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低層住居専用地域で区分される基準法56条3,4項区分と隣地天空率

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6月25日猛暑予報の土曜日

 沖縄には隆起サンゴ礁由来の洞窟が2000ほどある。

子供の頃、親に内緒で松明を作り仲間と崖下にある洞窟に潜り探検隊を気取った。

 その頃はまだ戦後20年ほどで鉄兜、飯盒などが転がっていたりで戦中が偲ばれた。沖縄戦中、近隣のほとんどの住民がそのガマ「カーブヤーガマ」(直訳すると蝙蝠洞窟)に避難し戦禍を免れた。

 戦禍を免れられた要因の一つに我が家のオバーが活躍した逸話がある。

 

 沖縄戦の最終局面で最後にガマに避難した住民間で米軍に投降するか自決するかを決断する際、自決などとんでもないとオバーが米軍との交渉役をひきうけたらしい。

 ハワイ移民帰りのオバーは片言の英語ができた事と米国人に偏見がなかったことから大胆にもガマから一人で出て米軍と交渉し「どうやら米兵は危害を加えないらしいヨ」と住民に投降を促した。多くの住民が死なずに済んだ。

 

 そんなことを思い出したのも今朝NHK6時のニュースを見ていたら思いがけず同級の徳村博文が登場した事から。

 博文は、地域近くの「コージカマ」を整備し親の世代から伝え聞いた戦争の悲惨さを学生に語り継ぐ活動をしているとの事。

誇らしい気持ちになった。

 

 今週6月23日は沖縄戦慰霊の日。忘れてはいけない日。

 今週の講座から

今週火曜日は午前中、建設会社の企画設計者が来社久々の再会。

 現場と設計両面での活躍の為にいかに効率的にTP-PLANNERの用地情報を入力設定するかを中心に解説した。

①画像データから敷地形状CAD化をTP-PLANNEで行う。

*面積補正および軸回転などTP-PLANNERが楽だ。

 

②高度斜線による逆斜線と逆日影計算を行う。

*極小敷地をターゲットとするため高度と日影規制の可能空間を算出。道路斜線は天空率で対応する事が効率的と判断。

 

③可能空間をファイル転送で使い慣れた汎用CADでキープランを作成しそれをTP-PLANNERで読み込み一気に立体化し容積チェック、日影、天空率チェックを行う。

 

 長年使い慣れた汎用CADを有効活用する事ができるのもTP-PLANNERの特徴。

 

 

 天空率講座を開始したい。

今回は、前回の事例と同形状で用途区分が異なる事例2による勾配区分法と隣地天空率を確認したい。

 

事例2

最大幅員から路線30mで用途地域

が1種低層住居専用地域と第2種住居専用地域に区分される事例。

 

 おなじ住居系ゆえ道路高さ制限勾配1.25勾配は同様だが

56条3項を再度確認すると

 

第56条 建築物の各部分の高さ
3 第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、
第一種住居地域、第二種住居地域又は準住居地域内における前面道路の幅員が12m以上である建築物に対する別表第3の規定の適用については、同表(に)欄中「1.25」とあるのは、「1.25(前面道路の反対側の境界線からの水平距離が前面道路の幅員に1.25を乗じて得たもの以上の区域内においては、1.5)」とする。

 

3項冒頭の住居系用地地域の記述に第2種低層住居専用用途地域が無い。法56条3項適用外である事がわかる。

つまり12m以上の道路が接道している場合でも幅員の1.25倍を超えた位置から勾配が1.5に変わる事は無い。

 

事例2の場合

1)用地情報入力

「敷地」「建物」は前回までと同様ゆえ省略し「用途地域」入力のポイントから解説を開始したい。

 

①「用途地域」入力設定

「入力」「用途地域入力」で前回まで利用した用途地域

「第一種住居地域」のエリアを押下し選択後(敷地250m四方が第一種住居地域でエリア設定されている事がわかる)

右ボタンメニューから「切断」「単線切断」を選択し

最大幅員12m道路境界線から平行に作図された30m路線をクリックし東西方向に2分割する。

切断された西側の用途地域を選択後「第2種低層住居地域」の設定および容積率60/150 等を設定し案分容積率274.1%、適用距離25mを確認。

 

2)道路高さ制限をチェックする。

行き止まり部から東西方向に道路高さ制限を確認すると複数区分で複雑に高さ制限を超えている事がわかる。

⇒天空率計算で解決したい。

 

3)天空率計算の実行まで

①「入力」「新天空率算定領域」道路高さ制限適合建築物と算定位置の基準線を発生させる。

この事例の場合も前回同様「敷地境界条件」で設定した道路境界条件で区域は自動作成される為、「自動発生」「道路境界」ボタンを押下する事で自動発生する。前回は4区域だったが今回は5区域に区分された。

 

②天空率計算を実行する。

 

4)区分区域検証

今回も法56条 3,4項の確認から

第56条 建築物の各部分の高さ
3 第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、
第一種住居地域、第二種住居地域又は準住居地域内における前面道路の幅員が12m以上である建築物に対する別表第3の規定の適用については、同表(に)欄中「1.25」とあるのは、「1.25(前面道路の反対側の境界線からの水平距離が前面道路の幅員に1.25を乗じて得たもの以上の区域内においては、1.5)」とする。

