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屈曲隣地の天空率解析法と公的資料

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7月6日土曜日

今週東京も猛暑に突入

本日の東京は薄曇りだが35度に達するらしい。

これは昨日金曜日の空。

木陰でぐたっとしていたいが今年は蚊の発生が多いらしい。

蚊が寄ってくるタイプゆえ・・やめとこ。

 猛暑の中の若干の救いは夕焼けが映える事

雲と夕焼けのコラボ

赤く染まったぽっかり雲を狙って構えるのだがどうにも電線が邪魔でいろいろ移動するうちにぽっかり雲もどこえやら・・失敗の巻

・・・そういえば電線の地中埋設の話はどうなった?

5月で終わりと思った山吹が一凛・・・アジ~

と聞こえた。

この花は今週も凛として綺麗だ。・・

名前を調べたら、どうやらノリウツギだ。

アジサイの仲間らしい。

夏まで咲く貴重な花・・納得!。夏の希望の花だ。

 

 

 今週は来社講習は無し早速比嘉ブログ講座を開始したい。

 

 前回は、道路で区分される屈曲隣地を同一区間設定で敷地区分法による天空率解析手法を解説しました。

その際に適合建築物の端部の切断法に関して基準線端部から垂直切断する例

と端部を切断しない例

2とおりの区分法を例示しました。今回これらの2種の考え方の根拠となる資料とともに屈曲隣地の解析法を深堀りします。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1)敷地区分方式の問題点と「一隣地方式」

 

 隣地天空率の解析法は、JCBA で例示された「敷地区分方式」と「一隣地方式」があります。

 単線の隣地境界線で例示し区分する敷地区分方式を屈曲した隣地境界線に適用する際の問題点を確認し対処法を解説します。


 敷地境界点間で区分する「敷地区分方式」の問題点の確認

境界点間が狭い場合の隣地高さ制限適合建築物の不合理

凹型隣地境界線の基準線設定位置の不合理

など不合理な結果となり天空率が機能しなくなる事案が存在します。

 

下図の事例で検証します。

 

「敷地区分方式」の区分法の不合理を確認

 

問題の隣地境界線では左端が隣り合う隣地境界線と入隅になる事より入隅角の半分の位置、右端は、出隅部では垂直切断し隣地高さ制限適合建築物が設定されます。

*この区分法は、明確な記述が無い為、天空率施行以来の慣習的な区分法です。

 この区分法では、区域幅が狭く敷地内空地が隣地適合建築物に参入されないケースです。

  このように空地が無視される場合、天空率が機能しません。

隣地高さ制限(隣地斜線)同様に建物高さを低く設定するほか解決法はありません。

 

 敷地内空地を天空率計算に参入する意義は国土交通省住宅建築指導課等監修「平成14年改正建築基準法当の解説」でQA形式で回答されています。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 改正建築基準法の解説から(魚眼レンズに投影する意味)Q天空率で通風や開放性を評価したといえるのですか。P124A1 

 

**建築物周囲の空地が増加すれば、風量は増大することが知られています。この場合、一 般にH /D比の増減による延長方向の通風 の増減の度合 いよりもむしろ建築物周囲の空地の増減による横断方向の通風の 増減の度合 いの方が大きく、建築物の 外壁が風を直接遮る効果は、 H/D比の増大によ る風を通しにくくす る効果よりも、顕著に風量の増減に影響します。
同一 の天空率の下では、建築物の高層化に伴い、建築物周囲の空地は増加することとなるため、「通風については 結果として「安全」側となると考えられます。
2 開放性の指標 である「開放度」は視野の範囲における建築物の体積を比較する ものです。一般的な規制による天空率よりも計画建築物の天空率が小さくなれば、体積についても同様の大小関係が成立すること、空地を確保しつつ建築物が高層化された場合には、上方は視野の範囲(仰角45度)外と なる一 方 で、側方は視野の範囲 (水平角120度)に入る割合が大きいこと等を勘案すると、天空率による比較により、「開放度」のチェックも同時になしえると考えられます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「空地を確保しつつ建築物が高層化された場合、天空率比較により「開放度」のチェックも同時になしえると考えられます。」

