12月25日メリークリスマス!オミクロン株による感染拡大予兆の中呑気な事を語ってる場合では無いが今年最後の比嘉ブログ。
クリスマスには雪が似合う
先週末出張講座帰りの観光地視察を終え(誰に依頼されたわけでも無いが・・)帰りの土曜日、新幹線米原のあたりは前回比嘉ブログで危惧したとおりの大雪。
これが昼の2時半頃・・・。ところがしばらく進むと
夕暮れ間近の富士山がぽっかり雲の演出も有り見事。スマホカメラの精度の高さに改めてびっくり。構図も完璧だ。新幹線も7分ほどの遅れでラッパ仲間の忘年会に無事間に合った。
さてその観光地視察だが久方ぶりにインバウンド無しでゆっくりお寺めぐりができた。
タクシー運転手情報だがこの季節紅葉も終わりそもそも観光客も少ないらしい・・・おや?
今週の講座から
今年最後の講座はゼネコンの企画設計のお二人で天空率講座。
年末多忙につき構造計算も担当するI氏が欠席となった。・・が新年から再開するWeb講座に参加していただくことにした。
1時半から今回は最終回につき延長で6時半まで頑張っていただいた。思い残すこと無し!。
最後にアルビレックスポーズでパチリで卒業写真。またお会いしましょう。
おまけ・・・激写の富士山。(正月も富士山を狙います。)
今年最後の天空率講座開始!
11月からJCBA方式による隣地天空率の解析法を解説している。
今回は、敷地境界線内に用途境界線があり住居系の用途地域と商業系の用途地域に区分される場合の適合建築物および算定基準線の設定法を考察したい。
用途地域が敷地内で区分される場合は、勾配区分区域とし令135条の7 2項で区分法が記述されている。
「施行令第135条の7 隣地との関係についての建築物の各部分の高さの制限を適用しない建築物の基準等」
法第56条第7項の政令で定める基準で同項第二号に掲げる規定を適用しない建築物に係るものは、次のとおりとする。
一 当該建築物****
二 当該建築物***
2 当該建築物の敷地が、隣地高さ制限による高さの限度として水平距離に乗ずべき数値が異なる地域、地区又は区域(以下この章において「隣地制限勾配が異なる地域等」という。)にわたる場合における前項第一号の規定の適用については、同号中「限る。)」とあるのは「限る。)の隣地制限勾配が異なる地域等ごとの部分」と、「という。)の」とあるのは「という。)の隣地制限勾配が異なる地域等ごとの部分の」とする。
制限勾配が異なる地域等ごとに区分される為「勾配区分」とする。
JCBA「天空率運用の検討」では、P117で記述されている。
今回は「勾配区分」における算定位置が発生する基準線の延長に関して考察したい。
第135条の10 法第56条第7項第二号の政令で定める位置
法第56条第7項第二号の政令で定める位置は、当該建築物の敷地の地盤面の高さにある次に掲げる位置とする。
一 法第56条第7項第二号に規定する外側の線(以下この条において「基準線」という。)の当該建築物の敷地(隣地高さ制限が適用される地域、地区又は区域内の部分に限る。)に面する部分の両端上の位置
*基準線の延長を考慮する際「面する部分」がポイントのようだ。
「天空率運用の検討」では 「課題がある」とし面する方向の解釈を2提案している。
①面する部分の両端を隣地高さ制限勾配(用途地域)が異なる位置までとする方法。
②勾配の異なる部分全体(後述する挿絵によるとすべての隣地境界線に面した)「連続した一の隣地境界線」とする方法。
それぞれ検証してみたい。事例が例示されている。
*便宜上すべての挿絵の上側を北方向として解説をすすめる。
*この解説では隣地高さ制限適合建築物はすべて寄棟状に作成されているが算定基準線は、上段が敷地区分方式(屈曲する場合近似方式)による設定法、下段が一隣地方式の場合を解説している。
算定基準線のみを検証する事がこの項の意図するところ。
事例1は「平成14年建築基準法改正の解説」国土交通省住宅局市街地建築課編集(工学図書(株))のP80の図解を基本の考え方とし事例1が作成されている。
ただし東西に面した基準線が示されてない為、JCBA「天空率運用の検討」ではその部分を追加で例示している。
*事例1では勾配区分区域に面する位置にのみ発生。
*事例2の場合は、面する事を判断する事なく隣地境界線の端部まで延長する一隣地基準線の考え方を図示。
事例2隣地境界線端部まで延長する場合、算定位置が多めに設定されることから近隣の通風採光環境を確認する目的に照らすと安全側と考えられる。
