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令132条2項「それぞれその前面道路の幅員の二倍」を解釈

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 4月21日土曜日

いよいよ本格的な夏到来の様だ。

今年の冬の寒さから一変・・夏は今年も暑いらしい。

年々記録破りの寒さ、暑さの繰り返しになってきた。

いよいよ温暖化が加速してきたか?

ヤマツツジもはや暑そうにしている。

これはアヤメ。

  さて本日は朝から日大不動産鑑定士実務修習の天空率の補講を行っていた。これからラッパ仲間との会早く書き上げなきゃ・・・。

 今週の報告から

まずは朝から先ほどまで講座を受けていただいた日大不動産鑑定士実務修習の皆さんから

 画地割講座に続いて天空率理論さらに土地情報から建物想定面積表までお疲れ様でした。皆打たれ強い。終了後のこの余裕の表情は、なんだ!

 月曜日、火曜日の新人研修+α講座

新人の方2名にリハビリ講習の方をまじえて行われた。 

 初日は例により日影規制の考え方から逆日影、屋根伏せ図により申請図の作成、NG建物の「3D日影チャート」によるクリアー法を解説した後建物プランから面積表まで

 2日めは発散規制ライン作成法など初日の復習後、斜線規制の理論と問題点の指摘そして天空率を学習。さらに3方向道路の困難な事例の実践解説。仕上げはプランから面積表そして構造連携で躯体発生後建具を配置したBIMモデルの完成まで

 完成したBIMモデルを背景に終了の記念撮影。あとは実践で活躍していただこう!頑張りましょう。

 

 

 さて今週の比嘉ブログのテーマは令132条2項「それぞれその前面道路の幅員の二倍」の意図する事を検証してみたい。

 例題は商業地域で3方向道路のこの事例

 

図1

 

 商業地域400%ゆえ土地を有効活用しなければならない場所の事案。

 形態制限は高さ制限のみ。令132条による天空率区域区分の解釈で建物の規模が本来の可能空間より制限されてしまう事のないようにしたい。

 

 解説の前に令132条の目的を確認したい。過去の比嘉ブログで詳細な解説を続けてきたのでそれらの挿絵を利用する。

 

まず道路高さ制限の原則は、基準法第56条1項一号から

一 別表第三(い)欄及び(ろ)欄に掲げる地域、地区又は区域及び容積率の限度の区分に応じ、前面道路の反対側の境界線からの水平距離が同表(は)欄に掲げる距離以下の範囲内においては、当該部分から前面道路の反対側の境界線までの水平距離に、同表(に)欄に掲げる数値を乗じて得たもの
 

とある事より、道路の反対側の境界線から適用距離間で別表第3による勾配で高さが制限される。10m幅の道路の場合

図2

住居系の場合、道路に面した位置で10×1.25=12.5mとなる。

 

4m道路に面した場合

図3

 

4m道路際では4×1.25=5mと低く抑えられる。これが道路高さ制限の原則。

 

問題は2方向の道路の場合で北側10m東側4m道路の場合
図4

 

第1項の記述のみではが10m道路からの高さ制限と4m道路からの高さ制限が重なる事になる。その結果

図4

その低い面で制限されるとすると

図5

 法56条第1項の規定のみで複数道路に高さ制限を適用するとこの様に道幅の狭い道路の高さ制限を受け建物が低層に抑えられてしまう。 

 その結果土地の有効活用ならずとなる。土地が有効活用されないと社会インフラに少なからず損失を与えてしまう。

したがってこの様な記述のままで良いわけはなく法第56条第6項で

 

6 建築物の敷地が二以上の道路に接し、又は公園、広場、川若しくは海その他これらに類するものに接する場合、建築物の敷地とこれに接する道路若しくは隣地との高低の差が著しい場合その他特別の事情がある場合における前各項の規定の適用の緩和に関する措置は、政令で定める。

「建築物の敷地が二以上の道路に接し・・政令で定める。」とする。この政令が第132条となる。

令132条の目的は

原則どうりの高さ制限の適用では図5の様に不合理な結果となってしまう為に

 

図6

 それぞれの道路に面した敷地の区域を令132条は3項にわたる条文でその区域を区分しその区分法に基づき確定した道路幅員を適用する。

従って4m道路に面した区域でも(青枠)4m道路の反対側を起点とした高さ制限勾配を適用するわけではない。

 

