12月22日
公園の柵脇で野菊がこっそり日向ぼっこ。この季節、貴重な花!・・・・小さなミツバチが2匹。
冬至の土曜日。日の出まもない6時50分頃。
昼の時間が最も短い日。(日の出が最も遅いわけでも日の入りが最も早いわけでもない。)
建築基準法56条の2の日影規制は、日照時間の最も短いこの日が採用される。
冬至における影の長さを東京と沖縄で比較してみた。
北緯36度の東京に対して北緯26.5度の沖縄の影の長さが57.8%ほど。北緯が高くなるほど太陽との仰角は小さくなり影が長くなる。
ちなみに上図、日影規制における時間は、それぞれの場所で太陽が真南にきた時間(南中)を12時とする真太陽時の場合。
左右対称になる。
日常利用する時間は明石で南中した時間を12時とする中央標準時が採用されている為、上図とは大きく異なる。
明石では、左右対称になるが、東側にある東京では早く太陽が沈む為、16時の影が長くなる。
日の出時間は東京が早いので8時の影は沖縄と比較し短くなるが大差がないようだ。沖縄は16時の時点で影が短いという事は、冬至においても16時(4時)では太陽は高い位置にある事がわかる。
ちなみに国立天文台の資料によると東京と沖縄の日照時間を比較すると。
東京(6時47分~16時32分)9時間45分
沖縄(7時13分~17時43分)10時間30分
沖縄の日没は夕方5時43分だ、東京より1時間10分程長い。
日の出時間が26分程の差に対して日没は1時間11分。
その差が中央標準時の日影図で確認された。
思わぬ事で日影講座になってしまった。
さて、先週までの講座ラッシュも一段落し今年の講座は終了。
比嘉ブログ 天空率講座は、あるぞ!
今回は「道路天空率 法56条3項を考察する」シリーズの5回目で最終回。
天空率講座開始!
図1
前回、敷地西側の大部分が商業地域の場合の区分法を始めた。
前回は、複数用途地域の入力法から天空率計算までをおこなった。
解析結果は
図2
商業地域で12mに面した区域がNGになっている。
面積按分の結果、住居系に面した適用距離が30m東側に4m道路に面した区域も区分がよりわかり難くなっているようだ。
まずは南側商業地域に面した区域の検証から
図3
若干奇異に感じられるのが円弧で示した第1種住居側に面した突起した区域。
この区域は法56条4項が適用され勾配が1.5勾配となる区域。
(12+1.115×2)×1.25=17.7875m
を超え適用距離30mまでが1.5勾配の区域となる。
4m道路側に面した区域は、やはり12m道路が回り込み適用される為56条3,4項の対象となる。後退距離1mゆえ
(12+1×2)×1.25=17.5mを超えた区域が1.5勾配の区域が1種住居の区域内に適用される。
アイソメ図では、
図4
となる。道路天空率の区域区分は、用途地域では、なく勾配で区分される。
前面道路との関係についての建築物の各部分の高さの制限を適用しない建築物の基準等第一三五条の六)
2 当該建築物の敷地が、道路高さ制限による高さの限度として水平距離に乗ずべき数値が異なる地域、地区又は区域(以下*道路制限勾配が異なる地域等*)にわたる場合における前項第一号の規定の適用については*道路制限勾配が異なる地域等ごとの部分の」とする。
商業系の1.5勾配に加えて住居系用途地域12m道路の1.25倍を超えた区域は同一の区間として処理される。
ところで12m道路に面した区域は、十分に空地がある様に思われるが右端部でNGとなっている。その原因を検証してみたい。
まずは重ね表示で確認してみよう。
図5
おや?差分が0.032%で0以上だ!緑の適合建築物の面積が赤の高さ制限を超えた部分の面積より大きい。
これは、積分法による精算法で処理した場合の結果。
差分が0%以上でありクリアーと判断して良としたいが、確認申請時には、三斜求積による安全差分が要求される。
三斜求積による安全差分とは、精算法の結果と比較し高さ制限適合建築物は、大きめに評価する。
下二けたで簡便に考えると0.01%以上増大している事。
計画建築物は、低めに評価する。0.01%以上低下。
さらに3桁めの桁落ちを考慮し0.01%を加算すると概ね合計0.03%が必要になる。
では、0.032%は、クリアーで良いのでは?としたいところだが・・
東京において試案の段階でのルールだが、上記三斜求積による安全差分に加えてさらに0.02%の差分確保が必要とされた。
TP-PLANNERでは、それらが考慮され合計0.05%以下を赤表示とする。
