2月2日土曜日
東京は、快晴の土曜日。
本日は、日大不動産鑑定士の為のCAD実務修習の日でいつも通りの出勤で講習生をお待ちしている。
これは、千両でも南天でもなく万両。・・・だと思う。葉の下側に実がつくのが万両だと聞いた事がある。
・・・そんな事はどうでもよくて・・・
昨晩はなかなか寝られない夜となってしまった。
予定では、万歳から始めていろいろ森保ジャパンの事をあれこれと書くはずだったが・・・・気持ち良い程の完敗!・・・
気持ちの整理がつくまで、新聞もTVのスポーツニュースも見ない事にしたい。
今日の講座は荒れそうだ・・・。
そろそろ皆さん登場の時間だ。講座は、負けない様ベストを尽くしたい。講座メンバーは、奇しくも11人。イレブンだ。・・・・。
では、講座の様子は、終了後アップするとしたい。
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17時半
日大不動産鑑定士の為のCAD実務修習終了!
日影規制から天空率までの法規解釈そして建物想定までの流れを理解するのに1日コースでは、厳しい。・・がなんとか全員が5階プランまで作成できた。
DVDおよび解説書でじっくり復習していただきたい。
お疲れ様でした。
本日の比嘉ブログ講座も長いぞ!
天空率講座開始!
前回から始めた事例は、商業地域で容積率400%。
前面道路が17.5mと5mの2方向道路。
道路斜線、隣地斜線がいずれもNGになる事案。
図1
前回のおさらいから(詳細は前回分を参照)
まず、高さ制限,および可能容積率によりどの程度の規模の建築物が可能であるのか確認する。
可能空間を算出する為には、設計者のイメージするキープランを仮想建物として外形状を入力する。
その事により後退距離等が明確になり逆斜線等がより現実的な空間として算出される。今回は、プランツールで容積率を400%消化する規模の建物算出後その外形状を仮想建物に変換した。
図2
容積率および住戸数を確認すると
図3
面積諸表は逐次確認可能。指定容積率400%に対して399.88% でほぼ消化。住戸数39戸獲得。
さて問題は高さ制限だ逆斜線の等高線で確認すると
図4
斜線断面図で確認すると
北側隣地高さ制限と南側道路斜線はいずれもNGだ。
図5
天空率計算だ!・・・となる。
今回は、天空率計算を行う手順を解説したい。
ポイントは2項目
ポイント①
前面道路が17.5mと5mの2方向道路ゆえ令132条で区分された道路天空率
ポイント⓶
北側の隣地境界点間は、極めて狭い幅で区分されている事から「敷地区分方式」ではNGが予想される。その際の対応方法。
まずは①道路天空率計算から
天空率計算は、プランニングにおいては、迅速に結果を確認したい。
その為、計算方式プルダウンで「道路」を選択後「計算実行」をクリックすると結果を得られる。この事によりプラン変更後瞬時に可否がわかる。
図6
この事例の場合、数秒程度で施行令132条を考慮した天空率計算比較が行われる。
図7
結果は、すべて青表示で計画建築物天空率が道路高さ制限適合建築物天空率を上回った事がわかる。
解析結果の検証あるいはNGの際の逆天空率計算、申請図の作成等は「ファイル」「エクスポート」「TP-LAND、SKY転送で行う。
図8
適合建築物の根拠をTP-SKYを起動し行う。
転送する際の建物形状は
図9
転送する建物形状は、壁厚および仕上厚を有しており
壁厚および仕上厚を付加するのか、屋根で包絡した安全処理をするなどの指定が可能だ。図9の内容は初期設定でそのまま解析。
図10
また建物形状は、屋根布施状態の処理を解除すると
図11
バルコニーあるいは、廊下等の下抜け形状のブロックがそのまま下図の様に表現される。
図12
バルコニーの下側の空間を天空率に評価したい場合は有効だ。
今回は、包絡した形状(図13)で区域等を確認してみたい。
西側最大幅員17.5m道路側は
図13
道路反対側から後退距離0.966m移動した位置を起点とし適用距離20mが計画建築物北西側が高さ制限を超えている事がわかる。
アイソメ図では
図14
天空率比較図で確認すると
図15
高さ制限を大きく超えているが敷地南側では、適用距離20m以内には、高さ制限適合建築物のみで、空地として評価されクリアーしている事がわかる。
南側5m道路側の道路境界線の接道長は、30.108mゆえ最大幅員17.5mの2倍35m以内ゆえ全域17.5m道路の対象となる。(令132条1項)
図16
この区域は、敷地内東側に十分な空地がある為、その分で十分通風採光が確保される。天空率的にまるで問題ない事がわかる。
次にポイント②隣地境界点間が狭い場合の隣地境界天空率だ。
プランニンング時における隣地天空率では
図17
「隣地」を選択するとJCBA「敷地区分方式」が採用される。
当初より想定された事だが北側隣地境界点間幅が狭い箇所でNGとなっている。NG区域の右端のNG区域をTP-SKYで検証すると
図18
天空率計算は、高さ制限を超える計画建築物に対して、通風採光を補う敷地内空地の有無を確認するのが天空率計算。
