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令第132条で正しく区域区分する方法

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12月24日

クリスマスイブの東京は陽ざしが燦燦で昨日までの寒さが嘘のような雲一つない青空が広がった。

 大河ドラマの「鎌倉殿の13人」が先週で最終回を迎えた.

当初、三谷幸喜の演出で出演者の語りが今風で違和感があったのだが、三谷マジックでその語りにも慣れ・・これでいいんだと思うようになり・・いや、この方がわかり良い!と毎回欠かさず楽しんでいた。

・・・ところが最終回の承久の乱を見逃してしまった。

 

以下どうでも良い話なんで飛ばしでも問題ありません。

 

 先週、関西出張のおりせっかくなんで「鎌倉殿の13人」で紹介された滋賀県膳所にある義仲寺で源義仲の墓と巴御前の供養塚を訪ねた。

(松尾芭蕉の墓もあるが今回は2人の話ということで・・・)

冷たい雨の中、義仲の無念さを思ったりした。・・まではよかったのだが・・

 翌日曜日に東京に帰る新幹線が名古屋豊橋間のトラブルで4時間の待ちぼうけの末、当方の指定車両が運休。「自由席に乗れる人は乗って下さい」的な放送。・・おいおい・・

 人込みの中、ホームになんとか上がると新幹線に乗り込む大勢の乗客を眺めると圧死の恐怖を感じ、出入り自由ゆえひとまず改札を脱出。

 近隣の2のホテルのロビーを利用させていただき待機しては時折改札の混雑状況を確認してはロビーに戻りを繰り返し4時間ほど時間を過ごした。(構内待合室は満席で蜜状態)

 7時ころになっても混雑が解消しないので自由席の行列に並び

「のぞみ」の到着で順々に乗れれるかと思いきや・・・行列の前列が動かない・おや?。すると・・この待ち行列の人たちは皆次のコダマに乗る団体との事・・・早く言ってヨ~と思いながらもチャンスだと走って乗り込んだ。

 通路だが十分立てる、名古屋からなんと座って帰りましたとの顛末。

・・・という事で「鎌倉殿の13人」を見逃したというどうでもよい話でした。

 

で今週も関西のゼネコンさんで2回目の講座で出かけた。

今回の新幹線は海側ゆえ恒例の富士激写ならずで浜名湖のパチリ。

 前回の日影講習の復習をサクッと終えた後、天空率の基礎から実践まで頑張っていただいた。あとは実践で頑張れ~。

昨日は指定の「のぞみ」で無事、東京到着。

 

天空率講座を開始したい。

12月の比嘉ブログは、過去記事の中から重要と思われる回をリニューアルして掲載している。

 今回は、2020年の12月末にアップした施行令第132条の解釈法をブラッシュアップし

 

「令第132条で正しく区域区分する方法」

と題して令第132条の区域区分法を基礎的な事から解説したい。

 

サポートセンターに寄せられる質問で最も多いのが2以上の道路が接道する場合の令第132条区域区分解釈法だ。

 

 

「2017年度版」建築確認の為の集団規定の適用事例)

(以下適用事例)のP237から令第132条による区域区分法が記述されている。

この内容を具体的な事例で検証解説したい。

 

 事例は

図1

 商業地域で容積率500%で適用距離は25m。

最大幅員から12m>11m>10m>9mの4方向道路の事例

 

 解説の始めは、令第132条で区域区分する目的を確認する事から始めたい。

 

 

 

道路高さ制限は、基準法56条1項一号で規定される。

図2

 前面道路の反対側から高さ制限が適用される事が記述されており上図の様に広い道路のみが接道する敷地であればその反対側の道路境界線を高さ制限の起点とした高さ制限が適用距離内で確定する。その為、道路幅員Aが広い場合、高さ制限可能空間は大きくなる。

 

 これが法第56条1項の基本の考え方。

 