と記述されている事より空地を魚眼レンズに投影した比較でなければ天空率比較が意図するチェック法にならないと記述されています。


問題基準線(算定位置:魚眼レンズ)が敷地内に配置される不合理。


 基準線は隣地境界線から外側の線上の政令で定める位置に算定位置を設定しなければなりません。(基準法第56 条第7 項第二号)

 

基準法56 条第7 項第二号
第1項第2号、・・
隣地境界線からの水平距離が、第1項第2号イ又はニに定める数値が1.25 とされている建築物にあつては 16 メー トル、第1項第2号イからニまでに定める数値が2.5 とされている建築物にあつては 12.4 メートルだけ外側の線上の政令で定める位置

 

 基準線は敷地境界線から16mもしくは12.4m外側の位置に設定する事が記述されています。

 

では隣地の通風採光の環境(天空率)を計画建築物が存在する当該敷地内に設定する不合理です。敷地境界線から外側ではありません。この事は隣地の環境を自分の敷地内に魚眼レンズを配置して測定する不合理です。

 この場合、基準法に適合しない不合理でもあり審査サイドでは明確にその可否判断をする必要があると思われます。

 

「一隣地方式」による屈曲隣地の解決法

 

 天空率施行直後は「敷地区分方式」から始まりましたが天空率事案増加に伴い「敷地区分方式」の問題点、特に等の不合理な解析法が散見されるようになりました。

 法第56条第7項に適合しない不合理は明らかです。基準線を法文に適合する位置に設定する対策が必要です。

 

 このような問題点を解決する為にJCBAでは、「天空率運用の検討」を市街地部会報告書にhttp://www.jcba-.jp/news/tenkuritu20100420.pdf で解決法を提示しております。

 

基準線の作図法としては

「【取扱いに係る考え方】 隣地斜線に対して天空率を適用する場合の算定点を設定する基準線は、 56条7項第2号 隣地境界線からの水平距離が、~だけ外側の線上の政令で定める位置 に則して設定される。 「屈曲した隣地境界線を一の隣地境界線」としてこの法文を適用すると、円弧部分も基準線と 考えるべきである。(日影規制の測定線と同様の考え方)

(日影による中高層の建築物の高さの制限)

第五十六条の二

・・・・・

敷地境界線からの水平距離が五メートルを超える範囲において

・・・・・

とあり第56条7項(天空率基準線の設定法)と第五十六条の二(日影規制ラインの設定法)が同じ書きぶりである事から

天空率の基準線の設定は、日影規制の測定線同様に解釈する事で設定位置が確定します。

「一隣地方式」で基準線を設定すると

 

 敷地隅部から日影規制同様に隣地境界線から用途区分による水平距離幅で円弧状に設定されます。

 全ての隣地境界線から外側に規定の位置に基準線および算定位置が設定されます。

 

 凹部に対して日影規制線は、敷地の外側に作図され当該敷地内に基準線が設定されることはありません。

 

 また隣地高さ制限適合建築物も従来の隣地斜線のチェック法と同様に寄棟状に設定されます。隣地高さ制限適合建築物は隣地高さ制限同様に作成する事が記述されています。

 法第56条第7項の政令で定める基準で同項第二号に掲げる規定を適用しない建築物に係るものは、次のとおりとする。
一 当該建築物(法第56条第7項第二号に掲げる規定による高さの制限(以下この章において「隣地高さ制限」という。)が適用される地域、地区又は区域内の部分に限る。)の第135条の10に定める位置を想定半球の中心として算定する天空率が、当該建築物と同一の敷地内の同一の地盤面において
隣地高さ制限に適合するものとして想定する建築物(隣地高さ制限が適用される地域、地区又は区域内の部分に限り、階段室等及び棟飾等を除く。以下この章において「隣地高さ制限適合建築物」という。)の当該位置を想定半球の中心として算定する天空率以上であること。

