7月6日土曜日いつのまにやら7月の第1週も終わりとなった。
本日の東京は、どんよりした曇り空で時折雨がぱらついたりしているようだ。梅雨寒でひんやりした朝だ。
公園では、キキョウがきれいに咲いていたが・・
今週は、九州南部、鹿児島宮崎の延々と続く豪雨にいつになったら止むのだろうかと肝を冷やした。このところ毎年のように記録的な大雨が観測されている。
世界的な異常気象のようだフランス、スイスでは、この季節で45度を超えたらしい。スイスなど、そもそも冷房エアコン常備しているのだろうか?心配になる。
インドでは、50度を超えたらしい。一方メキシコでは雹が大量に降ったとか・・。地球が、もういかん!と悲鳴をあげているようだ。
今週の朗報は、東京オリンピックチケットが敗者復活が適用されもう一度抽選のチャンスができた事、錦織がウィンブルドン勝ち進んでいる事・・期待している。
カープ負けすぎは、これまた困ったもので悲鳴をあげている・・。
今週の講座から始めよう
今週は、企業ユーザー4グループの最終チームに2日間
初日は、午後半日日影規制中心に解説。
手計算で逆日影を行う手法の解説などは、毎度の事だが好評。
2日目は、朝9時スタート
天空率の解説で形態制限法規を徹底解説を終えたら、一気にプランからBIMモデルを作成。最後にBIMのアドイン解説を終え終了!
あとは、実践あるのみ頑張れ~!
天空率講座開始!
事例は
図1
1種住居地域 基準容積率は、300%だが道路幅員6mゆえ240%に低減。
隣地斜線がNGゆえ隣地天空率の解析法を2週にわたり解説してきた。
前々回が敷地境界点間で区分する「敷地区分方式」
図2
全体では道路を除く敷地境界点間の分この場合6区域に区分され慣用的に境界点間が出隅の場合境界線に垂直、入隅部は入隅角の半分まで当該の境界線に加えて隣地高さ制限適合建築物を作成する。
図3
そして前回が「一の隣地方式」で道路を除く連続した隣地境界線をそれぞれ寄棟状に一区域の隣地高さ制限適合建築物で比較する。
行き止まり道路から6m道路間は
図4
6m道路から行き止まり道路間は
図5
敷地区分方式6区域に対して2区域となる。一隣地は、道路を除く連続した隣地境界線から寄棟状に隣地高さ制限適合建築物を設定し計画建築物と天空率比較を行う。敷地区分方式と異なり従来の斜線規制と同様に行う。
現在、隣地天空率においては、この2種の利用法がある事を日本建築行政会議では下記サイト
の101P
3.一の隣地境界線の取扱い (1)取扱い
・隣地境界線が複雑な形状であり、隣地境界線ごとに敷地を区分して天空率を適用する ことが困難な場合は、隣地境界線を「連続した一の隣地境界線」とし、敷地を区分せ ずに天空率を適用することができる。この場合、算定位置も「連続した一の隣地境界 線」とした部分に均等配置する。 ・また、複雑な形状の隣地境界線の任意の部分を内接した線分で近似し、「連続した一の 隣地境界線」として敷地を区分せずに天空率を適用することも可能とする。この場合、 近似元の隣地境界線を「連続した一の隣地境界線」とし、算定位置を均等配置する。 ・なお、隣地境界線を「連続した一の隣地境界線」とし、敷地を区分しないとする取扱 いの適用については、特定行政庁の判断に委ねられることから、「敷地区分方式」など、 他の運用方法の適用を妨げるものではない。
との記述から「一の隣地方式」「敷地区分方式」いずれを採用してもかまわない事が記述されている。
「一の隣地方式」採用の根拠としてP103 で連続した隣地境界線を一隣地として隣地高さ制限適合建築物を作成する根拠を質疑応答集p5056でとともに解説している。
図6
隣地境界線が不整形な場合とは、円弧状に湾曲していたり凸凹している場合の事だが、隣地境界線を境界点間と捉えた場合、単線ゆえ不正系な場合という表現はありえない。その為、隣地境界線は、道路以外の連続した境界線として解説している事がわかる。