4 前項に規定する建築物で前面道路の境界線から後退したものに対する同項の規定の適用については、同項中「前面道路の反対側の境界線」とあるのは「前面道路の反対側の境界線から当該建築物の後退距離(当該建築物(地盤面下の部分その他政令で定める部分を除く。)から前面道路の境界線までの水平距離のうち最小のものをいう。以下この表において同じ。)に相当する距離だけ外側の線」と、「前面道路の幅員に」とあるのは「、前面道路の幅員に、当該建築物の後退距離に2を乗じて得たものを加えたものに」とすることができる。

①最大幅員12m道路に面した1.25勾配の区域

後退距離が1.461m⇒1.461m×2=2.922⇒2.922+12=14.922

より14.922m×1.25=18.652までが1.25勾配となる。

*前回と同様

②最大幅員12mに面した1.5勾配で区分される区域

1.25勾配の区域を超え適用距離25mで区分される区域が1.5勾配で区分される。

③6m行止り道路側に適用される6m道路中心10mの区域。

 最大幅員12mの2倍24mを超えた6m道路中心から10mの区域は6m道路が適用される。用途を超え一種住居地域内まで区分されるが道路幅員が6mでいずれも勾配は1.25ゆえ同一区勾配区分区域となる。

 この区域までは、前回と同様。

 
④6m行き止まり道路中心10mを超え最大幅員12mが適用される区域で第2種低層住居地域側で1.25勾配が適用される区域。

 *この区域でおや?と思うかもしれないが

 最大幅員12mから2倍を超えさらに道路中心10mを超える為、12m道路が適用される。第2種低層住居地域側は勾配1.25が適用される区域。

 

⑤6m行き止まり道路中心10mを超え最大幅員12mが適用される区域で第1種住居地域側で1.5勾配が適用される区域。

 同じ住居系でも12m以上の前面道路が接道する場合低層住居系と一種住居地域では勾配が異なり1.5勾配。その為この様に用途境界線で勾配区域区分される。

 

 ここまでが最大幅員が12mを超える場合で低層住居系とそれ以外の住居地域が勾配区分される事の解説。

 

 

5)隣地天空率を解析する。

この事例の場合、隣地高さ制限を超えている。続けて隣地天空率

南北方向の隣地高さ制限を確認するとNG。

JCBAでは隣地天空率の手法は「敷地区分方式」と「一隣地方式」の2ある。

 

-1)敷地区分方式による隣地天空率解析

「新天空率」で隣地天空率の場合、緩和等が無ければ「自動発生」で隣地高さ制限適合建築物と基準線が自動発生する。

隣地境界線が5ある為この場合は5区域に区分される事になる。

*低層住居専用地域の場合、高さ制限が10,もしくは12mまでとなる為、階高20mを超える建築物の制限の隣地高さ制限は無い区域となる。

*立ち上がり20mの隣地高さ制限適合建築物も存在できない。

天空率計算

赤破線円弧部にNGがあるようだ。区域ごとに確認したい。

区分区域検証

①南西部隣地境界線

出隅部ゆえ境界点間の端部から垂直に切断するのが一般的だがこの場合、算定位置に近接する赤円弧部の空地が評価されていない。

 

②南側隣地境界線

③北側隣地境界線

④北西側隣地境界線

次に「一隣地方式」

-2)「一隣地方式」による隣地天空率解析

「自動発生」「一の隣地」ボタンを押下する事で基準線と隣地高さ制限適合建築物が2区域発生する。

 赤破線円弧で囲った部が不要に延長された基準線となる為

画面右側「天空率表示」で1,2の「同時計算グループ」を指定し適時選択し「削除」を行う。区分されている為容易に選択可が可能だ。

 南側に面した隣地高さ制限区域と基準線

連続した南側の隣地境界線に面した基準線が設定される。

北側に面した基準線と隣地高さ制限適合建築物を作成する。

天空率計算

東西の道路で区分された北側に面した区域と南側に面した区域2の隣地同一区間それぞれの区域で天空率計算が実行される。

 

区分区域検証

①南側に面した隣地境界線

 

敷地区分でNGの箇所は一隣地ではクリアとなる。この方式で問題ないゆえ一隣地方式を解析する事が有効となる。

再度敷地区分方式NG区域を検証すると

 高さ制限を超えても敷地内の空地から通風採光を得る事ができるとするのが天空率の基本的な考え方。右側の敷地区分方式によるアイソメ図でもわかるように高さ制限適合建築物の形状は敷地内空地を無視し建物の上側から通風採光を得る斜線規制(高さ制限)と変わりない。その事が問題で天空率が採用された経緯からこの事例では「一隣地方式」で行う事が合理的だ。

アイソメ図では

②北側に面した隣地境界線

 

いずれも従来の隣地斜線規制の可能高さを表現している。

 

 法56条3,4項の解説から一隣地まで今回は盛りだくさんになり長くなった。本日はここまで!次回までお元気で!

 

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