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関西地区事例検証 4 後退距離で変わる天空率の結果

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4月14日土曜日

ひんやりとした朝。夕方から夜にかけて西から雨になるもよう。

今週は水曜日にーBIMベンダー6社共催セミナーの為大阪まで出かけてきた。

 まずはその報告から

200人ほどの方が参加されBIMとくに連動してBIMでなにが構築できるのか興味深く聴いていただいた。

 比嘉はBSJ鹿島氏の解説に続き本題のトップバッターで語らせていただいた。内容は今回の4回シリーズの内容をムービーを交えた実践解説で土地情報から企画BIMが作成される手順を解説した。

 

 このシリーズも沖縄、札幌、福岡に次いで4回目だが土地情報はすべて地元の条件に即した事案を用意しての解説。再来週の名古屋開催に向けて名古屋版の解説を作成しなければならない。企画BIMの宿命・・・責任だ頑張ろう。

 

 

 ハンガリーでご一緒した鈴木さん(BIM LABO:アド設計)とも久々の再会、ソフトウエアセンターの阿部さんも腰痛も癒えて絶好調。

 右奥に写りたがりの笠松氏がちらり。

さて終了後、打ち上げもそこそこに翌日は桜の調査の為京都方面に出かけてきた。

 

 

まだ早い藤棚の奥には葉桜。桜に合わせてセミナーが行われたわけではないゆえ・・・やむなし。

 ところが早朝、御所の中を散策したら桜・・あるある咲いてまっせ!

八重桜は今が満開。大阪造幣局桜の通りぬけも今週らしく八重は今が旬かな.。しかしさずが御所種類も豊富で

 

 この白に若干のピンクが混じった桜もきれいだ。観光客もまばらで早朝の散策はお勧めだ。

 

 

 

 さて比嘉ブログ講座を始めよう。

大阪某所の事案の3回目。今回もセミナー中も区域区分の法文解釈は比嘉ブログを参考にして下さいとアナウンスしただけにちょっと難解で長くなる。

 

図1

 前回はこの第1回算出された逆日影、逆斜線空間にプランニングを行い。日影チェック、天空率計算がおさまっている事を確認した。

 この事例では3方向道路ゆえ令132条が適用され、さらにその最大幅員が北側道路で道路幅員8.5mに加えて水面等5mで13.5m。これが12mを超える

その結果東側11.8m道路に面した区域には3区域区分される事になった。

図2

①北側13.5m道路が適用される1.25勾配の区域。

図3

②北側13.5m道路が適用される1.5勾配の区域。

 

図4

 

③道路中心10m内の11.8m道路が適用される区域。

 

そして南側9m道路に面した区域は、2区域となる。

 

図5

 

今回はこの区域の区分の根拠をまず解説した後

図6

 

後退距離に最大値4.75m を適用した際には、NGになるがそれより狭い3.9mを適用するとクリアーする事の解説を行いたい。

 

 

その前にこの区域の建物形状をアイソメ図で確認すると

図7

円弧で示した部分の建築物が玄関ポーチで後退距離の対象にならない。

(前面道路との関係についての建築物の各部分の高さの制限に係る建築物の後退距離の算定の特例)
第一三〇条の一二 法第五十六条第二項及び第四項の政令で定める建築物の部分は、次に掲げるものとする。
一 物置その他これに類する用途に供する建築物の部分で次に掲げる要件に該当するもの
イ 軒の高さが二.三メートル以下で、かつ、床面積の合計が五平方メートル以内であること。
ロ 当該部分の水平投影の前面道路に面する長さを敷地の前面道路に接する部分の水平投影の長さで除した数値が五分の一以下であること。
ハ 当該部分から前面道路の境界線までの水平距離のうち最小のものが一メートル以上であること。
二 ポーチその他これに類する建築物の部分で、前号ロ及びハに掲げる要件に該当し、かつ、高さが五メートル以下であるもの
三 道路に沿つて設けられる高さが二メートル以下の門又は塀(高さが一.二メートルを超えるものにあつては、当該一.二メートルを超える部分が網状その他これに類する形状であるものに限る。)
四 隣地境界線に沿つて設けられる門又は塀
五 歩廊、渡り廊下その他これらに類する建築物の部分で、特定行政庁がその地方の気候若しくは風土の特殊性又は土地の状況を考慮して規則で定めたもの
六 前各号に掲げるもののほか、建築物の部分で高さが一.二メートル以下のもの

 

