11月9日
先日、連休の2日間、東京赤坂でTP-PLANNR特別講座がありまして語ってきました。
連休中ゆえ、ラフな格好で・・・・・。
歳のせいか平気で嘘がつけるようになってしまった。いかん東京肝試し大会壮年の部への参加風景です。
お花いこうかな
そろそろ寒くなりはじめた2週ほど前の公園のミソハギ。
かたわらには、こんなきれいな花が
白い彼岸花かな?不明につき掲載をためらったがあまりの美しさについ掲載。3日ほどで見られなくなったのは、なぜだろう?。
今週は、呑気な出だしで始まったが天空率講座は、まじめにいくぞ!講座開始!
日本建築行政会議のサイトに
第1章 天空率(法第 56 条)運用基準及び具体の審査に係る検討
のP50に下図の挿絵とともに幅員の異なる4方向道路A>B>D>C
の区分法に関して2009年平成21年JCBAのホームページに掲載された。
図1
天空率施行が平成15年ゆえ施行から6年も経過していたが、複数道路の区域区分法に関して審査の現場では、令132条の解釈の混乱が続いていた。日本建築行政会議(JCBA)では、注意を喚起する目的でこの項が掲載された。
ただし図1枚で解説した事もあるが、間違った解釈で指導されているケースが今だみられるようだ。
比嘉は、当時天空率分科会に参加しており、部会で確定した解釈法の図示を一部担当した。挿絵1枚で解説した事もあったのだろうか、上図の解説を間違って解釈された方もあるようだ。
当社サポートセンターにも質問が寄せられた事も有り、今回は、その補足の解説を行いたい。
尚、同様の解説は、過去比嘉ブログでも
「令132条区域と適用距離の関係:間違った指摘への解答法 1」
などシリーズ方式でも解説したが、今回は、分けることなく一話で完結するように解説したい。
まずは、問題点の指摘から
赤枠と*Aで強調しておいたが
「・図 1-6-1 のような狭い道路側からの「2C」のような区域区分は行わない」とある。
つまり図1-6-1で示す区分は、間違いである事を解説している。
間違いの部分は、D道路に面した部分をCの道路境界線から2倍の位置を超え、最大幅員から2倍を超えた間の狭い区域つまり
図2
この赤部分の区域区分は、しないと記述されている。同様にB側においても
図3
この様に、区分しては、いけないと記述される。
では、なぜ?となるが赤枠Bで
「・狭い道路側からの2A処理は、行わない → 一体の区域とする(図 1-6-1) 」
まず、2A処理の目的を明確にしたい。
第一三二条 建築物の前面道路が二以上ある場合においては、幅員の最大な前面道路の境界線からの水平距離がその前面道路の幅員の二倍以内で、かつ、三十五メートル以内の区域及びその他の前面道路の中心線からの水平距離が十メートルをこえる区域については、すべての前面道路が幅員の最大な前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。
2Aとは、幅員の最大な前面道路の境界線からの2倍までの水平距離を意味する。
何を目的に2倍までの水平距離を設定するのだろうか?考えてみたい。
まずは道路高さ制限の原則から
道路高さ制限の原則は基準法56条一項で
(建築物の各部分の高さ)
第五六条 建築物の各部分の高さは、次に掲げるもの以下としなければならない。
一 別表第三(い)欄及び(ろ)欄に掲げる地域、地区又は区域及び容積率の限度の区分に応じ、前面道路の反対側の境界線からの水平距離が同表(は)欄に掲げる距離以下の範囲内においては、当該部分から前面道路の反対側の境界線までの水平距離に、同表(に)欄に掲げる数値を乗じて得たもの
つまり道路の反対側を起点として別表第三に示す勾配による高さ制限を適用距離内に適用する。
その事により道路の反対側の住環境の通風採光を確保する事が目的となる。
ところが2の道路がある場合、基準法56条の原則で高さ制限を適用すると
図4
最大幅員Aで可能な緑の高さ制限空間(緑表示)が他の狭いB道路側に面した道路高さ制限(赤表示)でカットされてしまう事になる。
原則の適用のみでは、広い国道に面した敷地でも他にせまい道路が接道しているとその狭い道路で可能空間が制限され土地が有効活用されない。
その結果、税収減となり国益を損ねる不合理が起こりかねない。そのようにならない為に基準法56条6項では
同法の6項で
6 建築物の敷地が二以上の道路に接し、又は公園、広場、川若しくは海その他これらに類するものに接する場合、***における前各項の規定の適用の緩和に関する措置は、政令で定める
2以上の道路がある場合の緩和は、別途政令で定めるとありその政令が施行令132条で
(二以上の前面道路がある場合)
第一三二条 建築物の前面道路が二以上ある場合においては、幅員の最大な前面道路の境界線からの水平距離がその前面道路の幅員の二倍以内で、かつ、三十五メートル以内の区域及びその他の前面道路の中心線からの水平距離が十メートルをこえる区域については、すべての前面道路が幅員の最大な前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。
