6月29日早くも6月最後の土曜日。
東京は薄曇りの空模様。
昨日金曜日は全国的な雨で東京も大雨。
出勤時の公園の様子から
雨の中緑が生える。右側のアジサイの様子を確認にきたのだが
すでにアジサイも終わりのようだ。と戻りかけたら・・
白い見慣れぬ花が雨の中・・イイね。
本日の講座から
今週木曜日はデべユーザから3回目最終回の講座。
前回は形態制限内で最大容積率を算出するプランニンングを行い。斜線チェックでNGを確認し天空率計算を行うまでで時間。
今回は天空率の理論から敷地内高低差の事例も設定手順と日影、天空率解析手順を体験。令第132条の区分法から屈曲道路、行き止まり道路そして最後に隣地天空率計算までの盛沢山の内容。
予定時間を超えへろへろかと思いきや以外皆さん元気。
どうやら最後のパチリのポーズを決めていたようだ。
いいぞ!
金曜日もデべユーザー設計の2人組。最終回で
木曜組とほぼ同じ内容で進行。天空率の理論から実践そしてプランニング時に天空率NGの際の逆天空率を行いプランニンング形状に反映させる方法まで解析。早速天空率の事案が待っているようだ。現場れ~。
皆さんまたお会いしましょう。
天空率講座を開始します。
今回は、サポートセンターに寄せられた事例をアレンジし解説します。
事例は商業地域に計画される15階建ての共同住宅の事例。
北側に15m、南側に6m道路そして東側に4mの行止り道路が接道しており屈曲した隣地境界線を3に区分する事例です。
さっそく「図法」「断面図」で高さ制限をチェックしてみましょう。
隣地、道路高さ制限いずれもNGです。
道路の接道状態も興味深い事案ですが本日は屈曲した隣地天空率解析法を解説します。
1)「敷地」で連続する一隣地境界線を「同一区間設定」します。
「一の隣地自動設定」ボタンをクリックすると道路境界線を除き隣合う隣地境界線が同一区間設定されます。
*「グループ番号」は、7境界線の始点側の境界線番号が設定されます。任意の隣地境界線を選択し「設定」ボタンを押下する事でも同様の設定が可能です。
*「用途地域」「建物」の入力解説は省略します。
2)「新天空率算定領域」で面する方向ごとに「敷地区分方式」を指定する方法
起動の直前に外壁後退距離の確認ダイアログが表示されます。
外壁後退距離は高さ制限適合建築物を作成する際に使用されます。
本例では商業地域ゆえ計画建築物が31mを超える計画建築物の隣地境界線からの水平距離を自動算出し適用します。
*適合建築物を設定する際の後退距離は下記の法文で規定されます。
令第135条の7
二 当該建築物(法第56条第1項第二号イ又はニに定める数値が1.25とされている建築物にあつては高さが20mを、同号イからニまでに定める数値が2.5とされている建築物にあつては高さが31mを超える部分に限る。)の隣地境界線からの後退距離(同号に規定する水平距離のうち最小のものに相当する距離をいう。以下この号において同じ。)が、前号の隣地高さ制限適合建築物と同一の隣地高さ制限適合建築物(同項第二号イ又はニに定める数値が1.25とされている隣地高さ制限適合建築物にあつては高さが20mを、同号イからニまでに定める数値が2.5とされている隣地高さ制限適合建築物にあつては高さが31mを超える部分に限る。)の隣地境界線からの後退距離以上であること。
赤字の部分のみを表記すると
当該建築物の隣地境界線からの後退距離が、前号の隣地高さ制限適合建築物と同一の隣地高さ制限適合建築物の隣地境界線からの後退距離以上であること。
つまり隣地高さ制限の適合建築物の後退距離は計画建築物の後退距離以内で任意の水平距離を指定する事が可能と記述されています。
*道路高さ制限適合建築物を設定する際の後退距離も同様です。計画建築物の後退距離内で任意の幅を指定する事が可能です。
第135条の6
二 当該建築物の前面道路の境界線からの後退距離(法第56条第2項に規定する後退距離をいう。以下この号において同じ。)が、前号の道路高さ制限適合建築物と同一の道路高さ制限適合建築物の前面道路の境界線からの後退距離以上であること。