 ただし他方に狭い幅員Bの道路が接道する場合

図3

 1項の記述のみでは狭い道路幅員で高さ制限可能空間が下図のように制限され不合理な結果となる。

図4

 Bの狭い道路による高さ制限により可能空間が極端に低下する事になる。

 道路高さ制限の目的に、道路反対側の住環境に通風採光を確保する事がある。

 

 道路は主に車両等が走行するのみで通風採光を阻害する要因が無い。

 その為、広い道路Aに面する敷地側および反対側の住環境の通風採光も良好と考えられる。

 

 通風採光が良い広い道路Aに面する敷地の部分は、狭い道路Bに面する敷地側とも一部重なる。その為、広い道路側から得る通風採光効果は、狭い道路B側にも影響が及ぶと考えられる。

 

 その為法第56条の6項では

 建築物の敷地が2以上ある場合の高さ制限の適用の緩和に関する処置は政令で定めるとある。その政令が第132条となる。

 

 つまり広い道路側から狭い側にも通風採光効果が期待できるとし

令第132条に記述される内容で道路に面した部分を区分し

その区分された区域に対して高さ制限を適用する道路幅員を確定する。

 この事により広い道路側からの通風採光の効果を、狭い道路側にも適用する。

 気を付けたいのは、狭い道路の通風採光の効果は、広い道路側には適用されない。もとより広い道路側は、狭い道路以上に通風採光を有する為だ。

 その為、幅員差がポイントとなり2以上の道路でも幅員差がない場合は令第132条の適用対象にならない。

 

 日本建築行政会議(JCBA方式)では

(「2017年度版」建築確認の為の集団規定の適用事例)

(以下適用事例)のP237から令第132条による区域区分法が記述されている。

図5

 

図示された区域番号①~③は令第132条の1項から3項で確定する。

 

 道路幅員が適用される区域。

(2以上の前面道路がある場合)

区域①以下の条文で区分されるがB,C,Dに面する全ての区域に最大幅員Aが適用される仕様が規定される。

第 132条 建築物の前面道路が2以上ある場合においては、幅員の最大な前面道路の境界線からの水平距離がその前面道路の幅員の2倍以内で、かつ、35メートル以内の区域及びその他の前面道路の中心線からの水平距離が10メートルをこえる区域については、すべての前面道路が幅員の最大な前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。

 

 ①の区域以外の道路中心10mの区域は、B、D,Cの道路幅員の大小が比較されB、D,C間で広い道路幅員が適用される仕様が規定される。

2 前項の区域外の区域のうち、2以上の前面道路の境界線からの水平距離がそれぞれその前面道路の幅員の2倍(幅員が4メートル未満の前面道路にあつては、10 メートルからその幅員の2分の1を減じた数値)以内で、かつ、35 メートル以内の区域については、これらの前面道路のみを前面道路とし、これらの前面道路のうち、幅員の小さい前面道路は、幅員の大きい前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。

 

区域①②以外の区域③は、最小幅員Cが適用される。

3 前二項の区域外の区域については、その接する前面道路のみを前面道路とする。

 

 区域①から確認しよう。区域①は、最大幅員が適用される区域だ。

図6

 

 具体例で確認してみよう

(適用事例集に合わせて後退距離を0mとして記述するが後退距離は境界線に近接する計画建築物の後退距離以内で適用が可能)

 

区域①

A道路(12m)に面する区域は

図7

 最大幅員12mに面する区域は、最大幅員12mが反対側から適用距離25mで区分される。最大ゆえ他の道路からの影響は考えない。

最大幅員12mが適用される

B(11m)、D(10m)道路に面する区域

図8

左右のB,D道路側には、最大幅員A側の境界線から

水平距離2倍24mそして2倍24mを超えた部分は、B,D,さらにC側の道路中心10mを超える区域に最大幅員12mが適用される。

最大幅員12mが適用される

C(9m)道路に面する区域

図9

Cに面する区域で最大幅員12mの2倍24mを超えている事から

最大幅員と反対側のC道路側に面する側にも

道路中心10mを超える区域には最大幅員12m道路が適用され区域区分される。

 

