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逆天空率と最適後退距離で解決する令132条3項区域

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3月7日東京は、今週も三寒四温の繰り返しで・・どうやら本日の東京は寒の日の空模様。

 

 新型コロナ感染防御の為の自粛要請で日本中が沈滞ムードでよろしくない。

米ジョンズ・ホプキンス大学の情報(日本時間3月7日12時頃)だと世界中で約10万人が感染したようだが一方で回復者も約5.7万人とある。半数以上がリカバリーしている一方、ヨーロッパでも急速に感染がすすんでいるようだ。

 どうやら新型コロナ感染の特徴危険度も見えてきた。

いつまでも穴倉に籠ってもいられまい冷静に対処して早く日常を取り戻したいものだ。確かなリーダーが求められる時を実感する。

 

 すっかり手洗い上手な清潔好きなおっさんに変わった自分におどろく。そんな事もあり、可能なかぎりの対策をつくし当方では、来週から少人数で講座を再開する事とする。

スギ花粉の季節窓開け換気は、厳しいが必須なようだ。来週の講座参加の方!ご覚悟の程よろしくお願いします。

 

 春の花も咲きだした・・・春は、そこまで来てるぞ!

 

 春を待つこの季節、桜とともに楽しみにしているのがこのユキヤナギ。満開になると流れるようにしだれた枝にいっぱいになる。後2回ほど登場していただこう。

乙女椿があざやかなピンク色が「春よこい♪」と歌っている。

 

 天空率講座開始!

 道路天空率、建築基準法第56条3,4項の解説の3回目。

用地は第2種住居地域で最大幅員が14m、12m以上幅員の為、基準法第56条、3項と4項が適用される。

*56条3項は、住居系用途地域の場合でも前面道路幅が12m以上の場合道路幅員の1.25倍を超えた位置から高さ制限勾配が1.5とする。

*4項は、3項の内容に後退距離を考慮する事ができる規定。

詳細は、前回を参照

 前回は、令132条2項の区域と3項の区域の検証を行った。

その結果NGとなったのが南側14m道路に面した1.25勾配の区域でNG

さらに、令132条3項の区域。

 

 がNGとなっている。

前回は、さらにNG部をクリアーする為に逆天空率で解決する手法を解説した。

 

 バルコニーの両サイドを800ほど詰める事でクリアーする事がわかった。躯体には、影響しない。

 

そして西側3項のNG部に関しては

 

 同様に逆天空率で幅カットを行いクリアーさせたのだが

計画建物の中間部にくさび状のスリットを設定する事でクリアーする方法

 ここまでが前回までの解説。

この場合専有部にスリットが入り構造的に厳しい。

 

 今回は、逆天空率を別の視点から

試しに高さ方向をカットするとどうだろうか?

 

高さを斜面状にカットしクリアーを試みると

 従来の道路高さ制限を若干超える程度でメリットなし

さてこまった・・・。

設計者の次にトライすべきは、後退距離の調整だ

天空率をクリアーする方法は、建物をカットするだけでは無い。

後退距離を変更し適合建築物の天空率を低下させクリアーする手法がある。

(前面道路との関係についての建築物の各部分の高さの制限を適用しない建築物の基準等)
 
第百三十五条の六 法第五十六条第七項の政令で定める基準で同項第一号に掲げる規定を適用しない建築物に係るものは、次のとおりとする。
一 当該建築物(*)の第百三十五条の九に定める位置を想定半球の中心として算定する天空率が、当該建築物と同一の敷地内において道路高さ制限に適合するものとして想定する建築物(*「道路高さ制限適合建築物」という。)の当該位置を想定半球の中心として算定する天空率以上であること。
二 当該建築物の前面道路の境界線からの後退距離(*)が、前号の道路高さ制限適合建築物と同一の道路高さ制限適合建築物の前面道路の境界線からの後退距離以上であること。

 

 法文独特のまどろっこしさがあるが、

適合建築物の後退距離が計画建築物の後退距離を越えなければ

道路高さ制限適合建築物の高さが従来の斜線規制以下に設定される事になる。その結果道路高さ制限に適合する事になる。その事を可とする条文だ。

*蛇足だが昭和62年の建築基準法改正以前は、後退距離は、考慮されない為、建築物は、現行の基準より低く設定された

 

 

