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補足解説 令第132条2項の解釈法

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9月7日土曜日

 今週は、ワールドカップサッカー予選中国戦。

久々のメンバーが活躍で今だ気分が良い。

次回は、バーレーン戦、日本時間9月11日(水)1:00現地は6時間の時差ゆえ7時キックオフ予定、こちらは深夜で大変だが日本選手には暑さが多少和らぐ事を願いたい。

 

 今週の講座からはじめたい。

今週は、新人、中堅、ゼネコン、デべ、金融と多彩なメンバーが講座に参加していただいた。

月曜日は金融系の2回目講座。

復習で用地入力から逆斜、逆日影空間を算出後プランニンング

講座、すいすいこなしていただき道路斜線NGを確認後天空率で解決し面積表作成。進みが早いの天空率の理論まで学習。

次回は最終回頑張ろう!

 

 水曜日20年を超えるお付き合いのゼネコンの新人を含めた研修。

コロナ禍新人時に研修を受けられなかった2年、3年生の一部を交えその第1グループで来社5人とWeb4人のハイブリッド講習。朝からの一日講習で日影規制の基礎学習後プラン機に操作していただいた。最後のパチリはWeb組がこれじゃわからないな~さしあたり金曜日の2Gで工夫したい。次回は天空率から敷地内高低差事案の解決法、WEB組中心に解説したい。次回を楽しみにしてます。

 

 木曜日は静岡ゼネコン設計2人組が先週の台風順延の2回目で来社。

念のため前回の復習後プランニンング作成し天空率理論まで

最後のパチリは変顔で決めていただいた。

ナイス!次回は1週空きで最終回頑張ろう!

 

 金曜日は、水曜日に続きゼネコンの2Gが来社。新人中心の開催。

水曜日と同内容ゆえ省略するが最後のパチリはWeb組もバッチリ

写っていただいた、

 こちらも次回はWeb組中心に頑張っていただく頑張ろう。

かくて過酷な講習週間も無事終了。

 

天空率講座を開始します。

今週は前回の解説補足で、令第132条区分法を解説します。

 

 

 始まりは、法56条1項の基本と不合理を確認する事から始めます。

 

  道路高さ制限の基的な適用法は、基準法56条1項一号で規定されます。

図2

 前面道路の反対側から高さ制限が適用される事が記述されています。

 その事から上図の様に道路幅員Aが広い場合、高さ制限可能空間は大きくなります。その一方、狭い道路に接道する場合高さ制限の可能空間は著しく制限されます。

 

 これが法第56条1項の基本の考え方です。

 

  広い道路Aと狭い幅員Bの道路が接道する2の道路を考えた場合

図3

 1項の記述のみでは狭い道路幅員で高さ制限可能空間が制限され下図のように不合理な結果となります。

図4

 

  Bの狭い道路による高さ制限により可能空間は、Aのみの場合と比較し低下する事になります。

 このことから1項の記述のみでは狭い道路を含む2以上の道路が接道する場合、狭い道路で可能空間が制限される為、用地の有効活用が困難になります。

 

 その事から基準法第56条の2では、6項で

6 建築物の敷地が2以上の道路に接し、又は公園、広場、川若しくは海その他これらに類するものに接する場合、建築物の敷地とこれに接する道路若しくは隣地との高低の差が著しい場合その他特別の事情がある場合における前各項の規定の適用の緩和に関する措置は、政令で定める。               

 

2以上の道路に接する場合の緩和の措置は政令で定めるとあります。

その政令が第132条です。

 

 道路高さ制限の目的に、道路反対側の住環境に通風採光を確保する事があります。

 道路は主に車両等が走行するのみで通風採光を阻害する要因が無いと考えると、広い道路Aに面する敷地側および反対側の住環境の通風採光は良好と考えらます。

 

  一方2の道路においても最大幅員から得ることが可能な通風採光効果は、他の道路B側に面した敷地の部分にも影響すると考えられます。

 

 令第132条とは、広い道路側からの通風採光効果を2以上の道路が接道する場合の広い前面道路による通風採光効果が及ぶ範囲を明記したのが令第132条です。

 

 令第132条による区分

広い道路からの採光通風等効果による区域を施行令第132条は、3項に分けて明記されています。

 

1項ではすべての前面道路に面する最大幅員を適用する区域の区分法です。

 

 2項最大幅員が適用される1項の区域外の他の前面道路中心10m内における区分法です。

 

 この区域では、道路中心10m内に接する道路幅員を比較し広い道路からの通風採光効果は、1項同様、道路中心10m内の幅員を比較し通風採光効果は、それらのうち広い道路側から狭い側にも及ぶことを原則とした区分方法です。

 

 その為、2項が適用されるのは、比較の都合、最大幅員以外2以上(全体で3以上)の道路幅員が接道する際に適用されます。

2の道路では最大幅員以外は1ゆえ比較不可ですので3項で規定します。

 

3項では1項と2項で区分された以外の最も狭い道路幅員が適用される区域を区分します。

 

