Quantcast
Channel: 比嘉ブログ
Viewing all articles
Browse latest Browse all 458

天空率解説書の正しい読み方 1

$
0
0

4月22日土曜日

本日は、薄くもリの土曜日、只今常磐線で取手駅をめざしている。
 そう本日は年に一度の球打ち大会。正月あけの大会は寒くて辛いので暖かい頃の開催を提案したら今年2回目となった。
  そんな状況でして本日早朝にかきあげた分を常磐線からアップし寝ることにしたい。

まずは今シーズン最後の桜の報告から

すっかり若葉の桜に変身、柔らかそうな葉がさらさらと風にそよぐこの桜も良い。

東京のツツジの花は小ぶりで淡いピンク色が良い。密集して咲くだけに美しい。

 

 

この季節の公園は花がいっぱいで選り取り見取り、もう一つ山吹の花も良い。

 

今週の活動報告から

今週は月曜日、設計事務所の新人研修

 

朝9時半から終わりが時計が示す様にPM6時までさすがに疲れたかと思ったが沖縄みやげのサーターアンダギーで皆笑顔で頑張った。初日は日影規制を徹底解説、手計算による逆日影から始まり日影規制物件を4件ほど1000本ノックのようにこなしてもらう。比嘉はグッタリ。足もつりそう。

 

2日めは復習に続きプランニング、面積表、そして天空率を物件を通じて学習。

 

終了は夜8時。皆思い思いのポーズでパチリ。最後までこの元気ぶりはたくましい!

あとは実践あるのみ頑張れ!

本日多忙につき、早めに天空率講座を開始したい。

 平成15年1月天空率施行から早、14年となった。

当方サポートセンターに寄せられる質問には相変わらず極めて基礎的な質問から複雑な条件、あるいは審査期間の不合理な指摘など天空率審査の現場は課題が多いようだ。

  設計者のスキルアップの必要もあるが審査サイドからの指摘も要を得ない場合も多い。

 今回はその事を考察してみたい。

 一番の問題点は、天空率解説本に描かれた挿絵をたよりにするだけで、法文を解釈をしない事だ。

 元祖天空率解説本は、国交省が編集した「「平成14年建築基準法改正の解説」だ。

 天空率が施行された後の2月の国交省主催の有料セミナーにおいてテキストとして配布された。

 天空率審査はこのテキストから始まった。あるいはこの本の解説を待って1月の施行から3月頃から始まったと記憶している。

  なぜそのテキストを待ったのかというと当時、ソフト開発者として天空率施行に間に合わすべく全国の主要な行政をたずねて審査方針などのヒアリングを続けたが、各行政の担当者から異口同音に「入隅状の敷地の取り扱い方が不明。」

 つまり道路、隣地境界にかかわらず境界線が入角状の敷地の適合建築物の作成法が明確でないとのお答え。

 法文を読めば令135条の5以降11までに記述されているのだが・・。

 

 第一三五条の六 法第五十六条第七項の政令で定める基準で同項第一号に掲げる規定を適用しない建築物に係るものは、次のとおりとする。
一 当該建築物(*)の第百三十五条の九に定める位置を想定半球の中心として算定する天空率が、当該建築物と同一の敷地内において
道路高さ制限に適合するものとして想定する建築物(**「道路高さ制限適合建築物」という。)の当該位置を想定半球の中心として算定する天空率以上であること。


 道路高さ制限に適合する建築物つまり従来、斜線規制を行ってきた高さ制限の適用法が明確であればなんら問題になる事はない。

 が入隅の扱いは、ローカルルールで行政単位毎に解釈がなされてきた事も多く、天空率でその形状が明確に俎上にのる事になると、ちょっと待てこれまでのやり方は正しかったのかなと疑問に思ったと推測される。後退距離の採用法など行政単位で指導が異なる事も多い。

 

 さて、その国交省の講習で果たして入隅の処理に関して明確な記述があったか否かだが

 

 解説の挿絵がこの様にことごとく入隅無しの事例ばかり。

基本的な考え方を示すから法文を読み適宜判断してほしいとの事だろう。

 

 いずれにして入隅はこの様に設定しますとのズバリの解説がなされなかった。

 

 これを契機に各行政が独自の方式を発表して審査が始まった。

 

 国交省の解説本の挿絵に入隅がなかった事で、天空率は境界点間で適合建築物を想定するものだと当初判断された。

 

*境界点間の狭い範囲で天空率比較する事で安全側の審査がおこなわれるのではとの判断らしいが?!。

 

 内容の良否はともあれなんとか天空率審査が行われる事になった。ところが、本来、敷地の空地分を高さ制限を超えた部分に充当するのが天空率の基本的な考え方だが、それを無視した境界点間のローカルルールでは無理がある。

 「窓」あるいは「1m以内の屈曲度」など法文にない表現まで駆使し辻褄合わせをしようとしたが元が挿絵による判断で法解釈をせず境界点間で行うとした発想では困難がある。

 比嘉ブログでも何度か指摘した以下の様な問題の数々。

 敷地内の空地を評価する意義はやはり監修国交省住宅局建築指導課、編集建築・都市法制研究会による「平成14年改正基準補等の解説」において

 

 「一般にH/D比の増減による延長方向の通風の増減の度合いよりもむしろ建築物の周囲の空地の増減による横断方向の通風の増減の度合いが多くく・・」と記述され敷地内の空地分を評価する天空率の考え方が記述されている。

