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高さ制限の起源と天空図

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12月3日 土曜日
 今朝はさわやかな、きらきらの朝を迎える事ができた。
侍ブルーありがとう!
感動の感謝の一言でとりあえず本日は納めておこう。
戦いは続くまだ気は抜けない。
 
今回のワールドカップはアメバTVのおかげで見たい試合をいつでも見られる事が良いのだが・・多少寝不足、しかし対戦相手の視察は欠かすことはできない。
 
「勝利は必然だ!」「ブラボー」今年も終わりに近づいたが流行語大賞に緊急ノミネート投票しなきゃと思ったが・・・
昨晩「村神さま」で決定らしい。・・・まいいか!
 
 本日は仲間の演奏会の為、出かけなければならない
演奏直後に「ブラボ」と叫びたくなる衝動はコロナ過ゆえ我慢しなきゃ。 がその前にクロアチアの試合を検証なきゃ。
という連日多忙な毎日ゆえ比嘉ブログも多少工夫している。
早速今週の講座から始めて早めにアップしたい。
今週の講座から
火曜日は天空率施行以来TP-PLANNERを利用していただいいるゼネコン設計者のスキルアップ講習会。
 今回は特にプランニング講座で持参した実物件を利用しての講座を行った。プラン入力を行いながら日影規制、横浜高度斜線をクリアし面積表まで作成していただいた。
次回は年明けに来社していただく事となった。お待ちしております。最後に必勝を期して侍ブルーのポーズでパチリ。
 
 木曜日はデべさんの導入時講習の初日。
 CAD読み込みによる用地情報の設定から逆日影、逆斜線計算を行いプランニングまでの手順を確認していただいた。
 TP-PLANER入力のながれで逐次作成される日影規制、道路斜線断面、天空率の解析を一通り体験していただいた。
従来設計事案をこなしてきただけに法56条の2は発散規制ラインの考え方を除き解説が不要でテンポよくプランが作成された。
今回は面積表を作成まで。
 TP-PLANERの効果を十分理解していただけたようだ。次回は天空率を詳細解説したい。
来週お待ちしてます!。
この日は、翌日早朝の決戦を前に力を込めた侍ブルーのポーズでパチリ。
 天空率講座を開始したい。
が・・・今年も残すところわずかとなったところで
12月と来年1月7日の回まで比嘉ブログ講座の総括を行いたい。
 来年2023年は天空率施行(平成15年1月1日:2003年1月)から20年を迎える。
 思い返せば個人的には、天空率対策に追われた、20年だったともいえる。
 天空率をわかりやすく解説する為に2008年から始めた比嘉ブログも15年目を迎える。
 天空率に関しては当初、各行政単位で始まったローカルルールも2013年JCBA方式の発表により基本的な考え方が定まってきた。その過程で作成された比嘉ブログの過去記事も現況の考え方に沿っているのか検証する必要がある。
 
 そのような事情から今回から6回シリーズで過去の比嘉ブログからお勧めの講座を6回にわたり提示し再検証追加解説も加えてお伝えしたい。
 
第1回目を開始したい。

「高さ制限の起源」 
高さ制限の期限は、大正9年の市街地建築物法施行令公布による絶対高さ制限が起源らしい。

財団法人土地総合研究所のレポートを参照すると

「住居地域では65尺。それ以外の地域では100尺とされた。

100尺と65尺という数値には明確な根拠があるわけではなく、「一種の認定」の様なものものでたとえば100尺は、1)既存の最も高い建物の高さ2)ロンドン建築法(軒高80尺+2層分)や東京都建築条例案(最大100尺まで)の高さ制限値」


「なお、高さ制限値は、1931(昭和6)年の施行令改正で尺貫法からメートル法へ変わったことに伴い、65 尺が20mに、100 尺が31mに置き換えられている。100 尺は30.3m、65 尺は19.7mであるため、改正によりわずかに緩和されたことになる

(1尺は10/33m、約0.303m)。


 現在の隣地高さ制限の立ち上がり31m、および20mは起源が大正9年に遡る事がわかった。
しかしどうやらその数値に科学的根拠があったわけでは無かった様だ。
 

内田(1921b)p15「第一に問題となるのは百尺といふ数、六十五尺という数の起りと、此方法によればどの位の家が出来るかと云ふことである。其法の起りは別段に的確なる根拠があると云ふ訳ではなく一種の認定であると云ふより他はないのである。」