 西側4m道路を最適後退距離を適用しクリアーする方法から解説したい。

 「図法」「天空率算定チャート図」で近接点の算定ポイントを指示後

「斜線適合最適値」のボタンをクリックすると

確認メッセージの後、結果として現在の後退距離1.805に対して

計算された「外壁後退距離」0.22に設定すると

 

道路高さ制限適合建築物が90.44%から89.457%に低下する事を表示した。その値で道路高さ制限適合建築物を算出し天空率計算を行うと

残り2ポイントNGと建築物カット無しでNGが減少した。

この結果でさらに逆天空率計算を行うと

どうやらバルコニー部の一部をカットすると躯体をカットせずに収まりそうだ。カット幅を確認すると

 幅1340で奥行826のくさび状にバルコニー部をカットする事でクリアーする事が分かった。

 

*この時点で気づいたのだがバルコニー奥行幅がそもそも2mで贅沢仕様のようだ。

 

 後退距離が変更になった為、全体で再度確認すると

 最適後退距離0.22mが適用された西側4m道路のすべての区域で青表示でクリアーしている事がわかる。

 今回は、このカットされた計画建築物と企画BIM TP-PLANNER

と重ね表示しBIM形状として成立させる方法を確認したい。

 

*これらの手法は、REVIT,ARCHICADのTP-PLANNERアドイン機能でも同様の事が可能ゆえ参考にしていただきたい。

 

TP-LIGHTで上下階の建物編集と天空率計算で企画BIMプランを作成する手法 

①「部屋配置」のサブメニュー「項目別表示設定」とカラー表示OFF設定を行う。

 「非想定建物」をチェックし表示ONに設定する。

「非想定建物」とは、TP-SKY建物データの事で逆天空率を行いカットされた計画建築物の事。

さらに色塗り表示をOFFする事でカット部が明確になる。

*BIM的表現では、逆天空率空間と計画建築物の干渉チェック。

②南側バルコニー部をカットしクリアーする。

 南側の場合バルコニー幅が600程カットされているゆえ壁芯を考慮し両サイド800程を「串刺し編集機能」により上下階を同時に変形し天空率計算を行うと

問題なくクリアー。形状的にも問題無し。

 

③西側4m道路側を編集する。

-1)バルコニー幅を2mから1.7mに狭めて最適後退距離を適用し確認する。

 「串刺し編集機能」でバルコニー部とその上階のひさしを選択した状態で300右方向に移動しバルコニー幅1700で天空率計算を実行する。

 *計算前に後退距離の位置調整を「装飾ブロック」の項で高さ設定されてないブロックを後退位置に設置する。(道路等)

*REVIT,ARCHICADのアドインでも同様だが後退距離は、常に配置されたブロックから自動計算算出する為、装飾ブロック(道路等)でその位置を調整する。

 天空率計算ダイアログの「・・条件設定」ダイアログの「装飾ブロック」のチェックをONに設定する。結果は

 最適後退距離を適用した結果だが残念ながら1ポイントのみNGとなった。

 これ以上バルコニー幅は、狭くしたいくない為、方針変更。

 

 元の2m幅に戻した後、他の方法にトライ。

2)西棟全体と階段部を移動し外部廊下の先端を南棟EV端延長位置に移動する。

 「串刺し編集機能」で西棟と階段室を包絡する様にドラッグし選択後、「移動」コマンドを実行する。

 移動元クリック後、移動先にカーソルを移動後「ENT]キーを押すと

距離手入力ダイアログにXY項に表示される。

 今回は、1081右方向に移動しY方向には、移動しない為、0を入力後

「OK」でEVホール端部の延長位置までX方向移動する。

天空率計算を行うと

問題なくクリアーした。全体で確認しよう

 今回、日影規制は、無しの特別区とする為、形態制限は、すべてクリアした。

その結果面積表が作成され

そして建具配置を行い構造連携で仮定断面を自動発生するとBIMデータが作成された。

 形態制限確定後から30分程で面積表とBIMデータが作成された。企画BIM「TP-PLANNER」は、BIMの構成要素を自動算出する機能を有する。

 本題から外れそうになった。今回の検証をまとめると

 逆天空率計算には、幅カットと高さカットがあるが、幅カットが最も効果的である事が確認できた。

 ただしが区域幅が狭く左右に空地が無い場合「最適後退距離」で

解決する方法がある事をお伝えして今回のシリーズを終了としたい。

 次回もサポートセンターによせられた質問から天空率、日影の問題解決法を解説したい。

 お互いコロナウィルスには、気を付けましょう!  hi

次回までお元気!

 

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