 事例に戻り、さっそく令132条の記述とともに区分されるそれぞの道路に面した区分法を確認してみよう。

図7

 

 この場合最大幅員は東側12.8m道路となる。(この事例が商業地域ゆえ関係ないが住居系の場合は前回解説したように12m以上の前面道路が接道する場合令132条以外に

法56条第3項

3 第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域又は準住居地域内における前面道路の幅員が十二メートル以上である建築物に対する別表第三の規定の適用については、同表(に)欄中「一.二五」とあるのは、「一.二五(前面道路の反対側の境界線からの水平距離が前面道路の幅員に一.二五を乗じて得たもの以上の区域内においては、一.五)」とする

 

この条文でも勾配区分しなければならない。幸いにも今回は商業地域だ令132条のみの検証でよい。)

 

改めて令132条は

 

(二以上の前面道路がある場合)

第一三二条 建築物の前面道路が二以上ある場合においては、幅員の最大な前面道路の境界線からの水平距離がその前面道路の幅員の二倍以内で、かつ、三十五メートル以内の区域及びその他の前面道路の中心線からの水平距離が十メートルをこえる区域については、すべての前面道路が幅員の最大な前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。

 前項の区域外の区域のうち、二以上の前面道路の境界線からの水平距離がそれぞれその前面道路の幅員の二倍(幅員が四メートル未満の前面道路にあつては、十メートルからその幅員の二分の一を減じた数値)以内で、かつ、三十五メートル以内の区域については、これらの前面道路のみを前面道路とし、これらの前面道路のうち、幅員の小さい前面道路は、幅員の大きい前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。

 前二項の区域外の区域については、その接する前面道路のみを前面道路とする。

 

まずは、一項の最大幅員の区域から

図8

 

 敷地内の緑の面状の区域が最大幅員12.8mの高さ制限が適用される区域。この区域は最大幅員ゆえその法56条の1項に基づき高さ制限を適用するだけだ。

 

最大幅員は「最大な前面道路の境界線からの水平距離がその前面道路の幅員の二倍以内で*その他の前面道路の中心線からの水平距離が十メートルをこえる区域については、すべての前面道路が幅員の最大な前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。

 

 その他の前面道路全てに最大幅員12.8mの道路幅員が適用される。

ではそのとなり南側7.2m側には

図9

 

「最大な前面道路の境界線」は12.8m道路に接する赤破線で囲われた境界線。その境界線から2倍 12.8m×2=25.6mまでが7.2m道路に面した区域でも最大幅員12.8mが適用される。

 この事の意味する事は、広い道路12.8mの道路上空は道路ゆえ建築物がなく通風採光が極めて良好であると考えられる。

 その効果を2倍まであるとするのがこの考え方。

 かつ35m以内の意図する事は35m以上の区域まで広い道路による通風採光の効果はないとする。

 

 では西側7.4mに面する区域は

図10

 

 広い道路の通風採光の効果は隣り合う道路に面した区域にのみ影響があるわけではない。「最大な前面道路の境界線」から水平距離で適用されるわけで敷地内も最大幅員の2倍の範囲内となる。

最大幅員から2倍をこえさらにその他の前面道路中心から10mを超えた区域に最大幅員が西側7.4m道路に面した最大幅員12.8mが適用距離20mまで最大幅員勾配が適用される。

 

 ただしこの場合、最大幅員の2倍が25.6mの位置までゆえ西側の道路中心10mの区域は図11で示すように敷地幅から2A分25.6mをさし引いた3.58m幅となりそれを超えた部分に最大幅員が適用される。

 

図10の2

それぞれの道路の全てに最大幅員12.8m道路があるとして高さ制限が適用される。

 

 余談だが水平距離ゆえ最大幅員が行き止まり道路の場合は円弧状に2Aが適用される。

 結果的に全ての前面道路に最大幅員12.8mの道路幅員が適用されるのが上記3区域。(後退距離が十分広い場合、最大幅員が十分広く適用距離が道路中心10m内までの場合、最大幅員の区域は存在しない。)

 

 敷地の部分で道路幅員が指定されてないのは、西側7.4m道路の最大幅員から2倍を超えた区域と同様に南側の西端のわずかな区域。

 