玄関ポーチゆえ後退距離の対象とならないので後退距離は

図8

4.25mとなる。4.25mで天空率比較してみると

図9

 

これが先週お伝えした後退距離を最大で採用するとNGになる区域。NGになった区域の区分法を検証してみると

 

図10

 

この区域は広い道路13.5mの2倍を超えた区域にあり道路中心10mの区域でその他の道路で広い11.8mが適用される。

 ただし後退距離4.25mが適用されると適用距離20mは、道路中心10mの区域内までしかも後退距離内。後退距離には高さ制限勾配が適用されない。アイソメ図で確認すると

 

図11

 近接点P12で確認すると計画建築物が宙に浮いた状態で適合建築物は地盤厚み分の投影となるが48mmで微小。

 さらに道路幅員9mで広い為、48mmの地盤分は天空率には極めて微小に表現される。適合建築物小数点以下は、安全側桁の切り上げ処理され100%となる。

 一方計画建築物はポーチが宙に浮いている分が投影され99.668%となるが適合建築物天空率100%には及ばない。その為NG。

 

 天空図を重ねて表示すると

図12

 

したがってNGとなる。

 

2項の区域を超えた3項の区域は

図13

 

問題なくクリアーしている様だ。アイソメ図で確認すると

図14

 

 

高さ制限NG以上に西側の空地が広いように思える、天空図重ね図で確認しよう

図15

 

以外とそれ程余裕は、無い事がわかる。

さてこの様に後退距離内で適用距離に達した場合に当然ながらNGとなる。なにしろ適合建築物の天空率は100%だからだ。

 

 対策としては適合建築物の天空率の低下を考える事だ。その為の方策は約2通り

①高さ制限適合建築物も同様に1.2m以下の塀を設定する方法。

②適合建築物が存在すべく後退距離を減じて設定する方法。

 

①まずは1.2mの塀を設定してみよう。

図16

TP-PLANNERでは適合建築物における後退距離対象外建築物の設定を「天空率データ」「斜線適合建築物」で塀等を直接入力し

 

図17

 

さらに計算時に「計算対象建物」ダイアログで「斜線適合建築物」をチェックする方法もしくはその下の「1.2高さ建物」をチェックすると自動で1.2m高の適合建築物が想定される。

 その結果

図18

 

塀の長さが十分でなかったようで2ポイントがわずかにNGとなった。今度は自動処理だと

図19

 

1.2m高の版が適合建築物に設定される。

天空図の重ね表示をすると

図20

計画建築物の高さ制限を超えた面積0に対して適合建築物が1.2m高分1.414となりクリアする。

次に

②適合建築物が存在すべく後退距離を減じて設定する方法。

 

後退距離を0mに設定すると

図21

令132条2項の区域で道路幅員11.8mが適用される区域。11.8m道路境界線から2倍(11.8×2=23.6m)までが9m道路に面しているが11.8mが適用される。この例では11.8m側への延長は適用距離で確定している。後退距離0mでクリアーした。

図22

 

 

 

ところが後退距離0mでは3項の区域9m道路に面した区域は

図23

アイソメ図で確認するとわかりよいが適合建築物の高さが低くなり天空率が上昇しその分NGとなってしまう。

図24

後退距離を0mにすると2項、3項の道路中心10mを超えた部分に最大幅員が適用される。さらにこの場合最大幅員13.5mは1.25倍の位置から1.5勾配が適用される。

 

図25

 

この場合1.5勾配の区域は東側11.8mに適用される13.5mに後退距離2mを加算し1.25倍すると15.5×1.25=19.375 の位置

図26

 

計画建築物は、1.5勾配適合建築物内にあり問題なし。

 

ところが1.5勾配の手前には1.25の勾配の区域があるはずだ。

 

図27

道路中心10mを超えた東側、南側から1.25勾配の区域は微小の区域となり空地が存在しない事よりNGとなる。後退距離0mでは不可である事がわかる。

 

 そこで後退距離を3.9mとした前回クリアーした後退距離を適用したという結論。

図28

後退距離最大4.75m以内で適用距離が後退部分を超えて高さが発生する後退距離で西側3項の区域もクリアーする後退距離を設定する。

適合建築物を正しい解釈で自動作成できないと厳しい。

最後にアイソメ図で確認すると

東側2項の区域は

図29

 

西側3項の区域は

図30

 

これですべての区域がクリアーした事になる。

後退距離で天空率の結果が大きく異なる。ぜひご注意願いたい。

 

 さて本日も長くなった・・・今宵はここまで。次回までお元気で!

 

 

 

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