6月23日土曜日,沖縄慰霊の日。今週末も東京は曇り空。
今週はいろんな事が
月曜日には、大阪北部地震・・塀倒壊による圧死。東北地震直後に比嘉の近所でも塀の見直しが行われ古いブロック塀は改修された。今回は建築基準法違反であろう事か学校の塀が倒壊・・・言葉にならない。
火曜日には、ワールドカップサッカーコロンビア戦勝利。
見事に前回の借りを返してくれた。・・・・でも気持ちはすでに明日のセネガル戦。マネ、サールなど危険な選手がいっぱいらしい。長友が抑えてくれると信じたい。
通勤途中の街路樹として植わっている多分アベリア。真夏でも可憐な花で楽しませてくれる。
さて今週は講座なしでひたすらレポートの作成と来週からの講座の用意。
明日のセネガル戦に備えるために早めに天空率講座を開始したい。
今週の講座は得する内容だ。
天空率講座開始!
このところ当方のサポートセンターに寄せられる質問の中で多いのが変形した道路形状の天空率の取り扱い方の質問だ。
道路適合建築物の想定方法で道路天空率がNGになったりOKになったりがある。
前回解説した最適後退距離の適用と同様に今回とりあげる事案もNG事案が計画建築物を変形する事なく道路天空率がクリアーできる。
事例は
直角に折れ曲がった道路。
こんな道路あるのかな?と思いながら過去解説を書いてきたが実際にこの様な道路の質問だった。(道路が直交している事のみで他道路幅員および敷地形状は比嘉の想定ですが・・)
適合建築物の想定法の違いにより異なる結論を提示する事からはじめたい。
まずは道路高さ制限がNGになる事を確認すると
建物の半分以上がNGとなっている事がわかる、天空率ではそのNG分をリカバリーするだけの空地が存在するか否かとなる。早速解析を開始してみよう。
まずは、NGになる道路高さ制限適合建築物の例
P6
P6(差-0.324%,斜71.879%,計71.555% 天空率近接点)
でNGとなっている。
計画建築物を変えずに道路高さ制限適合建築物の想定法を変更すると
なんとクリアーした。
NG例と同様P6が近接点となるがその差分は
P6(差0.204%,斜71.351%,計71.555% 天空率近接点)
差分が+で十分余裕のクリアーとなっている。
両者の違いにお気づきだろうか?
なぜその様な事がおこるのか今回はこの事を検証してたい。
まずクリアーした道路高さ制限適合建築物の想定法から解説したい。
この場合、後退距離が1m、道路反対側から1mの位置を起点として適用距離20mまで1.25勾配の適合建築物が想定されている。
基準法56条第1項道路高さ制限の原則に照らすと
第五六条 建築物の各部分の高さは、次に掲げるもの以下としなければならない。
一 別表第三(い)欄及び(ろ)欄に掲げる地域、地区又は区域及び容積率の限度の区分に応じ、前面道路の反対側の境界線からの水平距離が同表(は)欄に掲げる距離以下の範囲内においては、当該部分から前面道路の反対側の境界線までの水平距離に、同表(に)欄に掲げる数値を乗じて得たもの
2 前面道路の境界線から後退した建築物に対する前項第一号の規定の適用については、同号中「前面道路の反対側の境界線」とあるのは、「前面道路の反対側の境界線から当該建築物の後退距離(当該建築物(地盤面下の部分その他政令で定める部分を除く。)から前面道路の境界線までの水平距離のうち最小のものをいう。)に相当する距離だけ外側の線」とする。
道路高さ制限は後退距離を考慮した道路反対側の位置から適用距離までを高さ制限される。
この手法では、入隅側も道路反対側の入隅部を頂点として後退距離分円弧状で示した位置を起点として適用距離までを制限する。
いきなり結論だが適合建築物の想定法としてはこの手法が適法といえる。
この事は建築基準法関係通達集 一般編(2)P1141 の解説でも下図の様に示された公からの通達に適合している事がわかる。
さらに反対側の入隅部が隅切りされている場合も
この様に道路反対側を起点としている事がわかる。
したがってこの方式でクリアーしている事に問題はない。
ではNGになった道路高さ制限の適合法は
この手法は、敷地側の入隅部では、適用距離を入隅部以外と同様に敷地側の適用距離20mを敷地側入隅の頂点上から円弧状に作成する高さ制限の起点は
適用距離20m-(道路幅7+後退距離1m)=8m
敷地側入隅部頂点から8mの円弧状の位置を高さ制限の起点として適合建築物を作成する・・・これは簡便法。
簡便法ゆえ間違いとされ不可とするかというとそうでもない
・・・適用事例集P248 で確認するろと
右側のパースを確認していただくとわかるように敷地入隅頂点を起点に適合建築物を作成している。
これは法56条1項に照らすと適用距離など間違っている事になるがJCBAでは簡便法として可としている。
その理由は
天空率の施行直後の各行政の道路天空率の適合建築物の想定法が境界点間で作成するなど適合建築物の想定法が下図の様に行政事に異なった事に起因する。
横浜市と大阪市が入隅は同一の区間でまとめるとなっていたがその他の行政の指導は入隅角の半分で区分し2の道路として扱う内容だった。・・・つまり入隅は2の道路として扱う想定法。
2の道路ならそれぞれ行き止まり道路として区域を作成しなければならない。その場合の適合建築物の取り扱いも
建築基準法関係通達集 一般編(2)で記載されており比嘉ブログではおなじみだが
この様入隅頂点を起点とする作成法になる。
これがNGになった適合建築物の作成法だ。
・・・ダブルスタンダード良いのか?
JCBA天空率分科会においても入隅道路部の作成法で種々検討をした。
法文どおりに道路反対側を起点とする手法でなければならないという意見もあったのだが・・・かたや境界点間で対応する行政がもともと多かった事と、道路反対側を起点とした場合反対側の形状が敷地側の道路境界線と平行でない場合に煩雑になる事より簡便法でも可とする事になった。
したがって法的には問題あるが簡便法として本来の高さ制限適合建築物より建物規模が小になり天空率が比較し大になるならこれでも良しとしようとなった。
当事者としてソフト開発の立場でその時の経緯は明確に覚えている。法的に問題があるのは、適用距離。明確に間違いである事がわかる・・・が安全側なら良しとしようとする考えでまとまった。
その結果どの様になったかというと
青丸で示す入隅部緑の高さ制限適合建築物の高さが左側道路反対側起点の場合、距離がもっとも長くなる入隅部で最大高となっている事がわかる。
一方簡便法では入隅頂点まで一律の高さとなっている事がわかる。
その分左側道路反対側起点の場合は適合建築物の天空率が低下しクリアーする事になる。
天空図の重ね表示で比較すると
天空図上の適合建築物の高さの寸法表示に注目していただきたいが道路反対側起点の場合2.48に対して入隅頂点を基準にしている場合2.15と低いその分高さ制限を超える部分の面積が広くなっている事わかる。
結論から入隅を含む道路の場合道路反対側を起点とした高さ制限適合建築物の方が可さ制限の立ち上がりが高くなる。ただし算定位置はいずれも同じ位置ゆえ、適合建築物の高い壁は大きく投影され天空率が低下する。設計有利には間違いない。
道路反対側を起点とする道路高さ制限適合建築物の想定法が正しい事は次回以降の変形した道路形状を解説する事でさらに明確になる。
さて本日も長くなった次回にしよう。次回までお元気で!