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隣地天空率再考 8 一実践検証敷地区分方式

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 10月13日土曜日

東京は、冬到来を思わせるひんやりとした土曜日。

公園を散策すると 

ムラサキシキブの実。聡明、上品が花言葉・・朝から勝手に高貴な気分・・・てか?。

今週は天空率講座で語りが長くなりそうなので早々に始めたい。

 

 まずは今週の講習から

今回は昨日金曜日、福岡の不動産鑑定士の皆さんに建物想定講座

 朝9時半から夕方6時近くまで頑張っていただいた。かつて日大の不動産鑑定士の為のCAD実務修習を受けていただいたH氏との8年ぶり再会ありで皆さんとワイワイいいながら楽しい1日でした。

また勉強会しましょう。お疲れ様でした。

 

 天空率講座を開始しよう。

 前回まで、下図の事例で「敷地区分方式」「近似方式」「一の隣地方式」による隣地天空率計算の手法の比較を行ってきた。

図1

 

 結論として隣地境界点間が狭い場合、あるい凹型の敷地形状を有する敷地において「敷地区分方式」は、法的整合性に欠ける事を解説した。

 敷地区分方式は、基準法56条7項の天空率の目的が6項までに記載された高さ制限を超えた場合でも、敷地内空地が十分であれば高さ制限は不要とする基本的な考え方に・・・・基づかない。これが結論。

 

 法的不整合では、本来隣地境界線の外側に配置されなければならない算定位置が凹型隣地境界線を有した場合、敷地内に配置される。

 

 これらの事より敷地区分方式で隣地天空率計算が合理的に適用されるのは、整形敷地で境界点間が敷地全体に面する場合に限られ

まさに

この左側の敷地に限定される。

 

 今回は、さらに境界点間が狭くさらに数が多い(36境界)場合、その傾向がさらに顕著になる事を解説したい。

 

 事例は

図2

第1種住居地域のこの事例。南側、東側に凹型隣地境界線を有する。A側に高層棟、B側に低層棟の事例。

 

A側隣地斜線は

図3

隣地高さ制限を大きく超えている。B側の低層棟では

図4

高さ制限内に収まっている事がわかる。

 

 この事例を「敷地区分方式」でまず解析してみたい。

まずは計算結果から

図5

 算定位置が配置される基準線が、隣地境界線の数分36区域解析しなければならないのが、敷地区分方式。

 円弧で囲った基準線が当該敷地内もしくは隣地境界線から16m外側にないケースが6存在した。

 

 この様な敷地形状は、けして特殊でない。この事案も当社に質問として寄せられた事案をアレンジしたものだ。

 

 これを実際に計算するとこの様な事になるという事、その不合理をお伝えしたい。

 

 まずは、南西側広い道路脇の隣地境界線から

図6

 ほぼ道路に面したこの区域には、計画建築物が存在しない。

天空率は高さ制限を超えた計画建築物と高さ制限適合建築物の比較だ。

 計画建築物のないこのエリアでは、空地の有無の比較の意味がない。無駄な検討をしなければならない。

図7

 

 

次の区域は、高さ制限を超えた大幅に超えた区域だが境界点間で区分すると本来図6のエリアからの通風採光が得られるのだが無視するのが敷地区分方式。魚眼レンズには敷地内の天空が全て投影される。その中で比較するべきだ。

図8

 

 この区域も同様。東側の低層部は、高さ制限以下の建物ゆえその上空からも通風採光が得られるのだが敷地区分方式では無視される。

 

 図9

 

 

 

 

 この場合算定位置に着目して頂きたい。結果はNGとなっているが低層部に近接しているこの算定位置で通風採光がNGになる事は、現実の隣地環境では、あり得ない。敷地区分方式の魚眼レンズの投影法に問題がある事は明白。

 

図10

この部分は低層部に面している為、結果としてクリアーになっている。そこで図9のNG算定位置と比較していただきたい。高層部から遠くにある図9でNGになる事は合理性に欠ける。

 

 図11

 

 この場合は円弧で示す位置に算定位置を配置するのが敷地区分方式。当該敷地内のしかも建物の直下の天空図は本来真っ暗になるはずでこれも現実と異なる.

 

図12

この幅狭の区分は、H/D比の斜線断面図と同程度の判断となり天空率比較を行う意味がない。

 

図13

 

この区域は、

図14

  この様に片側が入隅になっているこの8の隣地境界線が赤線で示す線分以下でカットされなくなった場合、この区域の検討は不要となる。敷地をわずかに変更するだけで天空率の結果が大きく異なる事。

 この事は、JCBAの適用事例で解説する

図15

 形式的な敷地分割による脱法的行為を防ぐ為とある。この場合も同様だ。

図16

 

この区域は、西側の高層部がわずかにかする程度でほぼ全域高さ制限内にある、その上空から通風採光が高層部に面した隣地にどの程度、寄与するのかを確認したいのが天空率の基本的な考え方。

 

図17

この区域も単に高さ制限のチェックと変わりない、たまたま低層部で高さ制限内の計画建築物ゆえクリアーするのは従来どおり・・天空率計算の意味がない。

ここまでが概ね南側のそれぞれの隣地境界線とする区域で10区域。

さらに東側をみるとぞっとするが実践ゆえ敷地区分ですすめてみたい。

 

図18

図19

図20

図21

図22

 

図23

 

 まだまだある。東側で22区区域ある。もちろんこれまで記述したとおりで、そもそも高さ制限におさまっているエリア。知りたいのは、その分の上空の空地が他の高さ制限を超えた区域に、どれだけ寄与するのか。

残り東側は省略します。

 ところで

図24

 

 隣地天空率は隣地境界線から16m(住居系)外側の位置でチェックするのだがこの様に境界が湾曲している場合、上図青円で示す様に同じ場所の算定位置(環境)を何度もチェックする事になる。

 本来、隣地境界に面した位置で均等に8m以内に通風採光を確認しなければいけないと思うのだが・・実現されてない。隣地環境のチェック位置が偏ってしまう事も天空率算定位置の目的に基づかない。

 

次に北側でこの区域もほぼ低層部に面している為、東側と同様になる。隣地境界線端部の道路と隣り合う隣地境界線も低層部に面している事、幅狭の為、

図25

 

高層部に近接しながらその影響をほとんど受けないという不合理。

 

 さて問題はさらに用途地域で区分されている場合

図26

用途地域(制限勾配)が異なる場合、その勾配区分ごとにさらに区分しなければならない。すると36境界ある隣地境界線の場合、勾配区分が2になるとその2倍にさらに区分される。

 

 区域の区分はさらに敷地内高低差が3m以上ある場合、高低差区分ごとに区分されなければならい。

図27

高低差が2種あればさらに2倍の区域で区分されると約140区域。

実際そのような物件の場合、審査期間も制限日数内にチェックは不可となり一の隣地方式でなければチェック不可となった。

 

 では「一の隣地方式」で本例はどのように区分されるのか?

・・・・次回にしよう。敷地区分の今回の問題点が解消されているのかがポイント。

次回までお元気で!

 

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