したがって一の隣地方式は、まさに不正系な場合に有効で道路以外をひとまとめに隣地境界線とする事も可能だと考えられる。
凹型の隣地境界線の場合内接近似が困難になるケースが多い。
上記のようにAB,BC,CD,EFの4の隣地境界線とする事も可能と考えられる。この場合直線化で簡便にする事も可であり凹型敷地の場合など直線化が困難な場合、一定の区間で同一の区間で寄棟状隣地高さ制限適合建築物を作成しても問題ない。
ところで凹型に隣地境界線で内接近似が困難になる場合とは下図のCの隣地境界線
図7
このように凹状に残ったCの隣地の場合、凹型の為、内接近似が不可となる。
さらに、このような凹型の隣地を敷地区分方式で解析すると不合理な結果となる。
ではまずその不合理になる敷地区分方式の検証から
図8
計画建築物に近接する境界線は、向かって左側が入隅ゆえその半分で区分され右側は、出隅ゆえ垂直切断される。その結果NGとなったのだがこの場合不合理な結果が2存在する事になる。
①計画建築物に近接する為に境界点間で切断すると計画建築物幅が隣地境界点間より広い為に十分に空地があるC隣地の北側、西側の空地が天空率計算にまったく考慮されていない。
これがいかに天空率の基本的な考え方と乖離があるのか公的資料を基に検証したい。
敷地内の空地の分計画建築物の高さ制限を超える事ができるのが天空率の基本の考え方だ。
天空率施行前、天空率ソフトを開発する際にバイブルとして利用した国交省慣習の「平成14年改正建築基準法等の解説」に明確に記されている。
図9
第3章Q&Aのコーナーで「天空率で通風や解放性を評価したといえるのですか。」の問いに対する回答が全てだ。
H/D比とは、従来の斜線規制の事で、下図で補足解説をすると
図10
JCBA従来斜線規制H/Dによる道路斜線の問題を、上段右側で示す計画建築物がA,B案いずれも同じ高さだが建物幅が異なる場合で解説している。
いずれも道路斜線はNGとなるのだが青枠で囲った道路反対側の通風採光の環境は、A,Bいずれも同等と考えられるのか?
もちろんNOでありBは建物幅が狭い分、建築物の両サイドからの通風量が多いのは一目瞭然である。
さらに解説は
建築物周囲の空地の増減がH/Dより顕著に風量の増減に影響します。と極めて当然の事が記述されている。
従来の斜線規制では、通風採光を評価するには無理がある事を解説している。
ここでほぼ決定的なコメントが記述されているが
「・・・H/D比の増減・・・度合いよりもむしろ建築物周囲の空地の増減による横断方向の通風の増減の度合いの方が大きく、・・・・顕著に風量の増減に影響します。」とある。
「天空率の下では、建築物の高層化に伴い、建築物周囲の空地は増加する事になるのため、「通風」について結果として「安全」側となる・・」
「空地を確保する事で「解放度」のチェックもなしえると考えられます。」
と最後に結論づける。
尚、視野の仰角:幅の範囲いわゆる見え係で環境を表現する事は、魚眼レンズに投影された天空図の大小で環境を勘案する事になると解説している。
以上の公的資料を参考にしたうえで再度今回の敷地区分方式の適合建築物を確認すると
図11
当該敷地の空地をまったく評価してない事がわかる。
この様な敷地区分方式では、天空率により敷地内空地を評価した事にはならない。
JCBAでは「天空率計算を実行する際に一隣地方式の採用を推奨している。
のP104 で
「一の隣地方式」を採用し、算定位置も一つにまとめると安全側となる。」と結論づけている。
敷地区分方式における問題点として際にさらに
②算定位置が当該敷地内に存在してしまう。
算定位置に関しては、まず法文に適合するか否かを確認しよう
基準法56 条第7 項第二号
