Quantcast
Channel: 比嘉ブログ
Viewing all articles
Browse latest Browse all 458

隣地天空率再考 7 一の隣地方式検証

$
0
0

 12月6日土曜日。

東京は、昨日の大雨がうその様な快晴。

3連休が2週続きあけで1週間の長さを感じた今週だが・・。

今日から3連休だ。

フムフム体育の日ネ。もともと10月10日1964年東京オリンピック開催日。やはりオリンピックやるならこの季節だよネ・・と語りつつ・・一方で台風がやけに多い年だ。

 2週連続で沖縄直撃のようだ・・。台風は、慣れっこゆえ問題ないと高を括っていたのだが実家からの報告では停電が3日以上続き断水も長く続いたようだ。・・今週は、何事もなく通過してほしいと願ったのだが、すでに大きな被害が報告されている・・心配だ。

 ・・・・・

今週のお花から始めよう。 

 

 これは、快晴の火曜日に会社のエントランスに植わってるマンデビラ。メキシコ原産でキョウチクトウ科に属するらしい。

花びらが可愛らしいので思わずパチリ。

 

今週の講座から

今週は、組織事務所の設計メンバーから2名で参加。

水曜日は、日影規制講座。逆日影チャートの利用法を理解していただき土地情報から日影規制可能空間を高精度でスピーディーに算出する方法を解説。チームジャパンのポーズで記念撮影。

 

 翌木曜日は、3D日影チャートを解説。NG建物を3D日影チャートで効率的にクリアーする方法を解説。

 そして天空率理論から実践。3方向道路でNGになる天空率事案を解決。行き止まり道路、隣地天空率を解説いつの間にやら予定時間オーバーだ。4年で日本語完全マスターで時々挟むバカ話にもついてきた欧州出身のF氏と元気なI女史。あとは実践あるのみまたお会いしましょう。!頑張れ!

 

さて天空率講座を始めよう!

隣地天空率の解析手法を下図の事例を用いて解説している。

図1

敷地区分方式の解説から始まったこのシリーズ。

前回は、近似方式を解説した。

近似方式は、敷地区分方式の問題点を解消すべく提唱された「一の隣地方式」を面する方向毎に隣地境界を設定する手法。

図2

 

 隣地境界点間で区分する敷地区分方式の場合、利用が適するのは、正形敷地のみ。

 

 今回は、しつこいようだが、敷地区分方式の解析結果を別角度から検証する事から始めたい。

 

 本例の様な入隅を含む屈曲隣地境界では

図3

 

 敷地内空地の分、高さ制限を超える事が可能になる天空率の基本的な考え方から逸脱する。つまり単に平成14年以前の高さ制限と何ら変わる事がない。上図の区間の場合高さ制限を超えた赤で示す計画建築物は、高さ制限をわずかに超えた

図4

この形状。つまり35mの計画建築物が27.5mまで下げなければおさまらない。

 計画建築物としては

図5

このような残念な建築物と化してしまう。

天空率比較が求めているのは、そのような結果ではない。

斜線なりの建物形状カットを良しとしない、採用された天空率比較の結果がこれでは、納得し難い。

 

さらに算定位置に関して

図5

青枠の部分が敷地内空地だがその空地に最も近い位置あるのがこのNGの算定位置。繰り返しになるが敷地内空地の分、高さ制限を越えられるのが天空率。その空地に面する位置にありながら空地が天空率に反映されない。現実の環境と異なる事になる。

 

 上図算定位置に関しても当該敷地内に設定されている。

算定位置に関しては施行令135条10に記述されている。

 

第一三五条の一〇 法第五十六条第七項第二号の政令で定める位置は、当該建築物の敷地の地盤面の高さにある次に掲げる位置とする。

一 法第五十六条第七項第二号に規定する外側の線(以下この条において「基準線」という。)の当該建築物の敷地(隣地高さ制限が適用される地域、地区又は区域内の部分に限る。)に面する部分の両端上の位置
 
 

「当該建築物の敷地に面する部分」とは、

 

平成14年金地区基準法改正の解説」国交省住宅局市街地建築課編集に

図6

 挿絵で示す様に敷地の外側を示している。
敷地区分方式の正当性が、この挿絵にあるとするなら算定基準線が敷地内に設定される想定法には疑問が残る。
 
 ちなみに第56条7項でも

 

第五六条 七項

二 第一項第二号、第五項及び前項(*) 隣地境界線からの水平距離が、第一項第二号イ又はニに定める数値が一.二五とされている建築物にあつては十六メートル、第一項第二号イからニまでに定める数値が二.五とされている建築物にあつては十二.四メートルだけ外側の線上の政令で定める位置

 

隣地境界線からの水平距離が::だけ外側の線とある。

当該敷地内に算定基準線があるという事は、計画建築物の直下に魚眼レンズを配置するような事もおきてしまう。

たとえば

図7

算定位置の真上に計画建築があるにも関わらず魚眼レンズには凹側入隅側の敷地境界線に面した部分のみが天空率比較の対象となる。

 

 天空率が施行されて以来、感心したのが道路天空率に関しては、現実的な法解釈で魚眼レンズを配置する。

例えば

図8

適合建築物の後退距離は計画建築物の後退距離内であれば自由に設定する事が可能だ。

ところが算定位置に関しては

 

法第五十六条第七項第一号の政令で定める位置)
第一三五条の九 法第五十六条第七項第一号の政令で定める位置は、前面道路の路面の中心の高さにある次に掲げる位置とする。
一 当該建築物の敷地(道路高さ制限が適用される範囲内の部分に限る。)の前面道路に面する部分の両端から最も近い
当該前面道路の反対側の境界線上の位置

