8月25日土曜日。
今週は、金足農業の甲子園に続きアジア大会、池江の活躍を堪能。
今朝は、
男子マラソン井上の優勝・・あの中山、谷口の1-2フィニッシュ・・我らの世代以来で感慨深い。
アジア大会とはいえバドミントンなど久しぶりのメダルラッシュはイイね。
夏休み明けの忙しい最中でスタッフには、申し訳ないが、旧盆ゆえウンケー(ご先祖をあの世からお迎え)のため、木曜日から沖縄。
台風の影響で大揺れのフライトだったが無事トウチャコ。
度々バケツをひっくり返したようなスコールに遭遇するのが夏の沖縄。

今週の講座から夏休み明けの今週火曜日は、日影・逆日影講座
不動産鑑定士、ゼネコン、組織設計事務所のみなさんに参加していただいた。
時間を多少オーバーしたが皆さんよく頑張りました。
講座終了後の記念写真でオートフォーカスのシャッター音のタイミングで見事にくしゃみのH氏。その前の左側二人はいらずバージョンも添付しよう
次回は天空率講座です。頑張りましょう!。
今週から「隣地天空率を再考する」と題して、数回にわたり隣地天空率を解説してみたい。
初日の今回は、隣地高さ制限の起源と目的からはじまり、果たして現況の隣地天空率の仕様が十分機能しているのかを問う事から始めたい。
現在、隣地高さ制限適合建築物の想定法はJCBAでは「敷地区分方式」と「一隣地方式」いずれを利用しても良いとされる。
例えば「敷地区分方式」とは
基本的に隣地境界点間に面した部分毎に適合建築物を想定しそれぞれの境界点間で比較する。
想定法は
出隅に面する境界線側は境界線に垂直区分される。
入隅の場合は当該隣地境界線に加え入隅角の半分までを高さ制限適合建築物として想定する。
今回隣地、天空率を再考するとするのは、この敷地区分方式の場合、天空率比較が困難になる事例が頻発する。その際JCBAでは
「一の隣地方式」を適用する事が合理的であるとサイト内で記述している。
隣地境界点間が狭い上図のような隣地境界の場合、「敷地区分方式」では、敷地内の空地を適切に天空率に反映する事ができず本来の天空率比較の目的と異なる。
この事を正しく理解していただくために、数回にわたりシリーズで解説を行いたい。
今回は、高さ制限のはじまりから解説を始めたい。
高さ制限は、「一般財団法人土地総合研究所」の発表資料によると、大正8年「市街地建築物法」で定められたとあった。
大正8年(1919年)・・100年以上前に遡り当時は尺貫法で記述される。住居系が65尺、住居系以外が100尺の絶対高さ制限があった。
目的は、
・工法あるいは、昇降機を含む技術的要因
・容積率制限がない為の携帯制限として
・欧州の100フィート建物高制限に準じた
等々と諸説あるらしい・・・が、どうやら現在目的とされる通風採光の確保の記述はない。
隣地高さ制限の目的から若干それるが
「1 9 3 1 (昭和 6年)の法改正により、 メートル法 が導入され、 1 0 0 尺制限は3 lm に、 65 尺制限 は20mに変更された。 10 0尺は30.3m、 6 5尺は19.6mであるため、 改正によりわずかに 緩和された。 (1 9 3 1年昭和6年)」
と記述されいずれも切り上げ処理により住居系20m、住居系以外が31mの現在の隣地高さ制限の立ち上がり高となったとある。
中途半端感の高い商業地31m起点は尺貫法の名残である事を確認しておきたい。
隣地斜線の目的に戻る。通常の隣地高さ制限を規定する、基準法56条1項から6項までの記述に、採光通風の文字はみあたらない。
採光通風の記述が登場するのは、天空率利用を目的とする7項が、平成15年に付加されると
7 次の各号のいずれかに掲げる規定によりその高さが制限された場合にそれぞれ当該各号に定める位置において確保される採光、通風等と同程度以上の採光、通風等が当該位置において確保されるものとして政令で定める基準に適合する建築物については、それぞれ当該各号に掲げる規定は、適用しない
7項に採光通風の記述が登場する。
この事は6項までの高さ制限規定では、通風採光を確保する規定として充分ではなかった事が想像される。
その事は、天空率施行前に発刊された国交省住宅局建築指導課等監修の
この本を参照する事で明確になる。
そのQAのコーナーで
「天空率で通風採光が確保できたといえるのですか?」の質問の回答が天空率の基本的な考え方がわかる。
通風採光を確保する手段として「H/D比の増減(*追記 従来高さ制限の事)による延長方向の増減の度合いよりむしろ建築物周辺の空地による増減の度合いの方が大きく・・」
とありさらに通風採光を評価する手段として、人間の視野角、仰角と同様の見え係的表現が可能な天空図が合理的であると記述している。
「H/D比の増減では、つまり従来の高さ制限では、通風採光が判断が適切にできない事を下図で解説すると
建物高さが同一でしかも道路高さ制限を超えている場合(H/D)比による判断では右上の挿絵が示すようにいずれも斜線規制では、NGとなるが、敷地内空地の多いB案に面した道路反対側の環境の方が、通風採光は、良好である事がわかる。