ただしその全ての算定位置が第135条の10 法第56条第7項第二号の政令で定める位置「面する部分の両端上の位置」であるのか検証が必要だ。そうでない場合過剰な安全側となり土地の有効活用の観点から問題が残る。
今回はその事を検証したい。
入隅を含む事例の場合、敷地区分方式では事例2同様に従来型の敷地境界点間に面する位置に基準線が発生する際の問題点を
「算定位置の設定が困難な場合」とし例示している。
P1,P2間はBの境界線から12.4mの位置で用途境ZからCの延長位置までとするとP1P2の算定位置がCあるいはDの境界線から12.4m外側に算定位置が発生できない事になり法文に適合していない。
その事を「算定位置の配置が困難な場合」としている。
前回までの解説同様入隅を含む隣地境界線の場合、隣地境界点間に発生する基準線では、この様な不合理がおこる。
その解決方法とし例示されているのが
入隅を含む屈曲隣地境界の場合一隣地で事例2(すべての隣地境界線の外側に12.4m)に設定する方法。
この場合商業系に面した勾配区分区域。
住居系に面した勾配区分区域を追加例示すると
やはり隣地境界線の全域に設定される。
一方、先に例示した国交省の挿絵を再度確認すると
国交省が示したこの基準線の設定法の場合「面する」事を考慮し基準線端部が設定されている。
この面する考え方に基づき入隅を含む隣地境界の基準線および高さ制限適合建築物の設定法を検証したい。
入隅を有する隣地境界線に面する方向を
このように南西東の3方向に面する場合で国交省の挿絵に準じて算定線を設定する事を考察したい。
南側商業系勾配区分区域
南側に面しているが入隅部からの高さ制限はすり鉢状に高さ制限が片流れ状に設定する。基準線は高さ制限適合建築物が「隣地高さ制限が適用される地域、地区又は区域内の部分に限る。」に適合する。
算定基準線も隣地境界線から外側に商業系の規定長さ12.4m外側に設定されており適法。
西側側商業系勾配区分区域
この区域は、入隅部に近接する為、ほとんどが入隅部からの高さ制限で隣地高さ制限が適用されている。
ただし断面図で確認できるが道路側端部の算定位置では西側隣地高さ制限の影響をわずかだが受けている事がわかる。
この事から、面する事は、高さ制限が適用される事と同義と考えられる。
東側側商業系勾配区分区域
この区域は屈曲がなく通常の敷地区分方式と同様の方式で設定可能となる。
以上が商業系2.5勾配の区分法。
南側住居系勾配区分区域
南側に面した隣地境界線からの高さ制限に入隅部も含み完全に適合している事がわかる。
西側側住居系勾配区分区域
この区域では入隅部が近接し隣地高さ制限適合建築物が形成されている。基準線は適合建築物の両端の位置まで。
東側住居系勾配区分区域
この区域は単一の隣地境界線ゆえ片流れ状に作成され敷地区分方式そのものとなる。
結論
隣地天空率における勾配区分区域および基準線の設定法は
JCBA「天空率運用の検討」P117で記述するように事例1で示す隣地境界線に全域の両端まで延長する方法
さらに事例2に加えて「平成14年建築基準法改正の解説」国土交通省住宅局市街地建築課編集(工学図書(株))のP80の図解する面する方向ごとに基準線を設定する2種の考え方で適法に解析する事が可能になる。
いずれの場合でも入隅を含む屈曲した隣地境界線の場合、従来の敷地区分方式の隣地境界ごとに設定する手法では適法に処理できない事を確認していただきたい。(正形敷地のみ適法処理が可)
さて今回が今年最後の天空率講座となります。
今年も比嘉ブログを閲覧いただきありがとうございました。
JCBA方式による天空率解析法を11月からJCBA方式「一の隣地」1から2か月解説してまいりました。
JCBA方式の詳細設定法は「天空率運用の検討」で天空率分科会で討議検証確定された結果が詳細に記述されています。
「基準総則 集団規定の適用事例」は、建築確認の全域をカバーする都合でしょうか道路天空率に関しては「一の道路の設定法」など詳細解説されていますが隣地天空率の設定法の詳細解説がされておりません。(隣地入隅挿絵2のみ)
今回のシリーズをご確認いただき「天空率運用の検討」に準じた
隣地天空率を実事案で活用いただけましたらと思います。
次回の比嘉ブログは1月1日となります。
ドンピシャ正月ゆえ天空率講座はお休みとします。
年明け1月8日の回から天空率講座(日影講座もありますが)を
本格的に再開します。勾配区分を計画建築物を配置した事例で実践解説する予定です。
長くなりました。
来年も比嘉ブログとTP-PLANNERご愛顧のほどよろしくお願いいたします。
良いお正月をお迎えください。