 この区域は令132条2項が適用される。

まずは西側7.4m道路側から

図11

 アイソメ図では

図11-2 7.4m道路が適用される。

まずは条文の確認から

 前項の区域外の区域のうち、二以上の前面道路の境界線からの水平距離がそれぞれその前面道路の幅員の二倍(幅員が四メートル未満の前面道路にあつては、十メートルからその幅員の二分の一を減じた数値)以内で、かつ、三十五メートル以内の区域については、これらの前面道路のみを前面道路とし、これらの前面道路のうち、幅員の小さい前面道路は、幅員の大きい前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。

 

 

 前項の区域外の区域とは、最大幅員の2倍を超えた区域の事。その部分には、面する道路が7.4mと7.2mも南側で面しており「二以上の前面道路

ゆえ132条2項の対象となる。(2方向道路の場合は2項は存在しない。)

 さらに最大幅員から2倍を超えた区域は西側7.4m道路中心から10mの区域まで延長される為、本来の道路中心幅10mまでは無い。

 

 その狭い区域でも前面道路の大小が比較される。

西側7.4mと南側7.2mの広さが比較され広い7.4m道路が適用される。

 

 その際に 「それぞれその前面道路の幅員の二倍 」とは、それぞれの前面道路7.4m道路側であれば7.2m側に2倍まで延長される。ただしこの例では最大幅員12.8mの2倍を超えられない為、図11の25.6mmでとなる。

 

 さらにその区域は、これらの前面道路のみを前面道路とし、これらの前面道路のうち、幅員の小さい前面道路は、幅員の大きい前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。

 

 とあり南側7.2mより広い7.4mゆえ7.4m道路に面した部分は全て7.4m道路が適用される。

 

 

 そして南側7.2m道路側に面した道路幅員を検証してみると

図12

アイソメ図では

図12

 7.2m側に面している最大幅員12.8mの2倍25.6mを超えた区域だが

・・・それぞれその前面道路の幅員の二倍(幅員が四メートル未満の前面道路にあつては、十メートルからその幅員の二分の一を減じた数値)以内で、かつ、三十五メートル以内の区域については、これらの前面道路のみを前面道路とし、これらの前面道路のうち、幅員の小さい前面道路は、幅員の大きい前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。

 それぞれの前面道路の2倍とはそれぞれ面した方向の奥行方向を意味する。

 それぞれ奥行を2倍まで延長するが比較し幅員の小さい前面道路7.2mは幅員の大きい7.4mと同じ幅員を有するとみなすとありこの区域は7.4mの道路幅員が適用される。

 この際7.2mの2倍14.4mより7.4m幅による適用距離20mが内側になる為、7.4m道路がまわりこんだ適用距離20mで打ち切りとなり区分される。

 

 これで各道路に面した区域は全て埋められた為、この場合、令132条の3項は存在しない事になる。

 

 さて問題は令132条の2項でなぜ 「それぞれその前面道路の幅員の二倍」と記述したのか・・・それぞれその2倍の記述の意図する事は

 

 最大幅員以外の道路中心10mに面した道路が2以上ある場合は、まずその条文どおりにそれぞれの2倍で区分する。ただし面する左右方向ではなく奥行の事。そうして区分した後、道路幅員を比較し幅員が狭い道路は幅員が広い道路を適用する。

 左右方向を区分しないのは道路中心10mの区域に面した道路幅員幅が同一の場合には左右方向は区分しない事でもわかる。ただしそれぞれの奥行はその2倍までとする。この様に道路中心10m内で同一幅員の場合でも同様に適用できる事を意図する。 

 下図に3方向道路で最大が6m他が5mの道路中心10mの区域の同一幅員の区分法を示す。それぞれのその2倍(それぞれの5m×2倍10mの方向)が奥行方向だという事が理解できる。

 

図13

 それぞれの2倍は、けして西側に南側7.2mの2倍を超えた部分を区分する事ではない。その部分の道路幅員はすでに7.4m幅が適用済みだ。同じ道路に面した同じ勾配分は区分されない。

 

 JCBAの天空率分科会でもこのような間違った区分を安全側と称して細かく区分する事に対して、警鐘してはどうかと提案した事があった。・・が、行政サイドから「そもそも令132条は緩和規定ゆえ狭い道路が回りこむという事は常識的にあり得ないので常識として判断してもらいましょう」という結論になった。

 今思えば、やはり明確に記述すべきであったと思う。

      

さて本日も長くなった。来週は名古屋でのセミナーがあります。

座席も若干あるようですのでお申込み下さい。名古屋でお会いしましょう。

 では次回までお元気で!

 

 

比嘉ブログ

 

 


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