高さ制限は認定の為の数値を当時の建築技術(構造、EV等)を考慮し決定した様だ。通風採光(衛生)はあと付けである事がわかる。衛生に関しては
 

□物法施行令第4条(1931 年改正)【下線部は変更箇所】

建築物の高は住居地域内に於ては二十メートルを、住居地域外に於ては三十一メートルを超過することを得ず 但し建築物の周囲に広濶なる公園、広場、道路其の他の空地ある場合に於て行政官庁交通上、衛生上及保安上支障なしと認むるときは此の限に在らず


「建築物の周囲に宏闊なる・・・空地のある場合・・・・・衛生上・・支障なしと認むる時この限りにあらず」とある。敷地内の空地が衛生(通風採光)に寄与するとし建物規模の緩和になった様だ。・・・・・・
 
この「敷地内の空地が衛生(通風採光)に寄与する」の記述は、天空率比較にによる通風採光確保する考え方と一致する。

ところで当時、容積率制限は無く建物の容量制限は
 

1919(大正8)年4月4日、現在の建築基準法の前身となる市街地建築物法(以下、物法)と都市計画法が制定された。建築物に対する制限は、物法が担っており、高さ制限と建蔽率制限の組み合わせによって、建物容量のコントロールが行われることになる。

 容積率制限は1950(昭和25)年の建築基準法制定でも採用ならず1970(昭和45)年に容積制が全面導入されるまで続いた。容積率導入と同時に絶対高さ制限が撤廃され隣地斜線勾配、1.25および2.5が適用され現在に至る隣地斜線が始まる。

「道路幅員による高さ制限」
 勾配1.25あるいは2.5の科学的根拠は?・・・と読み進めるとまず道路幅員による高さ制限の項で1.25勾配の起源が記述されている。
 

□物法施行令第7条(1920 年当初)

建築物各部分の高は其の部分より建築物の敷地の前面道路の対側境界線迄の水平距離の一倍四分の一を超過することを得ず且其の前面道路幅員の一倍四分の一に二十五尺を加へたるものを限度とす 但し住居地域外に在る建築物に付ては一倍四分の一を一倍二分の一とする。

前項の高とは前面道路の中央よりの高を謂ふ



とあり1.25倍の勾配に25尺を加えたものを限度・・・とある。ではその1.25倍の根拠は
 

施行令第7条第1項の前半部が道路斜線制限であり、前面道路の反対側境界線から1:1.5(住居地域は1:1.25)の勾配ラインを超えてはならないと規定された。これは、対向する建物の採光を目的としたものである。ただし、住居地域の1.25 は理論的根拠に基づく数値ではなく、前面道路が最低基準値の9尺(約2.7m)の場合に、平屋の建物が建てられる勾配から決められた。

 当時の最低道路巾2.7mを1.25倍すると3.375mで平屋が建てられる高さから逆算して1.25倍が決まった様だ。

通風採光を目的としながらその1.25勾配は理論的数値ではない事が明記されている。

 1.25勾配は通風採光が目的ではなく。おそらく1913年ころアメリカから始まったモータリゼーションに対応する為に道路幅を広げ事が目的で平屋程度の建物なら道路を拡幅する際に有効と考えたとの説がありそのほうが説得力がある。

 

 当時の市街地建築物法の目的が「衛生」「保安」「交通」でありその1.25勾配は最大の目的が「交通」の道路幅拡張にあったと考えられる。事実、最低道路幅は2.7mから4mに変更された。

 

 ここでの結論は大正9年の市街地建築物法はそもそも通風採光を確保する為の科学的根拠に基づかないと記述されている事。

 

 道路高さ制限で通風採光を確保する考え方には無理がある。たとえば

 

A案、B案はいずれも高さ制限を超えておりその意味するところは道路反対側の通風採光が確保されないと考えられなければならない。
 いずれの案も道路高さ制限がNGである事から道路の反対側は、A,B案ともに同環境で通風採光が悪いと考えなければならない。
 ところが道路反対側の円弧部の通風採光環境を考えた場合B案の場合、建物幅が狭いことから敷地内に空地が有りA案より通風採光が良い事は明白だ。
 つまり本来道路幅を広げる事が目的の道路高さ制限ゆえ
通風採光を得る為の指標としては適さない事がわかる。
 B案の建物幅が極端に例えば1m幅ほどの建物であっても通風採光が悪いとされるのが道路高さ制限(道路斜線)。
 
