Quantcast
Channel: 比嘉ブログ
Viewing all articles
Browse latest Browse all 458

外部共有部下抜けの日影規制可能空間算出法1

$
0
0

11月16日

 朝夕が寒くなり、冬到来の気配を感じさせる今週。

年末を迎える頃のせいもあろうか柄にもなく物思いにふけている。

恐縮ですが独り言にお付き合いいただくことから始めたい。

 

 ベルリンの壁崩壊から30年が経過した。ついこの前のような気がするが平和・希望を感じさせられたエポックな歓迎すべき出来事だった。

 

 ところがたった30年で世界は、目まぐるしく変化している。

香港返還から中国に対する民主化の戦い、GAFA台頭から早くも情報集中独占に対する各国の反発など世界情勢の振れ幅が大きい。他にも短期間で、かくも変われるものかと思う事象の数々に胸がざわつく。

 

 国内でも様々変化有りで・・自然災害の多発、コンビニエンスストアビジネスモデルの崩壊表面化などさまざまなフェイズで変化が顕著になった。5年ほど前からかと思うが比嘉も利用するようになったラインが、早くもyahooとの合併話等々目まぐるしく変化する社会情勢。

 我が社も同じIT業界の端くれに在してて35年めに突入。ちょいと気合いれていかないかん、時代の大渦に飲み込まれぬ様に。

 

 

これは、横浜の家でみつけた紫色の昼顔。やはり昼2時頃のパチリ。

 

 今週の講座からはじめたい。

今週火曜日は、日影講習に大勢の皆さんが参加していただいた。その分時間も多少延長してしまった。

 初めて出会うさまざまなメンバーが仲良く受講して頂いた。天空率講座もお待ちしてます。

 

 昨日金曜日は、ハウスメーカー若手3人組が来社

 初回の昨日は、用地入力から始まり逆日影、日影を実践して頂いた。

 終了後のパチリでは、よっぽど比嘉が疲労したと思われたのか椅子をすすめられた。ありがとうでもちょっと複雑・・・。

来週月曜日2回めは、天空率講座で待ってます。

 

 さて比嘉ブログ講座を開始したい。本日は、「外部共有部下抜けの日影規制可能空間算出法1」と題して、究極のボリューム算出をするユーザー様の事例からその手法の検証講座を行いたい。

 

 建設ITユーザー事例紹介の項に掲載の為、(株)トーシンパートナーズ半田さんから「竣工済み事案でアクロバティックな形状の事案がありますけど・・」

との事でデータを頂いた。

アクロバティックな形状?にそそられTP-PLANNRの入力済みデータを確認すると確かに

アクロバティック。

グーグルマップで確認すると

 確かに形態制限を逆手にした斬新な外観とシックな外装が目を引く建築物があった。

 

 容積率を確認すると

 

 許容容積率280.89%の98.87%消化し、30㎡前後のワンルームを中心に43戸が確保されている。

この事案の形態制限を考慮したプランニング手法を解読し解説したい。

 

 *先にお断りしておきたいのは、今回解説する可能空間算出のプロセスは、半田さん多忙の事も有りご本人から詳細の確認はしておりません。その為、比嘉流のアプローチで解説します。ただしいずにしても

TP-PLANNRを駆使した算出法には、違いありません。

 

 まずは、用地条件から

 都内23区内某所の用地。

6m、道路から路線20mで近隣商業地域と第一種住居地域に用途地域区分された事案。

 主な形態制限は、日影規制が両地域ともに、4/2.5、高度斜線が近商側東京3種高度で1種住居側が東京第2種高度となっている。

許容容積率が按分され280.89%ゆえ9階から10階程度が必要になる。

4mと6mの2方向道路ゆえ令132条を適用した道路斜線、そして南側の隣地斜線もNGとなり天空率利用が必須と思われる。

 

 1)高度斜線空間を敷地形状から算出する。

逆斜線計算では、高度斜線のみをチェックし解析する。道路斜線および隣地斜線は、天空率で解決する事を前提とする。

結果は、

9階部の床面積が141.33㎡確保されている。この床面積を残すべく

逆日影計算をおこなう。

 

2)高度斜線空間を残すべく逆日影計算を行う。

逆日影計算を行う場合、太陽高度で高さをカットし日影可能空間を確保する方法と、それに加えて時間幅も考慮し可能空間を算出する2通りの考え方がある。

①太陽高度で低層建物空間による日影と高度斜線可能空間を算出。

 

 

 すべてが日影規制によりカットされた空間となった。階高6階程度となりしかも6階部の床面積は、70.452㎡と利用するには、困難がある。

建物に変換し日影図で確認すると

 

西側は、10mライン2.5時間規制で太陽高度カットされ4m道路側は、5mライン4時間の太陽高度で確定している事がわかる。

敷地幅全体に建物を建てる場合この様な結果となる。

太陽高度で日影可能空間を算出した場合、用地有効活用は、不可と判断する。

 

②逆日影チャートで規制時間幅2.5時間で可能な空間を高度斜線可能空間に設定した逆日影計算を行う。

 

 逆日影チャートを選択しドラッグしながら高度斜線による高層部に移動し可能位置を確定する。

 逆日影では、西側8時側からの2時間半の幅と東側2時間半の幅で囲われた空間は、無限の高さが可能になる。その為、高度斜線高でそのエリアの階高が確定する。「計算開始」で実行すると

 高度斜線で可能であった9階の床面積が141.33㎡から114.778㎡に2時間半の幅分若干低減されたが十分な床面積が可能となる。

 全ての床面積を容積率対象とすると容積率453.71%

⇒共有部の容積率低減を考慮し60%程度が可能と考えると271.8%

となり許容容積率280.89%に近接する事がわかる。

 用地有効利用の可能性がでてきた。

 

