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隣地天空率再考 12 一隣地:「天空率の運用の検討」から1

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11月10日土曜日

とうとう11月も2週目が終わろうとしている。

週末の東京は、先週と同じで雨続きから一変し快晴。

小春日和・インディアンサマーだ。

 

 今週は忘年会の日程調整に時間を取られるなど2018年もお終いのカウントダウンが始まった。

 

 先週ラッパのライブの話をしてしまった都合、こんなんでどうでしょう。

TOKUを気取って歌とラッパで「I could write a book」。

年々場慣れて多少楽しみながら吹けるようになった感じだが・・・まだまだ・・・・・・来年こそうまくなりますようにっと!。

 

これは、キバナコスモスかな

晴れた日の公園には、色鮮やかな黄色がいっぱい。

 

 さて、今週の講座は

毎年恒例の行政の皆さんとの勉強会。

道路天空率から、比嘉ブログ講座でもまとめを行っている隣地天空率を理論そして実践で操作をしながら検証した。

 現在比嘉ブログで解説中の「一隣地」の考え方の適法性を確認していただいた。

 熱心に意見交換をしていただき、勉強会は、予定の5時をまわり5時半過ぎまで続いた。

また勉強会でお会いしましょう。

 

 さて天空率講座を開始したい。今日も盛りだくさんの内容だ。

 

 

前回は、

図1

 用途地域が20m路線で区分され商業地域と第一種住居地域と異なる勾配区分で解説。

 「勾配区分」の隣地高さ制限適合建築物の作成方法を「敷地区分」、「一隣地」、「近似方式」で作成しそれぞれ考察比較した。

 

 結論から、敷地区分方式が屈曲隣地境界を有する敷地形状で内包する問題点がさらに先鋭化、され

隣地天空率再考 4 一隣地方式 1で解説した敷地区分方式の不合理が拡大した。

今一度掲載すると

図2

上図の隣地境界線天空率を敷地区分方式で解析する際に下記の不合理がある。

敷地区分方式を適用する事が著しく困難な場合

 

①隣地境界点間がせまく敷地内空地が天空図に適切に反映されない場合。

*隣地境界線は❶同様に微小に屈曲する敷地境界点が多い。その際上図のNGは、青枠で示す敷地内空地に近接しており、通風採光の環境としては良好と思われるが、その空地は、解析対象外となりNG。

 

②凹状の隣地境界線で基準線が当該敷地内に発生し隣地境界線から外側の規定幅(12.4mもしくは16m)の位置に設置できない場合。

 

*この場合は、算定基準線の配置位置の不合理。

そもそも隣地天空率は、隣地における通風採光を測定判断する目的だが、自分の敷地内で算定する不合理がこの様に狭い凹型隣地境界の場合にみられる。

 魚眼レンズを配置する基準線が当該建築物の直下に配置された場合・・・天空率で通風採光を確認する目的に適合しない。

 

 

「敷地区分方式」は、天空率計算を行う為の本来の目的とかけ離れている事がわかる。(天空率計算の目的は、高さ制限を超えた部分に対して敷地内空地が確保できているか否かが問われる)

 

 

 天空率比較を行う目的は、国土交通省住宅局建築指導課等の監修

「平成14年改正基準法等の解説 新日本法規」に明確にしるされている。

 

 天空率計算は、魚眼レンズにより見え係を表現しており敷地の空地を天空図に反映する事により従来の高さ制限(H/D)による通風採光の評価法の問題点が改善できるとされる。

 

 この事は「天空率により通風採光を評価する事により街並みがばらばらになるのでは?」の項の回答と合わせ読むことにより天空率に求められる事が明確に記述されている。

 

 

 天空率は、街並みの形態の不統一は否めないが敷地単位で考える、つまり敷地内の空地の大小が通風採光の指標として合理的であるとする。

 

 この事から、東京方式試案などローカルルールからはじまった「敷地区分方式」は、天空率利用の目的に反する。なぜなら「敷地区分方式」では、敷地内空地を正しく評価できない。

 

 敷地区分方式の可否を問う前に「敷地区分方式」の最大の問題点はJCBA(日本建築行政会議)で発行された「基準総則・集団規定の適用事例」を含めて、その想定法を記述した公的資料が存在しない事。

 

 適用事例集では隣地天空率再考 1で解説したように「後退距離は、隣地境界線ごとに後退距離を設定する」と記述されているだけだ。適合建築物を境界点間で作成するなどの記述はない

 

 

 

一方「一隣地方式」「近似方式」に関しては、JCBAではその報告書「天空率の運用の検討」において基準線の法的根拠も含めて詳細な記述がされている。

 

 天空率の審査の現場で、事程左様に不合理な敷地区分方式など法的適合性に欠ける審査方式を設計者に強いる審査に直面すると愕然とする

 

 「隣地天空率再考」シリーズもまとめに入る今回は、「天空率の運用の検討」を詳細解説する事により隣地天空率のJCBA方式の考え方を検証したい。

 

 隣地天空率の解説は、P101から始まる。

 ポイント1

隣地境界線事に敷地を区分する事が困難「隣地境界線を「連続した隣地境界線」とし、敷地を区分せずに天空率を適用する事ができる。

 

⇒結論から「一隣地方式」を可能とする。

 

ポイント2

の隣地境界線の任意の部分を内接した線分で近似し、「連続した一の 隣地境界線」として敷地を区分せずに天空率を適用することも可能とする。

⇒近似方式も可能とする。

 

ポイント3

特定行政庁の判断に委ねられる事から「敷地区分方式」などの他の運用をさまたげるものではない。

 