適合建築物の後退距離を設定する際には、計画建築物の後退距離内であれば任意の水平距離を指定可能です。
その事から適合建築物で区分される天空率比較される空間は
計画建築物内で任意の位置を指定する設計者の判断により適合空間が異なる事になります。
時々、「後退距離は計画建築物と一致させないといけないのでは?」との質問をいただきますが必ずしもそうではありません。
一般的に隣地天空率は後退距離を最大水平距離で採用する事により適合建築物の前面の立ち上がり高が高くなり空をより遮蔽し適合建築物天空率が低下することから設計有利です。その為この項では「はい」をクリックします。
後退距離の設定に関しては下記過去比嘉ブログを参照して下さい。道路に面する間口が狭く後退距離が広い場合、道路天空率では必ずしも後退距離最大幅が設計有利ではありません。
天空率基礎3:最適後退距離とは?2 | 比嘉ブログ (ameblo.jp)を参照して下さい。
*計画建築物を変更した場合など後退距離を再計算したい場合などは「計算」プルダウンから
「建物外壁後退距離」を押下する事で後退距離を算出し同様に適用します。
-2)屈曲した隣地境界線に面した方向ごとに隣地高さ制限適合建築物および基準線を発生させる指定法
①「新天空率算定領域入力」ダイアログで「自動発生方式詳細」を指定します。
②「敷地区分(同一区間あり)を指定します。
③「同一区間入隅処理」を選択します。
*屈曲隣地の同一区間設定は、入隅を含まない場合でも「同一区間入隅処理」で最適化されています。屈曲隣地の同一区間設定は「同一区間入隅処理」を押下します。
④「新天空率算定領域入力」ダイアログで「敷地区分」ボタンを押下し同一区間設定ごとに適合建築物と基準線を発生します。
-3)区域ごとに基準線を設定します
①「天空率表示」ダイアログをOFF設定後「領域」1を指定します。
同一区間設定された端部の円弧部は出隅形状です。その際は円弧部は不要です。押下し選択後、削除します。
②領域1の基準線の設定を行います。
「算定線詳細設定」ボタンを押下し「天空率詳細」ダイアログボックスを表示し基準線端部からの切断条件を設定します。
屈曲した基準線の端部を押下し選択します。(選択するのは始点側もしくは終点側の端部であればいずれでも可です。)選択するのは端部ですが「天空率詳細」ダイアログボックスの始点条件、終点条件は屈曲した基準線全体の始点、終点側を意図します。
指定された端部からの切断条件を選択します。
本例の場合、基準線の端部から垂直切断する設定を行います。
-4)同様に領域2の区域の基準線切断条件を設定します。
-5)領域3の区域の基準線切断条件も同様に設定します。
*端部の切断条件を指定する事により異なる切断法が指定された場合でも対応が可能になります。
4)天空率計算実行
5)領域ごとの検証
以下各区域ごとの算定位置の基準線の端部は、「平成14年建築基準法改正の解説」の図19の面する方向の概念図に準じて設定します。敷地区分方式では出隅の場合はその基準線から垂直に区域区分する方式が一般的ですがJCBAでは垂直区分しない考え方もあります。その事は後述します。
①領域1
隣地境界線端部に垂直な位置から道路境界線に垂直な位置までで区分されています。道路境界線の端部から垂直な位置間は道路境界線に面すると解釈されます。
②領域2
領域①同様の解釈です。
③領域3
以上が出隅場合の基準線に垂直に切断する方法です。
6)基準線端部の切断法の指定では垂直切断しない方法も可です。
最後にその操作と結果を解説します。
①切断設定方法
基準線始点側から垂直切断しない場合「側面切断」を指定しません。
その結果
その結果赤破線部を含めて区分します。敷地内の空地の分高さ制限を超える事が可能になるのが天空率の基本的な考え方からこの手法も合理的な解析法です。
この事のJCBAの考え方は次回解説する事にしましょう。
次回までお元気で!