*この本を読んでいれば敷地境界点間などの発想にはいたらなかったと思われるが・・・。

 天空率施行直後のローカルルールはこの事から外れる事が多いのも事実。

 これらの混乱を経て発表されたのが編集「日本建築行政会議」(JCBA)による「建築確認のための基準総則集団規定の適用事例」だ。2011年に初版2013年レベルアップした第2版が発刊された。

 今やこの本がタイトルどおりに天空率審査におけるバイブルになっている事は間違いない。

 ついでに申し上げると2013年以降に明確になった「一の隣地」の想定法は日本建築会議のサイト

http://www.jcba-net.jp/news/tenkuritu20100420.pdf

で市街地部会平成 20 年度報告書に掲載された内容がアップされており「適用事例集」と市街地部会報告書の両方が審査時のバイブルとなる。

 ところが、適用事例集およびサイトにある挿絵を見ただけでは当然ながらすべての敷地形状にそものまま適用可能とはならない。やはり法文解釈を伴いながら読み解く必要がある。

 前置きが長くなったが今回は数週間はJCBA適用事例集およびサイトの挿絵の意図する事を事例を通じた検証で考察していきたい。

事例は

道路中心線の交差する角度が117.5℃で120°以内ゆえ8m道路と4m道路の2方向道路で132条が適用される。

 

8m道路が4m道路と交差する位置で行き止まる。その為、「敷地」入力の道路境界線の設定では

 

「始点側行止まり」をチェックする。その事で最大幅員8m道路は始点側で行止まる設定となり。行き止まり道路の設定は通達集による

 

 

行きとまる道路の隅部からみなしの反対側の境界線を設定し円弧状に設定する為だ。

 

 この行き止まりの設定をしない場合8m道路はその延長線上に延長された道路の扱いとなる。

 

8m道路側の道路斜線を確認すると

 

NG天空率計算を行う。

「新天空率算定領域」で適合建築物および算定基準線を発生し

 天空率計算を行うと

 

 

すべての区域でクリアーした。

 

区域毎に確認すると・・・まずは最大幅員8mの区域は

 

通達が意図するように行き止まった隅部から円弧状に適合建築物が想定されているのがわかる。

 この場合の算定位置は、道路の反対側の交点の位置までが通常。反対側の基準線は任意に作図する事で自動処理するか算定基準線の端部をドラッグし交点にスナップさせる方法がある。

 

 問題はその最大幅員が回りこんだ令132条1項の区域でその他の前面道路4m側に適用される最大幅員の区域だ。

 

 

 

ところが審査機関から区域の取り方で修正を要請されたとの事で何事かと確認すると「適用事例集のP195の挿絵の様に円弧ではなく平行に作図した直線で区分する」と見解が示された。

 

最大幅員の境界線から平行に2倍の線で区分するとの事。

 

 今回はこの審査機関の法文の解釈の間違いとP195で解説の意図する事を検証したい。その前に令132条の確認から

 

(2以上の前面道路がある場合)
第132 条 建築物の前面道路が2以上ある場合においては、
幅員の最大な前面道路の境界線からの水平距離がその前面道路の幅員の2倍以内で、かつ、35 メートル以内の区域及びその他の前面道路の中心線からの水平距離が10 メートルをこえる区域については、すべての前面道路が幅員の最大な前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。

 

 適用事例集P195を確認すると

 

この場合の条件が「解説」の赤下線で示した。「図2-6-11の破線部分も「前面道路の境界線」とみなす場合はの条件がついている。

 つまり「最大幅員の前面道路の境界線を本来の赤線部からさらに延長した破線の位置まで延長すると考えたなら」の条件付きだ。

 境界線を延長して考えるならその法的根拠が明確でなければならない。

 この場合、適用事例集でその様に記述した意図は、従来の斜線規制において円弧状の作図が面倒である事より例規資料が簡便的に直線で書かれたケースが多い事。

、さらに面倒なのは、その簡便に表記された例規が審査設計双方で正しいと思い込み使用してきた経緯より天空率といえど例規をにわかに変え難い行政への配慮からそれも可とするだけの意図。

 

 したがって正しく処理された円弧状の区分を間違いだとするのは、本末転倒となる。

 

 蛇足だが勘違いが多いのであえて指摘すると水平距離と平行を混同して使用するケースがあるが

令132条に記述される水平距離とは「同一水平面上の二点間の距離。」の事で、指定された2点間の距離を保ち作図する事で行き道路の場合通達の絵が円弧で作図されるのもこの水平距離の記述がある為。平行とはまるで関係ない。適用事例集の場合、最大幅員の境界線を破線まで延長した簡便な処理法の場合を意図する。

 

 P196をさらに参照するとその事が記述されている。

 

「起点」2A・・A道路とB道路の交点とあり、上記下線部は「出隅部角を起点に円弧状に区分する事が合理的と考えられる。」

 

 なぜ合理的かというと幅員の最大な前面道路の境界線は無理に解釈する事もなくそこにあるだけだ。破線で延長するなどの必要はない。

 

その下側には

 

別の接道条件で同様の区分法が解説されている。

 

 

ところで審査期間の指定どおりに

 

 平行に区分すると緑部の空地が増大する事になりさらに建物規模を大きくする事が可能になる。

 

 TP-PLANNERの操作としては「行き止まり無し」の設定で最大幅員8mはそのまま延長された状態だと判断され円弧状に回り込まない区分法になる。

 

 

 

本例の場合、30m高の南の部分が3.606m幅を広げる事が可能になった。

 

・・・・・それを円弧状に区分した元の区域で解析すると

 

 大きくNGとなる。法文を適正に解釈して判断して頂きたい。

 

この様な事例はまだある。しばらくこれらの事を検証したい。

 

 

比嘉ブログ

 

 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 458

Trending Articles