この例では、道路高さ制限で表現しているが、隣地高さ制限でも同様だ。
敷地の空地を確保する事が、「開放度」も同時に確保しうるともある。
つまり単一断面で表現される従来の斜線規制でNGでも、その分に見合う敷地内空地があれば、通風採光はもとより開放度も確保できると記述されている。
この「敷地内空地」記述は、天空率の審査方式を検証する上でキーワードとなる。つまり隣地高さ制限適合建築物に敷地内空地の有無が適切に評価されているか否かがポイントとなる。
その事は、道路高さ制限適合建築物を設定する場合でも同様だ。
道路高さ制限適合建築物は、「一の道路」の考え方の採用により敷地内空地が正しく評価されている。
「敷地内空地を高さ制限適合建築物に適切に反映させる事。その事を念頭に置いて現況の審査方式を検証していきたい。
天空率審査におけるバイブルとされる適用事例集では前述したように道路天空率に関しては詳細に解説されている。・・が、隣地高さ制限適合建築物の作成法はほとんど記述されていない。
「2017年度版 建築確認の為の基準総則 集団規定の適用事例」
編集日本建築行政会議
も隣地天空率の記述となると、極めて説明不足と言わざるをえない。
驚くなかれ、適用事例集では、隣地天空率に対して記述されたのはわずかに以下の2ページしかない。
まず1ぺーじ目は
P230「入り隅隣地における後退距離(隣地斜線制限)」
後退距離の計測位置を表記解説しており、高さ制限適合建築物の作成法を記述するものではない。
つまり「区分された区域ごとに後退距離を設定(a,b)」とは、隣地区域区分された区域毎に後退距離はa,bの単一の値で確定する事が、記述されているだけだ。
繰り返すが、適合建築物の作成法は、記述してない。
(*慣習的に冒頭示した敷地区分方式では入隅角の隣地境界線は入隅角の半分までとする。その考え方を解説したものでもない。)
次に2回目の記述がP253に
[(2)隣地に高低差がある場合」の項で
これは3mを超える地盤面が存在する場合、3m以内毎に高低差区分区域を想定しその区分ごとに区域を設定し天空率計算を行う事が書かれているにすぎない。
どの様に高さ制限適合建築物を作成するかには触れてない。
左側に作図された平面図を確認していただければ明白だが、道路境界線の位置が記述されていない。(その様な敷地はあり得ないはずだが)高低差区分区域も隣地境界線と思われる境界線に直角に区分されている。
この場合下側のみ隣地境界線で他は道路とすると、「敷地区分方式」「一の隣地」いずれの手法でも同様になる。
いずれも隣地高さ制限適合建築物の作成法を、解説しているわけではない。それに面する算定基準線の設定法も、解説していない。
結論から「**適用事例」では隣地高さ制限適合物の想定法に関する記述はない。
では、適用事例集以前のバイブルとされていた天空率施行直前の公的資料「平成14年建築基準法改正の解説」を確認してみたい。
そのP79の挿絵で陳地天空率の適合建築物の作成法を確認すると解説記述は施行令を解説するもので問題はない。
問題は途中挟まれた挿絵で極めて意味不明なイメージが掲載されている。
例えば「隣地高さ制限を適用しない建築物の基準(令135条の7関係)
隣地高さ制限適合建築物のイメージとあるがこの挿絵が解釈困難。
挿絵を見る限り矢印で示された「隣地境界線」とある境界線が隣地境界線である事は明白だがその他の境界線がこちらで書き込んだAの道路境界線を除きB,Cが隣地境界線のかあるいは道路境界線なのか不明だ。
まずBは敷地内空地とみるのが適切だと思うが、隣地適合建築物が敷地半分ほどで区分されている。その事からするとBは道路と判断した方が合理的とも思える。
この様に隣地高さ制限を想定する事は、従来の隣地斜線も含めてありえない。C側の境界線も道路なのか隣地なのか明確でない。Cが隣地だとすると従来の隣地高さ制限なら寄棟状に両隣地からの高さ制限が適用される。
次に続くP76の挿絵
これは隣地高さ制限建築物を断面で表現しており、前述したように敷地内空地を含む屋根布施図で表現してない為、隣地高さ制限適合建築物の解説としては十分でない。
(最も先に提示した「隣地高さ制限適合建築物のイメージ」の表現がそれだとしたいのかもしれないが)
地盤面が3mを超える場合、高低差区分区域毎に比較するが、この挿絵は、隣地・北側高さ制限適合建築物とあり必ずしも隣地高さ制限適合建築物を示していない。
当初、ローカルルールが各行政で提示されたのは、そこに記述された文章を解釈する事なく、あいまいな参考図を参照して決めた為に混乱を招いたと思われる。
その為に適用事例集が2版まで発刊されたのだが、隣地天空率に関しての記述は、前述のとおりで十分ではない。
当然、コンピュータ処理を前提とする天空率計算ゆえ当方としても明確にしないわけにはいかない。