ところが敷地区分方式では、敷地境界点間で高さ制限適合建築物が想定される為、隣地境界点間がせまい場合、本来存在する円弧部の空地が無視される。この事を不合理な事例とする。
*他不合理な事例として凹型隣地境界の算定位置は自己敷地内に算定位置が発生するなどの不合理もある。
図18を参照すると高さ制限をわずかに超えているだけで、敷地内空地からの通風採光を評価していない。
これでは、従来の斜線断面によるチェックと変わりない。
この場合の適合建築物と計画建築物によるアイソメ図は斜線断面図と同様のチェックをしている事に他ならない。この様な場合の敷地区分方式は、天空率で高さ制限を撤廃する目的に反する為、不合理な処理と考えられる。
順々にNGを確認すると全てのNGの原因が同様である事がわかる。
図19
図20
図21
いずれのNGの場合でも計画建築物を高さ制限内まで低く設定するか、敷地区分方式で天空率をクリアーする為には、狭い区域の中の計画建築物にスリットを設置しなければならず耐震性に少なからず影響を及ぼすと思われる。 まさに不合理な処理法。
隣地住民にとって通風採光も大事だが地震による倒壊はそれ以上に問題である事はいうまでもない。
この様に敷地区分方式では、さまざまな不合理が起こりうる。この不合理は、天空率施行以来10年を超えた審査の現場では、常識化している。
JCBAでは、そのような場合、「一の隣地方式」の利用も可とする。
プランニング時で「一の隣地方式」で解析すると
図22
「一の隣地方式」を指定し「計算実行」とすると
図23
敷地内に隣地高さ制限を、わずかに超えている一方十分な空地がある本事例の場合、NGになる事があってはいけない。
「一の隣地方式」の場合注意を要するのは、基準線の端部の延長だ。
端部が入隅の場合、このように隣り合う道路に基準線が延長されないと入隅部(Y方向隣地境界線)に面する算定位置が比較されない。
安全側の見地からこの様に自動延長される。行政によっては、基準線を道路内まで延長しないと判断される考え方もあるようだ。最終確定は審査サイドと協議する必要があるが一般的に算定位置が増加する方法を選択した場合、安全側と考えられる。
端部が出隅の場合B部分は不要と思われるので削除する。TP-SKY転送で行う。
図24
図23B側が面する位置までの延長でA側は、自動処理位置のまま解析した。
このところの隣地天空率の審査の現場では、近似方式による処理法も多くみられるようになった。
近似方式は国交省編集「平成14年建築基準法快晴の解説」P79で解説に準じて区域を面する方向毎に区分すると解釈する
図25
近似方式も解説しておきたい。(近似方式の詳細の解説は「隣地天空率再考 10 近似方式」
を参照していただきたい。ここでは結果のみ今回は、面する方向を北側隣地境界と東側隣地境界の2の区域とする。
設定方法は、「敷地」入力において連続する北側の隣地境界線を選択し同一区間設定欄で「設定」ボタンをクリックする
図26
比側側の隣地境界線は1ゆえ設定の必要はない。近似方式の設定は、TP-SKYで行い「一の隣地方式」で発生すると同一区間ごとの適合建築物および算定基準線が自動発生する。今回は図25同様に基準線の延長を編集した。
北側隣地境界に面した区域は
図27
東側隣地境界線に面した区域は
図28
近似方式は、従来の隣地斜線との親和性が高く、理解されやすいようだ。
この方式を採用すると隣地境界線においても屈曲道路天空率同様に多少の屈曲および狭い境界があった場合でも対処する事が可能になる。
面する適合建築物の想定の基本は、敷地全体が区域内に参入される事。算定基準線の端部から垂直切断する事なく、敷地全体に寄棟状に高さ制限を適用する。
基準線の端部の延長は、審査との協議の上確定する事。その際、隣地境界線から水平距離を住居系では8m、商業系では、6.2mの間隔で均等に連続配置する。
第百三十五条の十 法第五十六条第七項第二号の政令で定める位置は、当該建築物の敷地の地盤面の高さにある次に掲げる位置とする。
一 法第五十六条第七項第二号に規定する外側の線(以下この条において「基準線」という。)の当該建築物の敷地(隣地高さ制限が適用される地域、地区又は区域内の部分に限る。)に面する部分の両端上の位置
二 前号の位置の間の基準線の延長が、法第五十六条第一項第二号イ又はニに定める数値が一・二五とされている建築物にあつては八メートル、同号イからニまでに定める数値が二・五とされている建築物にあつては六・二メートルを超えるときは、当該位置の間の基準線上に、同号イ又はニに定める数値が一・二五とされている建築物にあつては八メートル、同号イからニまでに定める数値が二・五とされている建築物にあつては六・二メートル以内の間隔で均等に配置した位置
近似方式は、ローカルルールの「1m以内で近似する」などの判然としない方式を法的に合理的に解釈した方式として利用されている。
今回も長くなった。ここらでよかろうかい!
次回もサポートセンターに寄せられた質問からの講座です。
次回までお元気で! hi