3方向道路の事例で建物の外壁後退距離から天空率計算を開始したらNGになった、・・が東側道路の後退距離を7mから2.5mに変更すると南側NG算定位置がクリアした事例の解説。
サポートセンターに寄せられた質問を内容に準じた比嘉オリジナル事例で解説を進めたい。
まずは事例の詳細から
路線20mで
西側 商業地域 80/400%
東側 第一種住居地域 60/200%に用途地域区分される。
案分容積率286.96%から
商業地域の適用距離⇒20m
第一種住居地域の適用距離⇒25m
13階程度の事例。
まず道路高さ制限をチエックすると
「図法」「断面図」で商業地域側南北方向をカットするとNGになる。さらに一種住居側を確認すると
最大幅員から2倍以内で15m道路幅が適用される区域だが円弧で示す部分のNGを確認。
1種住居地域側道路中心10mの区域を確認すると
NGとなる事を確認。⇒天空率計算でクリアしなければとなる。
2の用途地域の詳細設定法は前回凸凹適用距離はなぜ? | 比嘉ブログ (ameblo.jp)を参照していただきたい。
前回の用途境界線は東西方向だったが今回は南北方向で区分される。
1)天空率解析の為のポイントと適用される法文
①3方向道路⇒施行令132条で区域区分される。
②最大幅員が15mが適用される第一種住居には
基準法56条3項、4項が適用される。
第56条 建築物の各部分の高さ
3 第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域又は準住居地域内における前面道路の幅員が12m以上である建築物に対する別表第3の規定の適用については、同表(に)欄中「1.25」とあるのは、「1.25(前面道路の反対側の境界線からの水平距離が前面道路の幅員に1.25を乗じて得たもの以上の区域内においては、1.5)」とする。
4 前項に規定する建築物で前面道路の境界線から後退したものに対する同項の規定の適用については、同項中「前面道路の反対側の境界線」とあるのは「前面道路の反対側の境界線から当該建築物の後退距離(当該建築物(地盤面下の部分その他政令で定める部分を除く。)から前面道路の境界線までの水平距離のうち最小のものをいう。以下この表において同じ。)に相当する距離だけ外側の線」と、「前面道路の幅員に」とあるのは「、前面道路の幅員に、当該建築物の後退距離に2を乗じて得たものを加えたものに」とすることができる。
本例では東側の区域が第一種住居地域で西側の15m道路(前面道路が12m以上)が施行令132条1項で他の道路側にも適用される為、法56条3,4項の対象区域となる。
第一種住居地域側に法56条3,4項が適用される為、道路高さ制限勾配が1.25の区域と1.5の2区域存在することになる。
勾配が2存在した場合には施行令135条の6において
第135条の6 前面道路との関係についての建築物の各部分の高さの制限を適用しない建築物の基準等
法第56条第7項の政令で定める基準で同項第一号に掲げる規定を適用しない建築物に係るものは、次のとおりとする。
2 当該建築物の敷地が、道路高さ制限による高さの限度として水平距離に乗ずべき数値が異なる地域、地区又は区域(以下この章において「道路制限勾配が異なる地域等」という。)にわたる場合における前項第一号の規定の適用については、同号中「限る。)」とあるのは「限る。)の道路制限勾配が異なる地域等ごとの部分」と、「という。)の」とあるのは「という。)の道路制限勾配が異なる地域等ごとの部分の」とする。
3 当該建築物の前面道路が2以上ある場合における第1項第一号の規定の適用については、同号中「限る。)」とあるのは「限る。)の第132条又は第134条第2項に規定する区域ごとの部分」と、「という。)の」とあるのは「という。)の第132条又は第134条第2項に規定する区域ごとの部分の」とする。
135条の62項では
勾配区分区域として天空率の区域区分法として記述されさらに
3項では第132条又は第134条2項に規定される区域で区分される事が記述される。
今回の解説はこれら法文解釈法を事例に適用する事により実践詳細解説したい。
2)適合建築物および算定基準線を自動発生する。
本事例の場合、法文が複雑に絡み合うが道路の反対側の形状が「敷地」「道路幅」の項で入力した値で道路の反対側が特定される。
その為、天空率の区分区域および算定基準線は自動発生処理が可能となる。
「新天空率算定領域」のダイアログを起動し
算定位置が発生する算定基準線と法56条3,4と施行令135条の6の2項勾配区分と3項132条区分が自動処理で作成される。
まずは
3)天空率解析
区域の法的適合性は、天空率計算を実行後検証したい。
どうやらNGが3箇所のようだ。
まずは法文に照らして各区域を検証しよう。
その前に毎回の事になったが令第132条の確認から
第132条 2以上の前面道路がある場合
建築物の前面道路が2以上ある場合においては、幅員の最大な前面道路の境界線からの水平距離がその前面道路の幅員の2倍以内で、かつ、35m以内の区域及びその他の前面道路の中心線からの水平距離が10mをこえる区域については、すべての前面道路が幅員の最大な前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。
2 前項の区域外の区域のうち、2以上の前面道路の境界線からの水平距離がそれぞれその前面道路の幅員の2倍(幅員が4m未満の前面道路にあつては、10mからその幅員の1/2を減じた数値)以内で、かつ、35m以内の区域については、これらの前面道路のみを前面道路とし、これらの前面道路のうち、幅員の小さい前面道路は、幅員の大きい前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。