 令第132条を適用する事により広い道路側からの通風採光の効果を、狭い道路側にも適用する事を目的とします。

 

 お気を付けいただきたいのは、令第132条は狭い道路の通風採光の効果は、広い道路側に対しては適用されません。

 

 もとより広い道路側は、狭い道路以上に通風採光を有する為です。

 その為、令第132条の運用の際には道路幅員差が重要です。

2以上の道路でも幅員差がない場合は令第132条の適用対象ではありません。

 
 令第132条の2項の区分法で「それぞれその2倍」とある事から狭い道路側からも2Cの区分するのでは?という間違った指摘に対して

 

JCBAの検討資料下図を例示し

第1章 天空率(法第 56 条)運用基準及び具体の審査に係る検討

のP50「1.2以上の前面道路がある場合の令 132 条の区域区分」

 この資料は、日本建築行政会議(JCBA)の公的見解です。

比嘉も天空率分科会に参加しておりその事を明記した経緯を記憶しております、

 当時参加された行政サイドからの意見は

「令第132条の目的から狭い道路幅員がより広い道路側に通風採光効果は及ばない事は常識ですのであえて記載の必要はないのでは?」との意見もありました。が結論として上図を明記する事により明記する事としました。

 この内容は、「適用事例」初版にも記載されています。

適用事例 2017、2022も同様ですが令第132条2項を図解説で

で令第132条区域区分を明確にした事もあり現在は

第1章 天空率(法第 56 条)運用基準及び具体の審査に係る検討

に記載されています。

「令132条の規定は、常に広い道路側から幅員の2倍かつ35m以内に区域を設定する。

 

 の記述から「それぞれその前面道路の2倍で区分するとある事からせまいC道路側からも2倍で区分しB,D側に残った区域は3項の区域とするのでは?・・は間違いである事がわかります。

 

 今回は、間違った解釈の要因を検証し令132条2項の解釈を深めたいと思います。

 

2 前項の区域外の区域のうち、2以上の前面道路の境界線からの水平距離がそれぞれその前面道路の幅員の2倍(*)以内で、かつ、35 メートル以内の区域については、これらの前面道路のみを前面道路とし、これらの前面道路のうち、幅員の小さい前面道路は、幅員の大きい前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。

 

赤表示した「・・それぞれその前面道路の幅員の2倍

「それぞれ」とか「その2倍」の意味する事をさらに掘り下げて検証します。

 

1項では

第 132条 建築物の前面道路が2以上ある場合においては、幅員の最大な前面道路の境界線からの水平距離がその前面道路の幅員の2倍以内で、かつ、35メートル以内の区域及びその他の前面道路の中心線からの水平距離が10メートルをこえる区域については、すべての前面道路が幅員の最大な前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。

 

その前面道路の幅員の2倍以内」です。

 

 1項の場合の「その」は、「幅員の最大な前面道路 」を指し幅員の最大な前面道路は、最大ゆえ一で幅員が特定できます。

したがって「その前面道路の幅員の2倍以内」は「最大幅員の前面道路の幅員の2倍以内」で問題ありません。

 

JCBA方式の挿絵では、A>B>D>Cゆえ「幅員の最大な前面道路 」はAと特定される。

 

一方、2項

2 前項の区域外の区域のうち、2以上の前面道路の境界線からの水平距離がそれぞれその前面道路の幅員の2倍(*)以内で、かつ、35 メートル以内の区域については、これらの前面道路のみを前面道路とし、これらの前面道路のうち、幅員の小さい前面道路は、幅員の大きい前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。

 

それぞれその前面道路の2倍」と「これらの前面道路」は、

 

最大幅員以外の道路幅員は2以上ある事が考えられる為、複数を意味する「それぞれ」「これらの」としている。

 

 JCBAの挿絵の例では、B>D>Cの関係だがB,C,あるいはDの事です。

読み替えると

「B,C.あるいはDの前面道路の幅員の2倍以内で、かつ35m以内については、B,C.あるいはDの前面道路のみを前面道路とする。」です。

 

 意図する事は、

「前項の区域外の区域(道路中心10m以内に限る)には、最大幅員AではなくB,CあるいはDの幅員を前面道路とするということです。

 

その道路幅員をどうするが問題で

 

「これらの前面道路のうち、幅員の小さい前面道路は・・」

 

幅員の小さい前面道路とは

(BとCではC、BとDではD、CとDではCがそれぞれの比較で小さい)

幅員の大きい前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。

(BとCではBと同じ幅員を有するとみなす、CとDではDと同じ幅員を有するとみなす)です。

*B>D4ですがBD間はBの境界線から2倍を超えている位置にありD側は、Bの影響を受けません。

*敷地BD間が狭い場合で2BがDの道路中心10mすべてに達する場合は、D側のその区域はB道路幅員とします。

 

最大幅員A12m(北側接道)以外のB11mとC9m間で2項を具体的に検証しましょう。

図1

 

 

 

