3月23日土曜日
東京では、桜の開花予報日が過ぎましたが、まだ咲いていません。寒い日が続いています。今日も寒いらしい・・
先週の土曜日は、U2の会参加のため、大阪城まで出かけた。
会の前には快晴で暑かったので、何年ぶりだろうか?ソーダフロートをいただいた。さらにその前には大阪NHKに立ち寄り朝ドラブギウギのセットを見学。ブギウギも今月までか・・お名残り惜しや。
今週はスポーツイベントが盛りだくさんで、ドジャース対パドレスの韓国シリーズの2日目がサッカーの北朝鮮戦と重なってしまった。
風呂に入りながらも、手放なさないポータブルTVと居間のTV2台で両方の試合を観戦した。
そうそう大阪の翌日は前日から一転した寒い雨の中、京都の石清水八幡をたずねた。
そうそう大相撲・・尊富士に大の里強いね~。これも連日の楽しみ朝乃山も好きな力士だが今日の尊富士との一戦は見逃せない。
京都で馬酔木の大木を発見。
天空率講座始めますよ~!
前回から、高低差を含む用地情報の入力から解析、申請図の作成、検証法に至るまでの解説を行うシリーズを始めました。
前回は、以下の手順に沿って、高低差情報をどのように入力するかについて解説しました。
- 道路高低差情報の入力
- 地盤面、平均GL(敷地の地盤面)計算を行うために、オプションライセンスの指定を行います。
- 「地盤:設計GL入力」
- 敷地の地盤面(平均GL)の算定手順
- 天空率計算を行います。
これらの手順を踏むことで、高低差情報の入力から解析、申請図の作成、検証法に至るまでのプロセスを明確にすることができます。
結果は
道路中央部のP8は、その差分は0.056%であり、安全差分にぎりぎりの状態でクリアしていることがわかります。
今回は、前回に引き続き、道路中央部P8の天空率差分が0.056%であることが、どの程度安全差分として妥当なのかについて、安全差分の考え方を中心に解説いたします。
安全差分解説の前に
隣地境界線沿いに設置される塀の入力について、以下の手順で解説を行います。
1)塀の入力
塀の入力は、2018年12月29日
で操作等の詳細解説しています。参照して下さい。
塀を天空率計算に含める法文は
(用語の定義)
第二条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(*)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(*。)をいい、建築設備を含むものとする.
塀も建築物の定義に含まれることより天空率計算に算入します。
塀の入力に関しては、「入力」「建物」の項目で可能ですが、幅が狭く隣地境界線に沿って長くなるため、通常の建物入力では煩雑になりがちです。このような場合、以下のような手順で入力する事が有効です。
属性線『板塀発生基準線』から建物への変換を行うことで、塀の入力を簡便にすることが可能です。この方法を用いることで、煩雑な手順を効率的に作業を進めることができます。
①入力」メニューの「属性線」から「板塀発生基準線」を選択し、隣地境界線上でクリックすることで、塀を設置する位置を入力することができます。この方法により、塀の設置位置が簡単かつ正確に行えるようになります。
②「入力」メニューの「建物」セクションで、右ボタンメニューから「板塀状建物発生」ボタンを選択することにより、塀を自動的に生成することができます。
属性線で入力された「板塀発生基準線」が赤く表示された後、その基準線を選択し、壁厚を発生させる方向を指示するために敷地の内側を再度クリックします。その後、塀の高さと幅を入力するダイアログボックスに必要な情報を入力します。
以上の操作で塀が建物として配置されます。建物の属性を変更する際には、塀をクリックし選択後「建物入力」ダイアログボックスで以下の手順で行います。
- 外壁後退対象: 塀が外壁後退の対象にならないように、このオプションのチェックをOFFに設定します。
- 形状保護: 逆天空率計算時に塀が切断されないように、このオプションをチェックします。
- 現在の値を適用: 変更した設定を確定するために、このボタンをクリックします。
これらの手順に従って属性を変更することで、塀の設定が適切に行われます。
*塀が後退距離に含まれないのは、以下の法文を参照して下さい。
第五十六条
2 前面道路の境界線から後退した建築物に対する前項第一号の規定の適用については***その他政令で定める部分を除く。)**前面道路の境界線までの水平距離のうち最小のものをいう。)に相当する距離だけ外側の線」とする。
政令で定める部分とは
第百三十条の十二 法第五十六条第二項及び第四項の政令で定める
四 隣地境界線に沿つて設けられる門又は塀
2)天空率計算を行う
P8でNGの赤表示になりました。塀の入力の有無で天空率計算結果が異なります。
本日のテーマ「安全差分」は、ここからです。
差分を確認すると0.038%です。マイナス表示では無いのでクリアしたと考えたいところですが赤のNG表示となっています。
この天空率計算時に表示される計画建築率天空率から道路高さ制限適合建築物(以下適合建築物と省略表記します)天空率を差し引いた結果です。ただし天空率計算の投影部の面積計算は、高精度の積分法による結果で可否を判断します。
確認申請図天空率差分の評価法を理解していないと、このNG表示の意味が理解できません。