3 前2項の区域外の区域については、その接する前面道路のみを前面道路とする。
4)区域検証
①令第132条1項最大幅員の区域
①-1)西側15m道路に面し最大幅員の区域
後退距離3mが15m道路の反対側から適用されると後退距離内2mの位置で適用距離20mに達する為、高さ制限適合建築物が存在しない区域となり天空率比較の必要無し。
①-2)最大幅員15mが6m道路側に適用される区域
❶15m道路の2倍30mの位置をしめしその間には6m道路側にも最大幅員15mhが適用される。
❷6m側に適用される最大幅員15mの適用距離20mの位置で後退距離1.5m加算された位置を起点とし20mで区分される。
❸第一種住居地域に属する地域の6m道路側に適用される地域の適用距離は後退距離1.5mが加算された位置から適用距離25mで区分される。
適用距離が商業地域と段差状になるのは
第130条の11 建築物の敷地が2以上の地域、地区又は区域にわたる場合の法別表第3(は)欄に掲げる距離の適用の特例
建築物の敷地が法別表第3(い)欄に掲げる地域、地区又は区域の2以上にわたる場合における同表(は)欄に掲げる距離の適用については、同表(い)欄中「建築物がある地域、地区又は区域」とあるのは、「建築物又は建築物の部分の前面道路に面する方向にある当該前面道路に接する敷地の部分の属する地域、地区又は区域」とする。
前回の比嘉ブログで詳細解説しているので参照していただきたい。
❹第一種住居地域に適用される1.5勾配の区域で第56条3,4項で区分される。
第56条 建築物の各部分の高さ
3 第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域又は準住居地域内における前面道路の幅員が12m以上である建築物に対する別表第3の規定の適用については、同表(に)欄中「1.25」とあるのは、「1.25(前面道路の反対側の境界線からの水平距離が前面道路の幅員に1.25を乗じて得たもの以上の区域内においては、1.5)」とする。
4 前項に規定する建築物で前面道路の境界線から後退したものに対する同項の規定の適用については、同項中「前面道路の反対側の境界線」とあるのは「前面道路の反対側の境界線から当該建築物の後退距離(当該建築物(地盤面下の部分その他政令で定める部分を除く。)から前面道路の境界線までの水平距離のうち最小のものをいう。以下この表において同じ。)に相当する距離だけ外側の線」と、「前面道路の幅員に」とあるのは「、前面道路の幅員に、当該建築物の後退距離に2を乗じて得たものを加えたものに」とすることができる。
6m道路側の後退距離は1.5mゆえ1.5m×2=3m
最大幅員 15m+3m=18mとする
1.25倍 18m×1.25=22.5mを超える位置道路高さ制限の後退距離は1.5となる為、同じ勾配の商業地域側1・5勾配区間と同一区域とし区分される。
❺1.5勾配の区域は東側4m道路に適用される道路中心10mの区域を超えた区域に15m道路が適用される為法56条3,4項が適用される。
そのため後退距離7mより7m×2=14m
最大幅員 15m+14m=29mとする
1.25倍 29m×1.25=36.25mを超える位置道路高さ制限の後退距離は1.5となる為、同様に商業地域側1・5勾配区間と同一区域とし区分される。
①-3)南側6m道路側に適用される最大幅員15mが適用される1.25勾配の区域
❶1.25勾配の区域は広い道路15m道路の2倍30mの位置
令第132条の1項で区分される区域が最大幅員15mが後退距離1.5m加算した位置から適用される。
❷6m道路側に適用される15m道路(12m以上の道路)では後退距離が1.5mゆえその2倍に最大幅員15mを加算し
最大幅員 15m+3m=18mとする
1.25倍 18m×1.25=22.5mまでの道路高さ制限勾配は1.25
❸一方最大幅員15mの2倍30mを超えた区域は6m道路中心10を超えた区域に最大幅員が適用され勾配は第一種住居地域ゆえ1.25勾配で❺適用距離25mまでで区分される。
❹6m道路に面する最大幅員15mが適用される幅で4m道路側からの10mは4m道路の道路中心10mを超えた区域が最大幅員が適用される区域となる。
❻4m道路側の1.25勾配が適用される区域は4m道路側の後退距離が7mゆえ
7m×2=14m
最大幅員 15m+14m=29mとする
1.25倍 29m×1.25=36.25mまでが1.25勾配が適用される区域になる事より❶と❻で区分される区域の間に隙間が発生するが
いずれも勾配が1.25勾配で6m道路側に適用される最大幅員ゆえ同一の区間として区分される。
この区域はNGになる算定位置が3ポイント。NGということは赤表時の高さ制限を超えた部分を超える空地が無かったということだ。
①-4)最大幅員15mが適用される4m道路側の区域
令第132条1項ではすべての道路に最大幅員が適用される。
4m道路側に適用される4m道路側の後退距離が7mゆえ適用された15mに後退距離7mが加算された位置を起点とし適用距離25mが最大幅員15mが適用される区域。だが適用距離内に計画建築物が存在しない為西側最大幅員15m同様比較の対象とならない。
以上が令第132条1項の区域で区分される区域。
次に令132条2項の区域となるが
本日も長くなった出かける時間だ。次回にしよう。
次回はその他の区域と天空率NGの解決法を解説したい。
次回までお元気で!