区域②

令第132条2項の区域は、道路に面する敷地側に適用される区域で1項で区分されなかったBDC道路中心10m内の区分法

 適用事例集の記述から

図10

 

この挿絵で適合建築物3D表示は、紙面の都合D側のみの例示になっているがB側も同様。

 

 

区域①を除く②、のB,Dに面した部分は、令132条2項「・・これらの前面道路のうち、幅員の小さい前面道路は、幅員の大きい前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。・・」B,D>Cゆえに区域②にはB,Dが適用される。

 区域②の部分とはB,D道路に面した方向とC側に面した区域で、それぞれその2倍2B,2DまではそれぞれCより道路幅員の大きいB,Dの幅員が適用される区域となる。

*この考え方は、1項で記述される「・・幅員の最大な前面道路の境界線からの水平距離がその前面道路の幅員の2倍以内で・・・すべての前面道路が幅員の最大な前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。

つまり狭い道路側にもより広い道路境界線からの2倍までは広い道路が適用される考え方に準ずる。

 

 B,Dに面する区域

図11

図12

 B、Dに面する区域とは広い道路12mから2倍24mを超えそれぞれ残りB,Dに面する区域の事。

すると本例の場合だと下記の質問が寄せられる

「奥行方向が「・・それぞれその前面道路の幅員の2倍(*)以内・・」

11m×2倍=22mではなく14mはなぜ?

10m×2倍=20mではなく15mはなぜ?

*これらの事の質問も多いが答えは

 

⇒高さ制限は、適用距離を超えて適用されない。(本例では適用距離25m)
第56条 建築物の各部分の高さ
建築物の各部分の高さは、次に掲げるもの以下としなければならない。
一 別表第3(い)欄及び(ろ)欄に掲げる地域、地区又は区域及び容積率の限度の区分に応じ、前面道路の反対側の境界線からの水平距離が同表(は)欄に掲げる距離以下の範囲内においては、当該部分から前面道路の反対側の境界線までの水平距離に、同表(に)欄に掲げる数値を乗じて得たもの

 

 高さ制限は、適用距離の範囲内に適用される。

ただし、本例の場合それぞれの2倍以内に適用距離がある!

B(11m道路)の2倍22mは

(適用距離25m-11m=14m(敷地側の適用距離による区分位置)<22m

ゆえ適用距離による区分14mで区分される。

 

*それぞれその前面道路の幅員の2倍(*)以内・・

2倍では無く「2倍以内」は、適用距離で区分される場合。

 

D側も同様に適用距離で区分されている。

 

令132条2項は、さらにつづく

C道路に面する令132条2項の区域

図13

C道路側にもそれぞれB,D道路が2B,2Dで区分される区域まで適用される。

図14

*注意

適用事例集でもB,D区域が同時表示されているが解析時はそれぞれの区域ごとに解析する。同時に計算するとそれぞれの算定位置から他の区域が天空図に投影される為、異なる結果となる。

 

図15

これは、当然だが1項における最幅員A12mがB,D側に2Aで区分される事と同じ考え方。

2項における

・・それぞれその前面道路の幅員の2倍(*)以内で、かつ、35 メートル以内の区域については、これらの前面道路のみを前面道路とし、これらの前面道路のうち、幅員の小さい前面道路は、幅員の大きい前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。

 狭いC道路側に適用されるB,D道路幅員は、奥行長さも同様に

9m道路×2=18m

11m側は敷地側までの距離は

25m-11m=14m<18mゆえ適用距離位置14mで区分される。

 

10m側は

25m-10m=15m<18mゆえ適用距離位置15mで区分される。

 

それぞれのC道路幅員9mの2倍と適用距離が比較されまでが適用される。

 ここまでが2項(区域②)