「2Aまで回りこむ」ことを事例で検証してみたい。
図5
広い道路Aは、10m道路に面している。道路上には、当然だが建築物は無い、その分通風採光が良いと考えられる。さらにその効果は、広い道路の境界線から2倍まで、他の道路に面している場合でも広い道路10m道路側から通風採光効果を得る事ができるとする考え方だ。これが2倍まで回り込むという考え方。
ただし35mを超えたら最大幅員道路から遠くなりその効果は、消失すると考える。例えば、最大幅員が20mの場合、2A=40mとなるが
40mは、遠いので35mまでとする決め事だ。
つまり回りこむとは広い道路からの通風採光効果を狭い道路にも適用する事をいう。その事で「規定の適用の緩和に関する措置」とする考え方だ。
狭い道路は、広い道路より通風採光効果は低い為、狭い道路幅員を広い道路側に、適用する事は無い
その為、狭い道路から広い道路へは、まわり込まないとするのが
「・狭い道路側からの2A処理は、行わない → 一体の区域とする(図 1-6-1) 」の「規定の適用の緩和に関する処置」の意味するところだ。
実例で解説してみよう。まずは、令132条1項の区域から
図6
A=8>B=7>D=6>C=5mの事例で適用距離は、25m
最大幅員を検証すると
最大幅員8mの区域は、全体で4区域
図7
区域区分法は
図8
7m、6m、5mの狭い道路に面した敷地の部分は、最大幅員の境界線から2倍=16mまでさらに16mを超えた部分は、他の前面道路(最大幅員8m道路以外)の道路中心から10mを超えた部分にそれぞれ最大幅員8m道路が適用される。
前述した理由で広い道路があると、その分他の道路にも広い8m道路の通風採光効果を適用する(回り込む)。
ここまでが令132条1項の区域。今回の問題は2項、3項の区域だ。
問題の間違った区分法を改めて確認してみよう。
図9
図10
赤く表示されたB、D側の前面にある狭く区分する事の間違いだ。
この区域は、令132条2項の区域だ。
2 前項の区域外の区域のうち、二以上の前面道路の境界線からの水平距離がそれぞれその前面道路の幅員の二倍(*)以内で、かつ、三十五メートル以内の区域については、これらの前面道路のみを前面道路とし、これらの前面道路のうち、幅員の小さい前面道路は、幅員の大きい前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。
まず正しい区分法から
図11
①「前項の区域外の区域」とは
最大幅員の区域以外ゆえ最大幅員8mの境界線から2倍16mを超えさらにその他の前面道路から10mまでの区域の事。
②「二以上の前面道路」とは、①の道路中心10mの部分が2以上の道路に接する(あるいは、面する:以下同じ)場合に2項で区域に適用する道路幅員を確定する。
2の道路に接する場合ゆえ最大幅員も含め3以上の道路が接道する場合に適用される。本例は、4の道路ゆえ令132条2項の区分法を適用しなければならない。
*前述の10m道路と4m道路で解説した2方向道路の場合は、1項の区域外の区域つまり道路中心10mに接する道路は、4m道路の1だけだ。その為、2項は、存在しない。その場合の道路中心10mの区域の道路幅員は、3項で確定する。
③「それぞれその前面道路の幅員の二倍(*)以内で、(*)以内の区域については、これらの前面道路のみを前面道路とし」とは
最大幅員8m以外の道路幅員による高さ制限に適用される。
つまり道路中心10mの区域では、7m、6m、5m幅員で高さ制限が適用される。
その際、「それぞれその前面道路の幅員の二倍」とは、7m、6m、5mそれぞれの2倍以内で、次の記述④で適用される道路幅員の高さ制限が適用される。
④「これらの前面道路のうち、幅員の小さい前面道路は、幅員の大きい前面道路と同じ幅員を有するものとみなす」
この部分は、適用される幅員を確定する為の記述。
まず「それぞれその前面道路の幅員の二倍」の
それぞれとは、7m道路に面する区域と5m道路に面する区域が存在し
図12
それぞれゆえ幅員の大きい7m側に面する青の区域は、その2倍は、奥行方向(面する方向)に「・・その2倍」が適用される。
図13
「それぞれその前面道路の幅員の二倍」で区分されたこの区域は、「幅員の小さい前面道路は、幅員の大きい前面道路と同じ幅員を有するものとみなす」より7m>5mゆえ幅員の大きい7m道路幅員が適用される。
*この事は、1項の最大幅員が他の前面道路の2倍まで区分される事と同じ考え方となり矛盾しない。
7m道路に面する方向に
図14
この赤区分区域は、存在する余地が無い。
「それぞれ」ゆえ5m道路側にも面する区域があり、7m道路側から2倍の幅を有し、奥行(面する方向)は、5mの2倍で10mとなる。
「それぞれその前面道路の幅員の二倍」とは、面する幅方向と奥行方向をそれぞれその2倍で区分する事。
図15
この区域は、5m道路に面しているが「幅員の小さい前面道路は、幅員の大きい前面道路と同じ幅員を有するものとみなす」より7m道路が適用される。