 

 JCBA方式による基準線の作図法は

参考資料

天空率運用の検討 から

 

 

2)入隅隣地天空率解析法

屈曲隣地境界線の場合、「一隣地方式」で天空率解析を行う事で敷地区分方式による不合理を解消する事ができました。

 

 次に屈曲しさらに入隅状になる敷地の事例の問題点と解決法を検証します。

 

 

 したがってこの例のような入隅状の屈曲隣地境界線においても「一隣地」方式で行う事で合理的に解析する事が可能です。

 

「一隣地方式」で解析すると

 規定の位置に基準線が設定され隣地高さ制限内の内に隣地高さ制限適合建築物が設定され適法に処理されます。

基本的に「一隣地方式」で解析する事に問題ありません。

 

 ところが「建築確認の為の基準総則・集団規定の適用事例」で解説される隣地高さ制限適合建築部を解説する項に

 

(2)特殊な敷地等における適合建築物(隣地斜線)で以下の様に解説されています。

 入隅隣地境界線を特殊な敷地として解説しています。

この解説は「敷地区分方式」における入隅部の区分法です。

 
 審査サイドでは、「建築確認の為の基準総則・集団規定の適用事例」に記述されている事もあり入隅隣地の場合、この挿絵にように区分する事を指定する場合があります。

 

 入隅を構成する隣地境界線がそれぞれ単一線であれば問題ありません。

「敷地区分方式」の場合、もとより隣地境界点間で区分する事が原則です。その原則では屈曲隣地天空率は前述した不合理で解析不可となります。

*B右端出隅部の区分法は、後述します。 

 TP-PLANNERでは屈曲隣地境界線においても「同一区間設定」により単一の隣地境界線と同様に区分する事を可能にしました。

 

 屈曲入隅部をA,Bの2の境界線とする方式です。

 

 同一区間の隣地高さ制限適合建築物を寄棟状に想定する手法を確立しさらに基準線の自動発生を可能にしました。

 

3)面する方向事に区域区分する公的資料

 

 屈曲した隣地境界線を面する方向ごとにグループ化(同一区間)に設定する手法は以下の公的資料に基づき作成されます。

 

「平成14 年建築基準法改正の解説」P79 による

 

 「平成14年建築基準法改正の解説」(以下技術的助言) では隣地天空率算定位置に関する解説図が掲載されています。

 「面する部分」の概念が図示されています。

(屈曲している場合は任意の同一方向に面する区間)


 JCBAでは「面する部分」を「同一区間」とする区分方式を「天空率運用の検討」で解説しています。

*天空率施行直後面する方向を示すこの挿絵が隣地境界点で作図された為に隣地境界点間で区分するという解釈がされたのが「敷地区分方式」の始まりです。

*道路天空率の場合も「屈曲道路」においては天空率施行直後やはり道路境界点間で区分された区分法から始まりましたが「建築確認の為の基準総則・集団規定の適用事例」で屈曲道路の区分法が明記されました。

 道路の場合、道路法も考慮され道路中心線の角度で「一の道路」の可否が明確になりました。境界点間で区分する考えはJCBA方式では存在しません。

屈曲隣地境界線の区分法は「天空率運用の検討」で区分法が記述されました。

 

 「天空率運用の検討」 http://www.jcba-.jp/news/tenkuritu20100420.pdf は、屈曲隣地境界線の面する方向を考慮した隣地高さ制限適合建築物および算定線の作成法が記述されています。

 

屈曲した隣地境界線をAB,BC,CD,DE間に区分し面する方向事に解析する手法です。

*右側には「平成14年建築基準法改正の解説」(以下技術的助言)の挿絵が添付されています

 国交省が記述した面する方向の考えを適用した区分法です。

 