⇒現況の敷地区分方式を慣習的に行ってきた、特定行政庁を否定するものではない。ポイント1で記述する様に敷地区分方式では困難な事が多い事より、「一隣地方式」「近似方式」などの適切な想定法がある事を認識してほしい事がその意図。

 

取扱に至る考え方

この部分は隣地境界の定義も含めて隣地天空率を行う場合の基本的な考え方が丁寧に解説されている。以下に転載。

 

(3)取扱いに至る考え方 ・多角形による隣地境界線については、多角形の辺ごとに区分して隣地境界線を捉えるのか、多 角形の全ての辺をまとめて1つの隣地境界線として捉えるのか、法的に明確な規定がない。 ・その要因としては、法 56 条第1項では、隣地境界線の形状なりに連続して斜線を想定すれば よいため、一の隣地境界線の捉え方を敢えて明確にする必要性がないことが考えられる。

 

 ・質疑応答集 P5056(参考1)では、

隣地境界線が不整形な場合の隣地斜線制限の適用を示して いるが、図のような曲線状の隣地境界線は「1つの連続した隣地境界線」として捉えること が妥当であると考えられる

 

 ・一方、多角形による隣地境界線は、辺の数が限りなく多くなると、曲線状の隣地境界線に限り なく近くなることから、曲線状の隣地境界線と多角形による隣地境界線とで考え方を別にする 必要性もなくなると考えられる。したがって、多角形による隣地境界線についても、曲線状の 境界線と同様に、1つの連続した隣地境界線として捉えることも不合理ではないと考えられる。

 

この様にJCBAにおける隣地境界線の考え方が記述されている。

 

・また、「平成 14 年建築基準法改正の解説」P79(参考2)では、「隣地境界線が2以上ある場合」 が示されているが、多角形による隣地境界線を1つの連続した隣地境界線として捉えた場合に おいても、図 21 のとおり、複数の道路境界線によって、敷地境界線が連続しない2つの隣地 境界線に分かれた場合に限り、「隣地境界線が2つある」として捉えることも可能である。 ・隣地境界線を内接した線分で近似する場合、連続する隣地境界線全体ではなく、部分的にまと めて「1つの連続した隣地境界線」と捉える。考え方は、多角形の全ての辺をまとめる場合と 同様である。

P102

 この挿絵で道路境界線以外の隣地境界線を「1つの連続した隣地境界線」と捉える。

⇒一隣地方式の基本的な考え方を図示している。

 

図22では、敷地区分方式が困難になる場合の事例を示し、赤枠で示す「一隣地方式」の合理性を図示。

 

⇒敷地区分方式が利用可能な敷地形状は、境界点間が敷地全体に面した整形敷地に限られる事を解説している事に他ならない。

 

P104では

方式の違いによる比較・検証を行っている。

(4)取扱いに係る検証 以下の審査方法について比較・検証を行った。 
 
(用語解説)この項において使用する用語を以下に示す。 
 
「敷地区分方式」:隣地境界線ごとに敷地を区分して審査する方式 「一の隣地方式」:連続する隣地境界線を「一の隣地境界線」と取扱い審査する方式 「近似方式」 :屈曲する隣地境界線を敷地内で内接した線分で近似し審査する方式 
 

屈曲した敷地、整形な敷地いずにおいても「一の隣地方式」がもっとも安全側であると結論づける。

 

理由はP107から図解している。まずは、整形敷地から解説するとP112から

敷地区分方式の場合

「一の隣地方式」の場合

まず算定位置からから検証を進めると「一の隣地方式」で発生する

P17~P19そしてP24~P26の敷地隅部に面した算定位置が「敷地区分方式」では、天空率比較されない。その隅部が円弧状になっている場合、その方向に面するチェックを行わなければならないわけで

たとえば下図の様に赤丸で示す隅部が多角になった場合、従来の敷地区分方式でも青円弧部にも算定位置が発生しなければならない。

 

敷地の微小な形状変形により、算定位置の有無がドラステッィクに変わる事は、やはり不合理だ。

 

 さらに高さ制限適合建築物から「一の隣地方式」が安全側であることの解説は

一の隣地方式の場合寄棟状に作成される為に、隣地高さ制限適合建築物の空が広くなり天空率が大きい、その為、安全側である事を解説している。

 

 

 屈曲隣地の場合、

敷地区分方式では

 

この事例では、A部にはタワーパ-キング等の高層の建築物が存在するのだが出隅部は垂直切断される為、近接する隣地境界線からの高さ制限を受けないという不合理がおきる。

 

 道路が十分広く道路斜線がチェックされない場合、近接する隣地境界線からの高さ制限を受けない事になる。

 敷地区分方式が危険側になる事を解説しておりこの様な天空率解析は、問題である事を認識しなければならない。

 

 これが「一の隣地方式」では

 

全ての計画建築物の高さ制限を超えた部分と敷地内空地が比較検証される。この事例では円弧で示す隅部がやはり適合建築物が増大する為にNGとなっている。計画建築物が北側に近接しその分、空地も減少する為、NGになるのは、合理的な結果である事を解説している。

 

 さらに直線近似する手法に関する解説

がある。この部分は、補足の解説を要する。

・・・・続けてと思ったが今回も長くなった次回にしよう。

次回は近似方式の考え方と「一の隣地方式」の検討課題が提示されている。これらの課題の解決法を解説したい。

 このシリーズも次回が最終回かな・・。

 

 次回までお元気で!

比嘉ブログ

 

 

 


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