 結論として高さ制限を通風採光の指標にするには問題がある。
高さ制限を規定する基準法第56条を再度読み返していただきたい。
 天空率施行前の1項から6項までに「通風採光」の文字は全くみられないが天空率を記述する7項を確認すると
7 次の各号のいずれかに掲げる規定によりその高さが制限された場合にそれぞれ当該各号に定める位置において確保される採光、通風等と同程度以上の採光、通風等が当該位置において確保されるものとして政令で定める基準に適合する建築物については、それぞれ当該各号に掲げる規定は、適用しない。
 
 通風採光が明記されている。つまり高さ制限は通風採光が目的でなく建築物高さの制限値が記述されているにすぎない。
 
 その通風採光を確保する為に考えられたのが魚眼レンズに建物を投影する考え方だ。
 天空図の作図法と魚眼レンズとの関係を解説しさらに魚眼レンズを使用し通風採光を確認する合理性を国交省の資料とともに解説したい。
 天空率は魚眼レンズに写り込んだ(投影された)高さ制限適合建築物と計画建築物のいわゆる影の大小を比較する事で通風採光を判断する。

第135条の5 天空率
 この章において「天空率」とは、次の式によつて計算した数値をいう。
Rs=(As-Ab)÷As
 この式において、Rs、As及びAbは、それぞれ次の数値を表すものとする。
Rs 天空率
As 地上のある位置を中心としてその水平面上に想定する半球(以下この章において「想定半球」という。)の水平投影面積
Ab 建築物及びその敷地の地盤をAsの想定半球と同一の想定半球に投影した投影面の水平投影面積

 

 つまり、それぞれの建築物の絶対的なサイズはではなく、魚眼レンズに写りこんだ影の大小を比較しいわゆる見え掛かりを比較する事だ。

 建築規模が変わらなくても魚眼レンズから遠くに配置されると影は小さく写り込み天空率は大きくなる。

 

 天空図の書き方つまり見え掛かりをどのように作図するのか?からはじめよう。

 

 

 天空図は建築物および地盤が投影された魚眼レンズを真上、つまり天頂方向からみた2次元の図で表現する。

 

 その作図法はまず天頂(目の位置)から建物の範囲を左右の

方位線で表現する。

 これが天空図の幅で建物幅が狭い時あるいは算定位置が建物から遠くになると左右の方位角による幅は狭まる。これが目に映る建物左右の見え係を表現。

 

 次に建物を見上げた角度、仰角は

 赤丸で表現する目の位置から建物方向に10度ごとに見上げた角度ごとに輪切りの線(左側に角度を表示)をやはり天頂側から見た同心円で表現する。

 

 つまり高層建築物の近くに魚眼レンズを配置すると魚眼レンズに投影された影は限りなく天頂側に近づくが天頂に重なる事はない。建物Aの高さは仰角としA”の位置に天空図上で表現される。この場合仰角60度を越えたあたりにプロットされている。

 

 この天空図の作図法からもわかる様に建物幅が広い場合には、天空図に左右の方位角が広がり影面積が大きくなり天空率低下の傾向となる。

 一方、高層建築物の場合天頂を越えられない事から天空図への影響は限定的となる。

 天空図は魚眼レンズに投影された特性から方位角と仰角で作図される投影図で建物の絶対的規模で確定しない。

 

 では通風採光を評価する指標として魚眼レンズを採用する目的は?。

「平成14年改正基準法等の解説 新日本法規」に明確に記されているので紹介したい。

 

 

 魚眼レンズにより人間の目そのものの見え掛かりを表現する事を実現しており敷地の空地を天空図に反映する事により従来の高さ制限(H/D)による通風採光の評価法の問題点が改善できるとされる。

 

 この事は「天空率により通風採光を評価する事により街並みがばらばらになるのでは?」の項の回答と合わせ読むことにより天空率に求められる事が明確に記述されている。

 

 

 天空率は、街並みの形態の不統一は否めないが敷地単位で考えるつまり敷地内の空地を通風採光の指標として合理的であるとする。

 

以上が天空率が通風採光の指標として利用される理由、

 

 次回は最適後退距離の考え方3回シリーズをまとめ編集し掲載したい。

 

本日はここまで次回までお元気で!

 
比嘉ブログ



 


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