第1項第2号、・・隣地境界線からの水平距離が、第1項第2号イ又はニに定める数値が1.25 とされている建築物にあつては 16 メー トル、第1項第2号イからニまでに定める数値が2.5とされている建築物にあつては 12.4 メートルだけ外側の線上の政令で定める位置
算定位置は、明確に隣地境界線からの水平距離が・・だけ外側の政令で定める位置とある。
敷地区分方式を改めて確認すると
図13
当該敷地内にあり、自分の敷地で他人地(隣地)の環境を比較するというなんとも不合理な話。算定位置は、隣地境界線から外側になければならない。・・当該敷地内に発生してしまう凹型敷地での敷地区分方式の採用は、適法でない事は、明白だ。
では、JCBAがもっとも安全側とする「一隣地方式」で区分してみると
図14
敷地全体を対象にしている事がわかる。
この敷地の空地の状況から高さ制限を超える分を十分超えている。
天空図重ね図で確認すると
図15
魚眼レンズに投影された高さ制限を超えた面積34.22に対して211.47で6.17倍の空地がある。その空地から十分に通風採光を得る事ができるのは明白。敷地区分のNGの結果は、不合理である事がわかる。
算定位置に着目してみよう。再度56条7項第二号を確認すると
基準法56 条第7 項第二号
第1項第2号、・・隣地境界線からの水平距離が、第1項第2号イ又はニに定める数値が1.25 とされている建築物にあつては 16 メー トル、第1項第2号イからニまでに定める数値が2.5とされている建築物にあつては 12.4 メートルだけ外側の線上の政令で定める位置
この場合、隣地境界線から外側16mの位置になければならない。
確認してみよう。
図16
Cの敷地の内径が横約14.87<16m 縦10.466<16mゆえ凹部の隣地境界線で敷地の外側は両端部からの水平距離ゆえ円弧状に基準線が設定される。
この事もJCBA天空率の運用の検討について2010.4.20更新
に明確に記述されている。
P108に以下の解説がある。
図17
この項では、56条7項二号が日影規制56条の2 日影規制1項からの「敷地境界線からの水平距離が5メートルを超える・・と書きぶりが同じ事より日影規制と同様の考え方と記述されている。
たとえばの敷地で日影の規制ラインを作図すると
図18
5mラインはかろうじて凹部の内側に発生可能だが10mラインは、天空率基準線同様に道路の反対側に作図される。
これと同様に配置する事が適法だとする。
この様な場合、指摘を受けるのが凹型の隣地境界線の内部から遠くに算定位置を設定する事は、危険側にならないか?などといった質問を審査機関も含めて言われる事があるが否。算定位置が隣地境界線に近づけば近づくほど天空率では、容易にクリアーする事ができる。
せっかくだから検証私用。
本来の正しい算定位置と凹部に算定位置を配置した場合で結果を比較してみよう。
図19
青枠が正しい基準線、基準線をコピーし凹型隣地境界内に配置した両者の安全性を表現する差分表示して比較すると
図20
P64差分8.815%に対してP43差分43.616%実に約5倍の差分。その分危険側といえる。適法でなくしかも5倍も危険側となる。
P43の隣地境界線に接近した場合の天空図重ね表示を確認すると明確だ
接近した為、天頂部分(目の位置)から左後方まで空地として円弧状に広がった事になる。算定基準線の位置を法文指定された位置(16m)で天空率比較するのは、この様に恣意的に空地を過大評価しない為だ。
おっと長くなった。今回は、JCBAの法文解釈の仕方を解説しようと思ったら過去何度か書いた事だが思わず力が入ってしまった。
今回の法文解釈をもとに次回は
図22
南西側の破線で示す部分の用地がクランク状に欠け込んだ場合、前回の事例では、敷地区分方式、一隣地方式いずれもクリアーした結果どのように変わるか今回の法文解釈の応用編を解説したい。
次回までお元気で!