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敷地区分方式で不合理になる事例と対処法  例2

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12月18日土曜日 全国的に寒波がやってきた。

比嘉ブログおなじみのムラサキゴテンも今年最後の一凛。

来年もヨロシク!。

 

 先週に引き続き今週も関西ゼネコンの皆さんとの勉強会に参加。

 2週続くといつもの富士山の構図も落ち着いてきた。やはり富士の大地は水平に限る。手前の小川もいい感じだ。

 さて講座の様子は

 1時から6時まで強行したハードスケジュールだったが…皆さんまだ余裕がある・・お疲れ様でした。実践で頑張ってください。

 翌日コロナ禍観光業界の状況視察の為、関西居残り。

本日東の山にうっすら雪が・・・米原大丈夫だろうか。

 

 天空率講座をアップし早めに帰ることにしたい。

 

前回からJCBA「天空率運用の検討」に記述された隣地天空率の運用方法による事例解説を行っている。

今回の事例は

 敷地境界線が円弧状の敷地境界線で境界点間が狭く凹状に屈曲する境界線を含む事例。

 用途地域は商業地域で隣地境界外周に塀がある。

隣地高さ制限を斜線断面で確認すると

隣地高さ制限を超えており天空率で解決したい。

 

まずは

1)敷地区分方式で天空率計算を行うと

 NGになる算定位置が複数存在するが今回特に不合理である算定位置を敷地内に発生したA,Bの算定位置に関して検証考察してみたい。

その前に算定位置に関する法文を確認

第56条 建築物の各部分の高さ
7 次の各号のいずれかに掲げる規定によりその高さが制限された場合にそれぞれ当該各号に定める位置において確保される採光、通風等と同程度以上の採光、通風等が当該位置において確保されるものとして政令で定める基準に適合する建築物については、それぞれ当該各号に掲げる規定は、適用しない。
一 *前面道路の反対側の境界線上の政令で定める位置
二 第1項第二号、第5項及び前項(同号の規定の適用の緩和に係る部分に限る。)
隣地境界線からの水平距離が、第1項第二号イ又はニに定める数値が1.25とされている建築物にあつては16m、第1項第二号イからニまでに定める数値が2.5とされている建築物にあつては12.4mだけ外側線上の政令で定める位置

 

この場合商業地域ゆえ「隣地境界線からの水平距離が勾配2.5とされる建築物は12.4mだけ外側線上」

 

①A部分

当該敷地内に算定位置があり隣地(南となりの)の通風採光を確認するものでは無い。しかも計画建築物の下側に算定位置(魚眼レンズ)が有り、隣地の通風採光環境を計る天空率解析として不合理。

 

②B部分

 

凹部を含む隣地境界線での敷地区分方式はこの様な状態になる。

 

 さらに東側算定位置でのNG部を確認すると

 隣地高さ制限を微小に超えているだけで、NGの算定位置に面する敷地上下部には空地が有り通風採光環境としては良いと思われるがNGとなっている。きわめて斜線断面に近い細幅の隣地高さ制限適合建築物では隣地斜線チェックと同様に高さ制限を越えられない。

 当該敷地内の空地分高さ制限を無視する事ができる天空率解析の原則に反する。

 

 天空率施行以来ローカルルールで策定された隣地天空率の仕様では、この様な不合理な解析事例が多くみられる。

 

 その対処法として「天空率運用の検討」に記述されたJCBA方式だ。

 その解説の中でローカルルールではこのような不合理な事例の場合

「1m以内の屈曲」などローカルルールでは法文に存在しないルールを適用する手法が紹介されているが結論として

 「2 敷地の近似に関する法的適合の可否に係る課題」

と題して

 任意の区間を面する一つながりの隣地境界線を審査サイド、設計双方で協議し設定する事が合理的とする。

 

 「今後の課題である。」のとは、特定行政庁で設定したローカルルール(ほとんどが敷地区分方式)の運用を否定する事は、既存不適格の問題を内包する為できない事と近似方式などの合理的な運用法との使い分けに課題が残る事を指す。

 

 ただし「一隣地の境界線の取り扱い」と題しローカルルールによる「敷地区分方式」「近似方式」「一隣地方式」いずれを利用する事も問題が無いとされており運用は、特定行政庁の判断に委ねるとされる。

 したがって特定行政庁はこれらの方式を理解した上で合理的な方式を選択しなければならない。これらの方式はいずれもJCBA方式として現に存在する。

 

JCBAによる「天空率運用の検討」P101参照

 

2)近似方式で解決する。

 

まずは近似範囲の設定から

 

このように3方向に面する区域で区分した。

この場合

赤部に面した4方向で近似する方法も考えられるがA文字のあるそれぞれの端部から垂直に区分すると円弧で示される隣地境界線に算定位置が発生しない事になる為A,B,Cに面する3区域とする事とした。

*設計審査双方の協議とはこのような区分区域(近似幅)を確定する事。

 

①A側から

近似した区間で後退距離は同一とした高さ制限適合建築物が設定され適法で塀部も区域内に入り天空率比較される。

 敷地区分ではNG算定位置が2あったが上図アイソメ図で確認する限り高さ制限を超えている分を補う空地が十分ある事がわかり合理的。

 

②B側

 

この区域も敷地区分では2算定位置でNGだったが高さ制限を超えている部分は極めて微小だ。天空率でクリアする事が合理的。

 

③C側

 

この区域は東何側角部の空地が天空率をクリアする事に寄与する事がわかる。

 

 以上A ~Cの高さ制限適合建築物は、近似した間を一つの隣地境界線と考えると「敷地区分方式」と同様である事がわかる。

その意味で従来からの区分法と同様の面する方向の思想性は同様だ。

 ただし端部は垂直切断しない。垂直は算定基準線の範囲を特定する為に近似した端部からの垂線の位置まで基準線を延長する為と考える事が合理的。

JCBA方式「一の隣地」3参照

 

3)一隣地方式で解決する。

一隣地では全ての隣地境界線の後退距離を近接する位置で一律に適用される。

 その意味では近似方式を延長し一に設定する事と同義となり面する方向で敷地区分方式の思想性にもつながる。

 

 全ての隣地境界線からの高さ制限と比較されている事がわかる。

 一隣地の場合、算定基準線が日影規制同様隣地に面する外側に規定の距離(この場合商業地域ゆえ12.4m)外側に設定される。

 JCBAでは「一隣地方式」を最も安全側とする。

 

 さて今回も長くなった次回も事例を通じた隣地天空率の設定法勾配区分が異なる場合を解説したい。

 

 次回までお元気で!

 

比嘉ブログ

 

 

 


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