3)確認申請時における天空率安全差分の考え方
天空率は施行令135条の5を再度確認します。
第135条の5 この章において「天空率」とは、次の式によつて計算した数値をいう。
Rs=(As-Ab)/(As)
建築物及びその敷地の地盤を想定半球に投影した際の水平投影面積 ( Ab ) の算出は、確認申請において重要な要素です。安全側に計算を行うことが必要な措置とされています。安全側の措置は、以下のステップで水平投影面積を算出する事で実現します。
安全側に水平投影面積を算出する方法については、JCBA(日本建築センター)のホームページや適用事例集に記載されています。具体的な計算手順や考慮すべきポイントが詳細に説明されており、確認申請の際に正確な計算を行うためのガイドラインが提供されています。
天空率を算出する為の投影部(適合建築物の場合、緑部)の面積を算出する手法として
天頂(算定位置)を頂点とした建築物の位置を示す方位角で囲われた扇型の面積から天頂側の部分を三斜求積した面積を差し引きし投影部(緑部)の面積を算出します。
適合建築物の天空率を安全側で算出するとは、実際の天空率より大きく評価する事です。
天空率を大きく評価する為の三斜求積法とは、投影面積を実際の面積より小さく評価しなければなりません。
その為に三斜求積の斜辺を以下のように設定します。
三斜求積の三角形の天頂側を起点とする斜辺を本来の長さより長めに設定し緑部の道路高さ制限適合建築物に食い込むように作図します。
その結果、投影面積は、扇型全体から三斜求積部を差し引きし算出する為、斜辺が食い込む分、投影部(緑部)の面積は、実際の面積より小さくなり天空率は、増大することになります。
施行直後、三斜求積部が食い込んで作図されたか否かを審査サイドでは、目視するとの事でした。・・が
半径10cmで作図するなど大きめの三斜求積図が要求されましたが微小な食い込みを目視する事は不可能です。
一方、計画建築物においては、適合建築物と逆に投影面積を実際より大きく評価します。
その為の三斜求積法は、適合建築物と逆で三斜求積部と建築物の投影部の境界に隙間を空けることが要求されます。
隙間の分が計画建築物の投影面積に加算され、その分天空率が低くめに評価され安全側とします。
この場合も目視は、容易ではありません。
三斜求積図を作図する際は、天頂からの分割角度が10度以下であれば良いというルールが存在するだけです。
分割角度をせまくすると隙間は、せまくなり精度が向上し積分法に接近します。
積分法とは、一般的に三斜求積の天頂側からの分割角度を1度以下程度の高精度で行う面積算出手法の事です。
JCBAによると、目視判定が不可能であるため、安全側が成立する判断として積分法を基準とした以下の条件を満たすことが要求されます。
適合建築物の場合、
三斜求積法による天空率は積分法による天空率の結果以上である必要があります。これは、本来の値よりも大きめに評価することで安全側に立つということです。
→三斜求積天空率≥積分法天空率
計画建築物の場合
三斜求積法による天空率は積分法による天空率の結果以下である必要があります。これは、本来の値よりも小さめに評価することで安全側に立つということです。
→三斜求積天空率≤積分法天空率
これらの条件を確認することにより、安全作図が確認されたとされます。
確認申請時には、
目視での食い込みや隙間の確認を行わず、積分法と三斜求積法による天空率の比較を通じて安全処理が確認されます。
この安全処理の確認を前提に、以下の条件が要求されます。
- 計画建築物の三斜求積法による天空率は、高さ制限に適合する建築物の三斜求積法による天空率以上である必要があります。
計画建築物三斜求積天空率≥高さ制限適合建築物三斜求積天空率
これにより、最終的に安全処理で算出された三斜求積法による天空率で、計画建築物の天空率が適合建築物の天空率以上であることを確認します。
TP-PLANNERの天空率計算では、積分法による計算結果の差分に、三斜求積法による安全処理を考慮した数値を加算することで、計画時の天空率可否の判断を行います。
これにより、天空率が安全基準を満たしているかどうかを正確に評価することが可能になります。
積分法結果に対するの安全処理の為の数値加算の考え方手順を下記で解説します。
①道路高さ制限適合建築物の場合、積分法の結果は、三斜求積より大きくならなければならない ⇒ その分、差分がさらに
+0.01%必要だと考えます。
②計画建築物の積分法の結果は三斜求積より小さくならなければならない ⇒その分、差分がさらに+0.01%必要だと考えます。
③適合建築物の天空率を算出する際は、面積は、下3桁以下は、切り捨てし、天空率は、切り上げ処理するなど数値の丸めによる安全処理も要求さます。
計画建築物は、その逆でそれらの数値の安全側の丸め処理にしなければなりません。⇒差分がさらに+0.01%必要だと考えます。
④以上の結果から積分法の結果には①+②+③分の安全差分0.03%以上を加算する必要があります。
→その事により確認申請時の三斜求積時における結果判定と齟齬が生じない事になります。
ここまでが法的に適合する審査方式の安全差分の考え方です。
再度、塀を入力しNG表記された結果を確認すると
積分法による差分が0.038%で④の0.03%を超えておりクリアーでは、ないか?と考えたいところですが・・・NG表示されているのはなぜでしょう?