日影チェックすると

逆日影ブロックから建物変換による若干の誤差があるが建物ボリューム限界規模でクリアーしている事がわかる。

 

3)等高線を参考にプラン配置する。

 

*これから配置するプランは、北側に面した日影規制がきびしいブロックを比嘉が等高線内におさめたオーソドックス案に変更して配置してみるその後アクロバチックなオリジナル案に戻し最終案とする。

 オーソドックス案の容積率とオリジナル案との容積率消化率を比較する事で日影規制の最適化により用地の有効活用度が大きく変わる事を実感していただきたい。

 

①高度斜線可能空間に適用する為。8階からプランを作成する。

 

 高度斜線の限界位置で8階部を作成する。東側バルコニー部が日影時間幅を超えているが、バルコニー部下抜けで日影時間をクリアーすると判断。8階の位置を基準に柱割配置で構造の整合性をとる。

 9階部は、円弧部が高度斜線にアタッチしてしまうが高度斜線の勾配で躯体を斜に設定する。

 

 8階をキーに7階に8階をコピー配置するなど上階のプランを下階に複写しオーソドックス案を3階まで作成する。

*この場合は、オリジナル案をオーソドックスと思われるプランに変更し作成。

 

まずは、オーソドックス案

 

 3階から7階までは、2時間30分の時間幅でカットされる事がわかる。

その為、△状の時間幅による等高線に幅をアジャストした出部屋を加えて容積率アップを意図する。

 

 オリジナル案は、どうだろうか

7階6階部は、共有部のみならず専有部の斜の逆日影等高線を無視し作成している。5階4階は、斜の等高線なりに専有部を斜カットしているが青円弧で示す部分を無視して作成している。

ただし3階部は、等高線なりに作成しているが△状の部分は、直線状に等高線の内側でカットされている。

 結果的にこのオリジナル案は、竣工したわけで日影規制も当然クリアーしている。

 逆日影の考え方も含めてまずは、オーソドックス案でプラン検証を進めたい。

 

2階と1階部は、オリジナル案もオーソドックスなプランゆえそのまま利用させていただく。

 

2階の最北部のブロックの逆日影等高線が斜になっているがそれを無視して作成されている。

なぜ逆日影の等高線がこのように斜に表示されたのだろうか?

これは、今回のオーソドックス案とオリジナル案の違いを検証する上でも重要になる。

 結論から、今回逆日影計算は、敷地全体に建物が配置される事を条件としており、その分現実のプランとの日影の幅が異なる事になる。

建物幅が異なる分結果にも影響がでる。

 2階の北西部には、建物は無い。ところが逆日影計算の際は、その敷地の北西端部からも影が発生する条件で逆日影計算を行っている。

 オリジナル案でその等高線を無視してプラン入れをしているのは、現実に青4角で囲った部分には、建物が無い為、等高線の様に斜にカットされる事は無い。

 

 オーソドックス案を第1案として検討を進める事とする。まずは日影規制チェックから

 

 

 まずは、一般的にバルコニー、外廊下などの下抜けを考えない手法および壁厚を付加して解析すると。(単線プランの属性情報から壁厚と仕上げ厚が付加される。)

 

 

 やはり8階のプランを設定した際に、そもそもバルコニーおよび外部廊下は、下抜け処理によりクリアーする前提でプランを配置している為

日影計算も外部共有部の下部を抜いた日影計算でおこなわないとクリアーしない。

「下面0m、上面1.2mで算定」にチェックする事でバルコニーおよび外部廊下の下面を形状なりに日影計算を行うと

 

若干バルコニー角をカットする必要は、ありそうだが日影規制を下抜け処理する事でなんとかおさまる事がわかった。

 逆日影計算の精度をあげる為には、粗々のプランが作成された範囲を建物を建てる範囲(仮想建物)とし逆日影計算を行う事が可能だ。

「ファイル」「LAND/SKY]転送でLANDに移動後、仮想建物の項で建物から仮想建物に変換するボタンをクリックすると仮想建物が作成される。

その範囲で再度逆日影計算を実行してみたい。

 この時、外部共有部を下抜けを前提に解析範囲(仮想建物領域)を設定する際には、仮想建物の範囲に外部共有部を含まないで範囲設定する。

 さらに第一案の建物形状を表示する事で

設計者が高層部に設定したい建物の部分を希望する位置に設定する事が可能になる。

結果を第一案(オーソドックス案)に反映すると

青枠部が仮想建物の範囲に無い為、その分の日影は、無視され等高線も発生しない。

 

 さて日影規制は、クリアーした高度斜線も等高線をガイドに作成した為に問題ないと思われるが念の為、斜線断面図で確認すると

8階と9階の躯体およびパラペットを高度斜線なりに斜カットしている。

 

第一種住居地域の2種高度は

まったく問題無し。水色で示す日影規制で形状が確定している事がわかる。

 

 さてアイソメ図で確認してみよう。

よく見られる。オーソドックスなワンルームマンションが完成した。

問題は、容積率および住戸数だ。

 

利用率94.68%、残り74.16㎡ 住戸数41戸。約2戸の住戸が可能になる。そこでさらに専有部の下部も日影規制で抜いたオリジナル案

でアプローチする手法の解説となるが、本日も長くなった次回にしよう。

 

 風邪ひきが回りにみられるようになりました。うがい手洗いで予防しましょう・・・この時期呑みすぎも要注意かな・・・hi

次回までお元気で!

比嘉ブログ

 

 

 

 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 458

Trending Articles