 

図16

区域③

2項までの区分で最後に残った区域が令132条3項の区域となる。

図17

 

 

これで道路に面する全ての区域で適用される道路幅員が確定する。

図18

 

図19

 以上で令第132条による区域区分が完了した。

あらためて確認していただきたいのが

 道路境界線A,B,C,Dの各境界線に面した部分に適用される道路幅員が確定する。その部分を区域と称し2以上の道路を有する

道路天空率を解析する際にはその区域ごとに面した現況の道路境界線上を算定位置とする。

 

第135条の9 法第56条第7項第一号の政令で定める位置
 法第56条第7項第一号の政令で定める位置は、前面道路の路面の中心の高さにある次に掲げる位置とする。
一 当該建築物の敷地(道路高さ制限が適用される範囲内の部分に限る。)の
前面道路に面する部分の両端から最も近い当該前面道路の反対側の境界線上の位置
二 前号の位置の間の境界線の延長が当該前面道路の幅員の1/2を超えるときは、当該位置の間の境界線上に当該前面道路の幅員の1/2以内の間隔で均等に配置した位置
2 当該建築物の敷地が道路制限勾配が異なる地域等にわたる場合における前項の規定の適用については、同項第一号中「限る。)」とあるのは、「限る。)の道路制限勾配が異なる地域等ごと」とする。
3 当該建築物の前面道路が2以上ある場合における第1項の規定の適用については、同項第一号中「限る。)」とあるのは、「限る。)の
第132条又は第134条第2項に規定する区域ごと」とする。

 

 これらの可能空間で最大幅員以外の道路に面した区域は道路中心10mの区域とそれを超えた区域では適用する道路幅員が異なる。ただし区分された区域は、重なる事は無い。さらに確定した道路幅員による適用距離を超えた区域は存在しない。

 上記一号は、令第132条区分により狭い道路幅員に最大幅員が適用された場合でも算定位置は現況(狭い道路)の反対側に設定される事に注意。

 

 ところで令132条2項の解釈法で間違った指摘を受ける事がある確認してみたい。

 

2 前項の区域外の区域のうち、2以上の前面道路の境界線からの水平距離がそれぞれその前面道路の幅員の2倍(幅員が4メートル未満の前面道路にあつては、10 メートルからその幅員の2分の1を減じた数値)以内で、かつ、35 メートル以内の区域については、これらの前面道路のみを前面道路とし、これらの前面道路のうち、幅員の小さい前面道路は、幅員の大きい前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。

 

 赤表示したそれぞれその前面道路の2倍で区分するとある事より

せまいC道路側から2倍区分しB,D側に残った区域は3項の区域とするのでは?・・という間違った指摘の事。

 

 このような間違った指摘は、天空率施行直後からあり

比嘉も参加したJCBA分科会でも協議された。

結論は

「令132条は、広い道路側から狭い道路に回りこむ通風採光効果による緩和であり狭い道路幅員が広い道路側に適用する解釈は無い。」で下記の挿絵とともにその事を記す事とした。

 

第1章 天空率(法第 56 条)運用基準及び具体の審査に係る検討

のP50「1.2以上の前面道路がある場合の令 132 条の区域区分」

図20

 

引き出し線で「それぞれ一体処理する(幅員B、Dを適用)とある。

参考にして頂きたい。

 

 BあるいはD側に面する敷地の部分は図12でそれぞれB、Dの幅員が適用されておりC側からさらに区分し2重に定義される事は無い。

 

 2項の「・・それぞれその前面道路の幅員の2倍・・」意図を理解する為にはBCDの幅員を変更し比較する事でその合理性が理解しやすい。・・・が本日も長くなった。この事は、次回さらに詳細の解説をしたい。

本日は「鎌倉殿の13人」の再放送を見なきゃ!

次回までお元気で・・・次回は年末ゆえ土曜待たずにアップ予定。

 

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