後退距離に関係なく当該前面道路の反対側の境界線状の位置とする。天空率施行直後に行政サイドでも間違いがあったように後退距離とリンクしその分道路の反対側から移動しそうだがさにあらず道路の反対側に限る。

 この事は、仮に5mの後退距離だとした場合道路の反対側からさらに5m移動した位置には建築物が配置されている可能性が高い。

床下の環境を測定しても意味がなく、天空が広がる位置としては道路の反対側の境界線以外は考えられない。極めて現実的な方式だ。

 さらにいえば天空率を規定する施行令135条の5では

 

(天空率)
第一三五条の五 この章において「天空率」とは、次の式によつて計算した数値をいう。
Rs=(As-Ab)/(As)
この式において、Rs、As及びAbは、それぞれ次の数値を表すものとする。
Rs 天空率
As 地上のある位置を中心としてその水平面上に想定する半球(以下この章において「想定半球」という。)の水平投影面積
Ab 
建築物及びその敷地の地盤をAsの想定半球と同一の想定半球に投影した投影面の水平投影面積

 

天空図に投影するのは、「建築物およびその敷地の地盤」とある。

地盤とは道路中心高が敷地の地盤面より低い場合

図9

建築物の外周の地面(地表面)の平均高さを敷地の地盤面とするがその地盤面以下の部分を地盤として含めなければならない。

 

敷地の地盤も含めて天空図を作図し解析するのは

図10

 

 

 地盤を含めないと建築物が宙に浮いた状態となり、ありえない見え係となる。また天空率計算を行う場合に解析が煩雑になる事もあるだろう。

 

 事程左様に天空率の仕様は現実的だ。

隣地天空率だけあり得ない位置、見え係を採用するとは思えない。

 

 それらの事を解決する為に日本建築行政会議(JCBA)で策定したのが「一隣地方式」。

「一隣地方式」の設定法の解説は

隣地天空率再考4 一隣地方式で解説したので再度参照していただく敷地区分方式で生じた問題点が解消されている事を確認したい。

 

図11

結果円弧部が、NGとなった。

NGになった原因の特定は後半に行うとして「一の隣地」の想定法の検証を「外壁後退」と算定基準線から検証する。

図12

 

JCBAで適用事例集で隣地の後退距離の設定法が解説されている。

「2017年度版 建築確認の為の基準総則 集団規定の適用事例」

編集日本建築行政会議

 

これは敷地区分方式の後退距離の取扱を記述しているが区分された区域毎に一の後退距離を採用すると解釈する。

 

 今回一の隣地ゆえ後退距離も一となり南側の1.376mが採用されている。⇒適法

 

次に算定基準線(算定位置)

これは、隣地境界隅部から円弧状の基準線で発生した算定位置。

JCBAのサイトでは

基準線の作図法に関して

http://www.jcba-net.jp/news/tenkuritu20100420.pdf

*日影規制ラインの作図法56条の2

日影による中高層の建築物の高さの制限)
第五六条の二 
二*隣地境界線からの水平距離が、*7定める数値が一.二五とされている建築物にあつては
十六メートル*だけ外側の線上の政令で定める位置
 
建築物の各部分の高さ)
第五六条
7 **
二 *隣地境界線からの水平距離が、*数値が一.二五とされている建築物にあつては
十六メートル外側の線上の政令で定める位置

 

 天空率基準線の作図法法第56条7項二号において16m外側。

同じ書きぶりゆえ同じように作図する。

図13

 

 

 西側の凹状の隣地境界線から外側の算定基準線は端部の位置から水平距離16m外側に設定されている。

 

 おなじみの日影の規制ラインと比較してみよう

図14

 

凹部の隣地境界線から水平距離10m(5m)外側に作図される。この作図法で問題になる事はない。⇒適法

 

 次に全ての隣地境界線からの隣地高さ制限に適合するか否かをチェックすると

まず東西方向

図15

 

右側の斜線断面線以下に緑の隣地高さ制限適合建築物が設定されている事がわかる。

南北方向は

図16

斜線断面内に設定されている事がわかる。

寄棟状に設定されている為、全ての隣地境界線からの高さ制限に適合する為に、「敷地区分方式」「近似方式」いずれの方式と比較しても低く設定される。その事からJCBAでは「一隣地方式」を最も安全側とする。 

 

第3章 天空率に係る検討 P101

 

 最後に今回NGとなった算定位置の合理性を検証してみたい。

 

 

隅部から発生した円弧状の算定位置でNGになっている。

この算定位置から視界にある適合建築物は、隅部ゆえ寄棟で両側から高さ制限を受ける為、適合建築物が低くなり赤表示の計画建築物が大きく高さ制限を超えている事がわかる。(従来の隣地斜線でもこのようにチェックされている為、常識的な話にすぎないが・・)

 その為正面の緑部の空地より高さ制限を超えた部分の面積が天空図に大きく投影される事になる。

 

 天空率比較図で確認すると

図17

 

前面の空地の20mを超えた部分に赤表示の計画建築物が確認される。

 赤表示の高さ制限を超えた部分の面積が42.576に対して左右の空地は22.024と2倍近く高さ制限を超えた部分の面積が大きい。

したがって天空率がNGとなる。従来の高さ制限に忠実に適合建築物を作成するこの様に極めて安全側の処理が行わる。JCBAでもっとも安全側とするのはこの事を意味する。

 

 次に

この事案もチェックといきたいところだが、今回も長くなった次回にしよう。

 3連休をお楽しみ下さい。次回までお元気で!hi

 

 

比嘉ブログ

 

 

 

 

 

 

 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 458

Trending Articles