⑤再度、適用事例集の「(1)安全差分の考え方」の解説を確認しますと
「審査と設計双方で値による一定の安全率(0.02%など)の適用の有無については、(2)から(4)に示す算出方法に定の安全率が含まれることを、設計側及び審査側双方が理解した上で、適宜判断するものとする。」
「数値による安全率0.02%など」とあるのは、かつて東京都の天空率審査の試案で④までの三斜求積の安全率を適用した上でさらに計画建築物三斜求積天空率から適合建築物三斜求積天空率を差し引いた差分は、本来0%以上で良いのですが0.02%以上ある事を要求した事への対処です。
「試案」が東京都で公的に採用された報告はありません。
ただしこの「試案」により審査サイドでも「数値による安全率0.02%など」を追加要求される場合があります。
法的には、不合理で不要と思われる為、JCBAでも
・・・設計側及び審査側双方が理解した上で、適宜判断するものとする。」としています。
TP-PLANNERの天空率可否判定閾値は、これらの審査方式に適用すべく初期値を
(三斜求積:積分法の桁丸めの安全差分0.03%)+(数値による安全率(0.02%など)=+0.05%
の安全差分が設定されています。
積分法で天空率結果を表記するのは、申請時に安全差分の有無の基準が積分法が採用される為です。
塀を配置する前の天空率計算結果を再度確認すると差分が0.056%で
三斜求積安全差分0.03%+(一定の安全率(0.02%など)の0.05%より大きな差分である事よりクリアを示す青表示となっています。
当然⑤の項の(一定の安全率(0.02%など)は、そもそも「試案」の記述から審査側により判断が異なります。
その為、東京の事案の場合、事前に
「三斜求積による安全差分以外に(一定の安全率(0.02%など)の余裕が必要ですか?」
と確認する必要があります。
このように安全差分に(一定の安全率(0.02%など)のあいまいな一部の考え方も考慮しなければ審査がスムーズに進行しない事を考慮すると、可否の判定値の閾値は、適時変更する必要があります。
変更する場合は
「入力」「新天空率算定領域」ダイアログボックス内の「自動発生方式詳細」ボタンをクリックし設定ダイアログから「規制内判定値」の項を初期値0.05%から変更する事が可能です。
(一定の安全率(0.02%など)を考慮しない場合は、閾値は0.03%に変更します。
0.03%の閾値には、三斜求積の食い込み、隙間等の安全作図および桁丸めによる安全操作分が積分法の結果に加える事が必要になる事の意図です。
それ以下の設定は可能ですが一般的には、申請時にマイナスのNGとなる可能性が高くなる為0.03%以下の設定にはしません。
一方、設計変更等で建物形状が天空率計算に不利側に変更される事も考慮すると初期設定閾値0.05%のままで良いとする考え方もあります。
それらの事を意識し手戻りが少ない設定値を適時、初期設定あるいは変更しご利用下さい。
名古屋市の場合、注意事項で
○注意事項1.
7.適合建築物と計画建築物の天空率の差は0.2%以上とする
三斜求積による差分が0.2%となる極めて高い安全差分を要求しています。
ただしその場合でも審査機関によっては、JCBAの適用事例集に記載された安全差分で良いとする場合も有ります。やはり審査サイドに事前に確認することを推奨します。これが審査側の安全差分に対する対応の現状です。
本例で塀を配置し結果、赤表示のNGとなったのは、差分が閾値の初期値0.05%と比較し0.038%≦0.05%となる為NGとしています。
(一定の安全率(0.02%など)の数値的安全率が不要の場合は、閾値を0.03%に変更するとクリアー表示になります。
閾値を0.03%に変更すると
差分0.038%が変化したわけではありませんが審査サイドの安全率の考え方によりクリアする事もある事を理解してください。
ただし今回は、さらに逆天空率を理解していただく為に閾値を0.05%に戻しNGdとし逆天空率で計画建築物をカットして差分0.05%以上を確保する手順で解説をすすめます。
*逆天空率は、NG差分の場合のみ解析が可能になります。
円弧で示すバルコニーの両端隅をわずかにカットする事で閾値0.05%を越える事が赤線分で確認されます。「建物切断」をクリックし逆天空率計算を実行すると
円弧で示す極めて微小なカットで差分も0.05%を超えた0.065%となり申請時の三斜求積による安全差分に加えて(一定の安全率(0.02%など)による安全差分0.05%を超えました。
これらの差分の比較は、申請時の判定表で表現されます。
上下が三斜求積による安全差分、最終は、三斜法の天空率計算で判断します。
さらに(一定の安全率(0.02%など)が必要とされた場合
計画建築物天空率79.017%-適合建築物78.994%=0.023%
三斜安全差分に加えて数値による安全差分0.02%も超えてクリアしている事がわかります。
以上が天空率計算時結果判定における安全率の考え方です。
次回は、確認申請時要求される天空図が正しく作図された否かを確認する位置確認法の作成法と検証法を中心に解説します。
次回までお元気で!