最後に加えた東京試案の0.02%加算に関してJCBAでは、
「適用事例集」P256 で下記のように記されている。
図6
「数値による安全率(0.02%など)の適用の有無については・・・・設計側審査双方が理解した上で、適宜判断するものとする。」
この安全率の解説は、比嘉ブログでも何度か解説している。
の回を参照していただきたい。
*尚閾値は設定する事が可能で三斜求積の結果が0%以上なら積分法の安全差分は、0.03となる。
TP-PLANNERユーザーの為にその変更は、
適合建築物と基準線を自動発生させる項の、新天空率算定領域(もしくは天空率算定領域)ダイアログ内
図7
「自動発生詳細」ボタンをクリックし「規制内外判定値」を0.03%等の設定をする事が可能です。(三斜の安全差分を考慮すると0.03%以下は、設定しない事)
申請時の三斜求積の差分比較を近接点の判定表で確認すると
図8
三斜求積天空率結果は積分法と比較して適合建築物では大きく(88.861-88.849=0.012%)、計画建築物では(88.868-88.881=-0.013%)
小さくなっている。この事から申請時の三斜求積法として正しい事がわかる。
そして三斜求積の結果の差分
計画建築物天空率88.868-88.861=0.007%≦0.02%
となる。この結果は、三斜求積に加えてさらに安全差分0.02%が要求された場合NGになる事を意味する。
この結果は、審査と設計双方で三斜求積など安全差分が含まれると判断された場合は、不要とする事より審査サイドと協議する必要がある。
区域の検証を続けよう
南側12m道路に面した1.25勾配の区域は
図9
南側後退距離は、1.115mより
(12+1.115×2)×1.25=17.7875m,までが1.25勾配の区域。
4m道路側の後退距離は、1mより
(12+1×2)×1.25=17.5m,までが1.25勾配の区域。
したがって南側12m道路側の4m道路に面した方向の奥行距離は適用距離30mまで延長される。
アイソメ図で確認すると
図10
次に東側4m道路に面した1.5勾配の区域から
図11
南側から最大幅員の2倍24mまでが広い道路12mが適用される区域となる。その下側は
(12+1.115×2)×1.25=17.7875mを超えた区域に1.5勾配区域。
4m道路側からは適用距離30mが適用される。
30mは、商業系まで延長されるが適用距離は接する前面道路の有する。
適用距離の設定は政令第130 条の11 で適用距離の特例として前面道路4mに接する敷地の部分の属する地域とする事より、全ての区域に1種住居地域の適用距離が適用される。
(建築物の敷地が二以上の地域、地区又は区域にわたる場合の法別表第三(は)欄に掲げる距離の適用の特例)
第一三〇条の一一 建築物の敷地が法別表第三(い)欄に掲げる地域、地区又は区域の二以上にわたる場合における同表(は)欄に掲げる距離の適用については、同表(い)欄中「建築物がある地域、地区又は区域」とあるのは、「建築物又は建築物の部分の前面道路に面する方向にある当該前面道路に接する敷地の部分の属する地域、地区又は区域」とする。
図12
天空率の区域は、用途地域で区分されるのでは、なく勾配で区分される。
さて残りの部分だが1.25勾配が適用される区域は簡単に解説したい。
最大幅員12mの2倍24mまで12m道路幅員が適用され法56条3,4項の対象となる。
図13
その残りの部分が道路中心10mの区域だが、油断してはいけない。
その区域は、用途で区分され商業地域は1.5勾配で区分され
図14
用途境界線を超えた商業地域が1.5勾配の区域で1種住居側が
図15
1.25勾配の区域となる。
この事例では、6区域に区分される。
住居系で12mを超える道路の場合は、勾配区分が変わるので区域区分が複雑になる。気を付けたい。
さて基準法56条 3,4項の解説は、ここまで
次回からしばらくサポートセンターに寄せられた質問を題材に検証していきたい。
次回は
図16
隣地境界線沿いに設定された塀の効率的な入力方法から始まり
12m道路天空率が後退距離6.903m(最大)を採用するとNGになる不合理への対処方法を解説したい。
さらに令132条区分で最大幅員に次ぐ幅員(いわゆるB幅員)の前面道路の境界線からの最小幅員(D)までの距離が狭い場合の区分法の解説へと展開したい。
来週は、今年最終週で忘年会に大掃除と忙しくなりそうだ。
寒い日が続きます・・・風邪などひきませぬよう次回までお元気で! hi