同様に6m道路に面した位置も5m道路に面した区域も「幅員の大きい前面道路と同じ幅員を有するものとみなす」により幅員の大きい6m道路とみなす。
図16
これで1項に引き続きそれぞれの前面道路に面した部分に適用される道路幅員が確定した。それぞれの道路に面した方向毎に隙間なく区分が確定しており。
図17
この赤部分は、存在できない。
赤部分が存在するとする間違った考え方中で多いのが
①「それぞれその前面道路の幅員の二倍(*)以内」の「それぞれ」の解釈不明に加えて
② 「小さい道路から大きい道路には、回り込まないという法的記述がないから回りこんで区分されてもおかしくないのでは?念の為、区分した方が無難なのでは?などと言われる事も多い。
前述した
「その為、狭い道路から広い道路へは、まわり込まないとするのが
「・狭い道路側からの2A処理は、行わない → 一体の区域とする(図 1-6-1) 」の「規定の適用の緩和に関する処置」ゆえ小さい道路幅員を大きい道路幅員側に適用する事は、無いで十分だと思われるが
①.②への回答を別の角度から、事例を変更して解説したい。
敷地の縦方向と横方向が4mほど狭くなり適用距離が20mの事例。
さらに最大幅員は、8mで同じだが東と南側の道路幅員が7mで同一、西側が5mで狭い事例で考えるとわかり良い。
図18
5m道路に面する部分は、5m<7mゆえ7m道路が適用される。その際「それぞれその前面道路の幅員の二倍」とは、5m側から奥行方向つまり7m道路に面する道路中心10m内を区分する距離を示す。これが赤枠で示す10m(5×2=10m)の意味。
さらに7m道路側からの奥行方向の2倍(7m×2=)14mだが最大幅員から16mの最大幅員の区域に食い込むためその位置が12mまでとなっているだけ。
南側7m道路に面する区域では
図19
5m道路中心10m内にあるそれぞれの2倍は、7m道路の2倍ゆえ14mまで延長されると思われるが赤枠で示すように10mとなっている。
この位置は、後退距離3m後退した位置を高さ制限の起点とすると
適用距離20mが14mの位置より内側にある為、適用距離で区分されている事がわかる。
高さ制限は、適用距離を超えてはいけない。
最後に東側7m道路に面した区域は、7mで同一の幅員ゆえ回り込みは、無し7m幅員が適用されるだけだが
図20
同様に東側に面した部分の奥行方向は、14mまで可だが適用距離20mがその手前に存在する為その位置で区分される。
①への回答の補足としては、
この様に道路中心内で同一幅員の場合が2方向で存在する場合でもそれぞれの2倍で区分する事で面する奥行方向を区分する事が可能になる。幅員が同一の場合、比較されない為に奥行方向の距離を確定する為にも必要になる。
1項で「それぞれその」の記述がないのは、最大幅員が同一の場合、最大幅員間で2Aの考え方は、不要の為存在せず奥行は、原則の適用距離で区分される為だと解釈している。もちろんさらに狭い道路がある場合は、その接道数により2項、3項の区分が必要になる。
次に②「・・・・法的記述がないから回りこんで区分されてもおかしくないのでは?念の為、区分した方が無難なのでは?などと言われる事も多い。」に対する回答としては
図21
この様に区分した場合、令135条の6に適合しなくなるが別の角度からの回答。
それぞれ赤枠での区分区域は、道路勾配は、B、Dそれぞれと同じ勾配だ。図13,図16,図20参照。
第135条の6 前面道路との関係についての建築物の各部分の高さの制限を適用しない建築物の基準等
2 当該建築物の敷地が、道路高さ制限による高さの限度として水平距離に乗ずべき数値が異なる地域、地区又は区域(以下この章において「道路制限勾配が異なる地域等」という。)にわたる場合における前項第一号の規定の適用については、同号中「限る。)」とあるのは「限る。)の道路制限勾配が異なる地域等ごとの部分」と、「という。)の」とあるのは「という。)・・・・
勾配が異なる区域は、別区域となるがこの場合、勾配も面する方向も同一ゆえ同一の区域としなければならない。別区分する理由が無い。
別々に区分した場合、第135条の6 の適用法にも反する事になる。
以上が②に対する補足の解説
2項の区域は、以上で解説終了、再度区分区域を確認していただきたい。
図22
そして残りの黄色で示される区域が令132条の2項の区域外の区域令132条3項の区域となる。
3項では、2項以外の道路中心10mの区域に接する前面道路5m道路の高さ制限が適用される区域となる。
3 前二項の区域外の区域については、その接する前面道路のみを前面道路とする。
3項の部分は、問題ないだろう。
そもそも天空率の基本的な考え方は、敷地内に有する空地の分だけ高さ制限を超える事ができるというのが基本的な考え方だ。
複数道路に面する場合は、令132条で区分された区域内の空地が可能高さに適用される。
令132条を正しく理解し狭い国土を有効活用したい。これが天空率の基本的な考え方だと思われる。
今回は、ワンストップで理解できるように解説がちょっと長くなった。
次回もサポートセンターに寄せられた質問から詳細解説を続けたい次回までお元気で!