合、、「幅員の最大な前面道路の境界線」の解釈を1,2間では、なくB道路越しの1~3間と解釈している。

 境界線ゆえ1~2間が正しいと思われるが1~3とする事で水平距離2Aを保持できる解釈法をしめしている。

 水平距離ゆえ2Aの距離は、一定でなければならない。

たとえば2~4の境界線がさらに右側に傾斜している場合、本来の2Aよりはるかに長くなり2Aではない状態となる。

 

 水平距離と平行を混同した典型的な例だ。

行政による図例が整形の土地形状などで示される事が多く、この程度の変形敷地に対しても整形地同様に例示するとこのようになってしまう。

 

 一方さすがに適用事例集では、正しい作図法も例示解説している。

図6

 「取扱2円:弧状に区域区分」と記載し水平距離が堅持されている事と「幅員の最大な前面道路の境界線」を敷地の境界点間1~2間である事を示している。

 ところでその際の円弧形状は、多角近似で良いとされるのがJCBAの見解。 多角近似ゆえ多少の誤差を含む事を可としている。その分審査時には、三斜求積による天空率で安全差分が求められれている。

 

 さらに円弧状の2A区分が正しい事を2例追加して解説している。

図7

 A道路の延長方向が屈曲あるいは、行き止まりの場合においても

A道路最大幅員がB道路側に回り込む事に変わりはない。2Aを水平距離で区分すると円弧状になるのが正しい区分法だ。

*簡便法も可とされているので誤解のなきよう・・・円弧状の区分を間違いとする考え方への注意喚起だ。

 

 このような事例は、行政単位で確認すると散見される。

2以上の道路では、令132条で区域区分法されその区域の空地の大小が問われるだけに正しい解釈で解析しなければならない。

 

本日も長くなった本日は、ここまでとしよう。

 

・・コロナの闇からかすかに灯りが見えてきました。

もうちょっとだ!頑張りましょう・・・hi。 

 

 

比嘉ブログ

 

 

 

 


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