それぞれその前面道路の2倍」から

B道路11mの境界線から2倍22m①の位置で区分される区域とC9m道路の境界線から2倍18m②の位置で区分される区域は、幅員の大きいB道路幅員が適用されます。

そのB道路幅員が適用されるエリアを色塗りすると

図2

 

このようになります。つまりこれが適用事例集で示される

図3

 

左側の領域②の区域です。つまりこの部分は、B幅員の道路のみが適用されなければなりません。

*右側②はD<CゆえD幅員が適用されます。

この領域②、図2の赤色部はB道路とC道路に面しており適合建築物は、面する2方向で区分されます。

図4

B側は

です。

B側からの奥行が2倍22mではなくB道路境界線から14mで区分されているのは、適用距離25m(11m+14m)がその手前にある為適用距離で区分されます。

*2Bの範囲内で適用距離で区分されます。

2Bが適用距離内にある場合は令第132条2項の最大の区域2Bで区分されます。

*道路高さ制限は適用距離を超えて区分される事はありません。

この事も令132条2項を確認すると

それぞれその前面道路の幅員の2倍(*)以内で

「2倍」では無く「2倍以内」と記述する意図は 2倍ではなく適用距離で区分される場合、その

「以内」が適用される場合の事です。

 

 C道路側(赤部分)適用されるB道路幅員は

図5

この場合も奥行方向が2C18mもしくは適用距離25m(11m+14m)で区分される為、C道路境界線から手前の適用距離14mで区分されています。

*このようにB,Cの道路幅員が本例のように9m、11mと比較的広い場合は2項の区域の面する奥行方向は適用距離で区分される事が多くなります。

 

 このようにそれぞれの2倍はそれぞれに面する道路高さ制限の奥行方向の区分位置を示す事です。

この事例では道路Bが11mで比較的幅広の為適用距離で区分されましたが道路幅員が狭い場合、それぞれの2倍が奥行方向の距離を規定している事が明解になります。

道路幅員が狭い事例で検証しましょう。

図6

 最大Aが10m、B、Dともに8m道路で狭い道路Cが6mの事例だと

道路中心10mの8m道路側に面する区域は

図7

 奥行8m×2=16mは、適用距離の位置25mー8m=17mより内側にあり2B=16mで区分されます。

道路中心10mで6m道路側に面する区域は

図8

奥行が6m道路の2倍12mで区分されています。

 「それぞれその前面道路の2倍」をさらに納得するにはBCD道路が同一幅で幅員差が無い場合で検証すると明確になります。

図9

 最大幅員10m以外の3道路がいずれも8mの場合です。

2項を確認しながら検証ましよう。

 

2 前項の区域外の区域のうち、2以上の前面道路の境界線からの水平距離がそれぞれその前面道路の幅員の2倍(*)以内で、かつ、35 メートル以内の区域については、これらの前面道路のみを前面道路とし、これらの前面道路のうち、幅員の小さい前面道路は、幅員の大きい前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。

この図9の例では、それぞれその前面道路の幅員」は、いずれも8m道路です。

「これらの前面道路のうち、幅員の小さい前面道路」

幅員差が無い為、道路中心10mの区域は、すべて8m道路が適用されます。

図10

それぞれの2倍で区分されるますが幅員差が無い為すべて8m道路の区域です。

図11

 

赤表示の区域つまり最大幅員10mから2倍20mを超えた道路中心10mの区域は、すべて8m道路幅員が適用されることが確定しました。

 

まずは西側8m道路中心10mに面した区域は

図12

図11赤表示の西側に面した区域は8m道路が適用され奥行が

「それぞれその前面道路の幅員の2倍」より16m。

次に南側に面した8m道路側は

図13

赤表示の部分を8m道路の境界線から2倍の位置16mまで延長すると上図の様に左右の部分が突起状に延長されます。

東側は、西側と対象になり

図14

 奥行方向に16m延長された適合建築物が設定されます。

このように最大幅員以外が同じ幅を想定すると明確になるのだが

「それぞれその前面道路の幅員の2倍」は、面する奥行方向の距離を意図する事です。

「これらの前面道路のうち、幅員の小さい前面道路は、幅員の大きい前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。」

は、幅員差がある場合BCDで幅員の大きい前面道路ですがこの事例では同一道路幅員ゆえ前の記述

「これらの前面道路のみを前面道路とし、」

で確定し比較されません。

結論

それぞれその2倍とは、面する奥行方向(適用方向)の距離を規定する事を目的とします。

 

この事は、審査機関でも間違った指摘が時折あるようですがその原因としては

 

①法文に照らして検証してない事。

②区域が自動発生するソフトで間違った区分法で処理する場合がある事

③JWCADの天空率解説本でも当初間違った記述があった事

*現在の版では修正され本例のような正しい処理法の解説になっています。

 

 今回は、サポートセンターに寄せられた令第132条区分に関して天空率分科会メンバーとして看過できずに2週にわたり解説を行いました。

 

 審査の際にご利用いただければ幸いです。

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