 

ポイントは

①面する方向事に片ながれ状に適合建築物を作成する事で面する方向の隣地高さ制限に適合する事。

 

②基準線は隣地境界線から外側に規定の位置に算定位置を設定しなければならない。

 

以下適合建築物の面する方向を直線化しない参考例を提示すると

屈曲している場合は、寄棟状で面する方向に片流れ状に隣地高さ制限適合建築物を作成します。

 

③区域の端部を基準線で垂直切断しない事

垂直切断した場合

 

上図のように屈曲した隣地境界線の端部境界線の角度で隣地高さ制限適合建築物の範囲が不合理に区分される事が多く建物外周部の空地を天空率計算に正しく評価されない為、適切ではありません。

 

前述したB右端の区域は

垂直切断しない考えで区分すると

垂直切断するのは、天空率施行時の窓通過方式(東京方式試案です。試案は東京都公認の方式ではありません。)の影響で境界点間を通過する範囲で区分する考え方から出隅端部が垂直切断されます。

 

 本題に戻り屈曲隣地境界の天空率の解析法を解説します。

 

4)屈曲隣地の同一区間設定による「一隣地」的設定法の採用

*「一隣地方式」は現在広く利用されております。

基本的な考え方も

天空率運用の検討 http://www.jcba-.jp/news/tenkuritu20100420.pdf

に記述されております。

その中で道路を挟む2の隣地の例が掲載されております。

この挿絵が意図する事は道路以外の隣地境界線に面する方向事に区分する事が可能である事です。

 

上側の屈曲隣地を「一の隣地」と考え下側の場合、単線ゆえ「敷地区分」あるいは「一隣地」いずれでも同様になります。

 一隣地の場合、同一区間の考え方を適用すると「敷地区分方式」と同様に考え区分する事が可能になります。

 

 屈曲した隣地境界線を任意の区間に面する方向ごとに区分する手法も前述しましたように

 

記載されております。

 

4)屈曲した隣地境界線の解析法結論

 

面する方向事に屈曲した隣地境界線を同一区間としグループ化する事で「敷地区分方式」の考え方を採用する事が可能になります。

屈曲した入隅隣地境界線の場合でも「基準総則・集団規定の適用事例」に適合した区分法を採用する事も可能になります。

「建物外周の空地を考慮する設定法」を採用するか「出隅端部垂直切断」を採用するかの判断は審査サイドにより異なります。

結果も異なりますので事前に審査サイドと協議する事が必要です。

 上記の例では「出隅部端部垂直切断」がNGになっております。ただしNGだから安全側と判断するのでは無く、いずれが適法か否かを確認する事が重要です。

OK,NG判定が上記と逆になる例を下記で解説します。

 

「建物外周の空地を考慮する設定法」がNGで「出隅端部垂直切断」がクリアする例

敷地幅が広い事例では出隅端を垂直切断する手法がクリアし

「建物外周の空地を考慮する設定法」NGになる逆の結果です。

 

 出隅端部垂直切断を行う事により敷地東側に設定された高層の建築物が天空率計算に参入されませんが「建物外周の空地を考慮する設定法」の場合、その高層建築物が通風採光を低下させる事になり天空率がNGになります。

 慣習的に出隅端部を垂直切断する手法はこのように危険側の設定法になる事も多くみられます。

 

5)結論

隣地天空率の設定法に関しては、出隅端部を垂直切断するか否かで結果が異なります。

 

 TP-PLANNERではいずれの手法も設計者が意図する形式を設定する事が可能です。

審査サイドと事前の打ち合わせ資料をタイムリーに提示しその可否判断が効率的に行えるよう事前協議の段階からご活用ください。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今回も長くなった本日はここまで!

次回までお元気で!

 

 

比嘉ブログ

 

 


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