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隣地天空率再考 10 近似方式

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10月27日土曜日東京は、冷たい雨の日。

この頃になると今夏のすざまじい暑さも忘れ、早くも寒さへの警戒が始まる。警戒しすぎて多少の喉の変調も、風邪かと気になっている。

 10月25日は満月の夜(満月の瞬間は、前日の深夜1時45分らしい)

で月が美しい・・・思わずパチリと撮ってはみたもののボケボケ。

月はつくづく地球から眺めるのが良い。

 

 昨日金曜日は、Archi Futureの講演を聴いてきた。

「建物データは無限の資源になる」

スターツさんが取り組むBIMを紹介いただいた。中でも注目したのが社内ストック情報とAIを絡めた土地評価システムArchisim。

1週間ほどかかるプロセスを約15分でできる…

「結果がでるまでに建築士は、いらない」・・・刺激的な語りには衝撃を受けた 。が・・・最終的にはその結果の保証をどのようにするのか?など課題はあるようだ。

 解析ソフトの精度もそうだが、比嘉ブログで解説するように日影、天空率など形態制限の審査の現場では、今だ法解釈で判断がぶれる事も多い。その判断いかんでは結果も大きく異なる。

 

講演後の会場は、大勢の来場者で歩行もままならない。

UsFactoryのブース。

日積サーベイ社では、生島氏のにこやかなヘリオスの解説がわかり良い。

 

 いつも元気なトモデータサービスのお二人とばったり。

 

さて、本日は早朝から予定ありだ。

天空率講座をはじめたい。

隣地天空率再考と題して、隣地天空率高さ制限適合建築物の想定法を比較検証している。今回は10回目の講座

 

 事例は

図1

第1種住居地域のこの事例。南側、東側に凹型隣地境界線を有する。A側に高層棟、B側に低層棟の事例。

 

 前回解説した「一隣地方式」はその前の「敷地区分方式」と比較し本来の天空率利用目的と法的解釈に適合する事がわかった。

 

 解析時の区域を再度比較すると

「敷地区分方式」が

図2

 

隣地境界点間の数36区域で区分される事に対して「一の隣地方式」が道路を除く連続した隣地境界線は1ゆえ区域は1となる。

図3

 

「敷地区分方式」においては

図4

 

 

①のように敷地境界点間で区分された敷地の極めて狭い区域で、しかも計画建築物も無い区域で比較される不合理が、約5区域。

 

②のように当該敷地内の計画建築部の直下に算定位置があるという不合理。天空率は法的に定まった位置で当該隣地境界線から外側の隣地境界の通風採光を観測する事が目的であり当該敷地内の計画建築物の直下の比較をする事が目的ではない。

 

 ③では隣地境界線から外側の環境で満遍なく測定されているかというと、本例の東側の湾曲した隣地境界線の場合、その中央部に算定位置が集中してしまう。

 

 これらの事からこの事例つまり境界点間が多い敷地の場合、「敷地区分方式」は適さない事がわかる。

 

*もっともその敷地区分方式の想定手法そのものを明確公的に示した資料はなく「・・試案」あるいは慣習的示した資料しかない。

それを審査機関等で「敷地区分方式で行うように」との指示その事に問題があると思われる。・・・どうだろう?

 

 一方 「一隣地方式」の想定法はJCBAのホームページ上に記載されている。

 

 

 今回は「近似方式」による隣地高さ制限の区域区分を検証していきたい。

図5

 

今回は、上図のように北側、東側、南側に面する境界線近似する。この場合、本来、通達に基づき、

図6

一の隣地方式が正とする事にたいして、面する方向毎に境界線をまとめる意味で近似しているとする。上図がAB,BC、CD、DE間で近似している事と同様にまとめる。ただし隣地境界線を直線状にまとめる事は行わない。コンピュータ処理で寄棟状に作成する事はそれほど負担にならず、直線化のルールが明確でない事を考え、面する方向別に区分する。

 

 設定法は「入力」「敷地」において

図7

面する境界線を選択後「同一区間設定」「設定」ボタンをクリックし設定する同様に

東側に面した区域は

図8

北側に面した区域は

図9

 

隣地高さ制限適合建築物の発生は「入力」「新天空率算定領域」で

図10

「一の隣地方式」ボタンをクリックし「TSpace」を起動します。

図11

 

「作業種類」「算定領域」から「発生ボタンをクリック。敷地入力で設定した近似した境界の設定が確認され

 

さらに「高さ制限種類」「隣地」をクリックし面した部分毎に近似した隣地高さ制限適合建築物が発生する。

 

 最後に「出力」ボタンでTP--SKYに戻ると同時に面する方向毎に算定基準線が発生する。

図12

一隣地方式同様に不要な延長された基準線端部(出隅)の場合等適時選択し削除をおこない

図13

南側が確定する。

同様に東側は

図14

この場合できるだけ東側の隣地環境を十分チェックすべく上側の基準線は、隅部に面した端部の線分で切断し延長位置を確定した。

 

 北側は

図15

 

審査:設計双方で確認確定するのは、隣地境界線から外側に16m離れた位置に均等に漫勉なく配置されているか否か。

 

 この3区域の基準線を重ねると「一の隣地方式」と同じ位置に設定される。

図16

 

 結果を確認すると

図17

NG箇所が南側の2か所でこの結果は図3で示す一隣地方式と同様の結果となった事がわかる。

方向別に確認すると南側は

図18

 

南側に面したこの区域は「一隣地方式」で採用された後退距離と同一でその結果も同一となりP1で比較すると「一隣地方式」P1では

図19

 

敷地区分方式ではP17で同位置だが結果は

図20

当然、計画建築物は同一になり高さ制限適合建築物で0.001%だけ低下しているだけで結果はほぼ同じだ。同じ算定位置から見える計画建築物の天空率は当然同じ結果となり適合建築物に関しては東側からの勾配制限を受けない分、わずかに低下したと思われる。

 

 次に東側に面した区域は

この場合、後退距離は、高さ制限20mを超えた位置で面する方向毎に採用する考えが適用される。その分「一隣地方式」の方が安全側ともいえるが方向毎の判断ゆえ問題になる事はない。

 

 北側も同様だ

 

 高層部側の高さ制限を超えた計画建築物はわずかな部分ゆえクリアーする。

 

 これらの結果から「近似方式」は「一隣地方式」を方向毎にまとめる手法で「一隣地方式」をアレンジした手法ともいえるが

 

面する方向を示した国交省の解説書の面する部分に順じたとすると

近似方式で良いと思われ合理的な結果を得る事ができる。

JCBAが「一の隣地方式」が最も安全側とするのは、後退距離を最もさまい部分を採用する事にもある。

 今回は隣地高さ制限適合建築物の想定法を徹底的に比較していきたい、今度は用途が異なる場合などの勾配区分で比較してみたい。

どの様な条件にも合理的な適合建築物が作成できない場合、その手法はそもそも問題有りと考えなければいけないのだろう・・。

 

 ・・っと思ったが今回も以外と時間がかかった次回にしよう。

寒くなってきました風邪などひきませぬよう、お元気で!  hi

 

 

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